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「風船に婚約指輪を忍ばせた男性、風で指輪ごと失う」(3月16日、ロイター)
恋人にプロポーズしようとしたロンドン在住の男性(28歳)が、婚約指輪をヘリウムガスの入った風船の中に隠した所、突風で風船が飛ばされ、指輪ごと失ってしまうという出来事が在った。
男性は14日付の地元紙に「空高く上って行くのを唯見ているしかなかった。」とコメント。「大枚を叩いたのに、大間抜けだ。ガールフレンドにこてんぱんに批判される事も判っていた。」と語った。
予定では女性にピンを渡して風船を割って指輪を見付けて貰い、プロポーズの言葉を伝える筈だった。男性は「起こった事を話さざるを得ず、彼女はかんかんで、新しい指輪を買う迄口も利いてくれない。」としている。
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気の毒でも在り、同時に間抜けな話でも在る。このニュースを知ってふっと思い出したのは、或る女性タレントがTV番組で話していた事。「こんな男性は嫌だ。」というテーマだったと思うが、「昔のトレンディー・ドラマに影響された様なプロポーズをする男。」と答えていた。「いきなり自宅の電話が鳴ったので出ると、『僕だけど、一寸外を見て。』って言うから外を見たら、白いスーツで沢山の薔薇を抱えた彼が立ってて、思いっ切り引いてしまった。」と。妙に凝り過ぎた“演出”も良し悪しという事か。
閑話休題。
AERAの連載「現代の肖像」。3月17日号は吉田太一氏を取り上げていた。彼は日本初の遺品整理会社「キーパーズ」の社長だ。詩人の金子光晴氏はその作品の中で「死ぬ本人には『死』は、御破算で在り、側からみれば、清掃なのだ!」と喝破したそうだが、正に「死」と「清掃」をくっ付けて企業化した人物と言えよう。
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ドアを開けた途端、異様な臭気が溢れ出て来た。臭いを掻き分ける様にキーパーズ社長の吉田太一が部屋に入って行き、社員と派遣スタッフ達が続いた。縦長の2DKで奥の部屋にシングルベッド、その傍の絨毯の床に赤黒い大きな“人形(ひとがた)の染み”が在り、臭いは其処から発していた。派遣スタッフの一人が口を押さえ吐き気を堪えるのをじろりと見遣り、吉田が言った。「作業開始や。」
横浜市郊外の古いマンション。部屋の主だった42歳の独身女性は心不全により急死し、死後一ヶ月で発見された。所謂孤独死で在る。東北地方の実家とは長く音信不通、警察からの連絡で駆け付けた弟は、「腐ってしまった」姉の姿に唯呆然。マンションの大家に一日も早い後始末を要求され、途方に暮れ乍らインターネットで検索、遺品整理会社キーパーズを見付けた。弟は「仕事を休めないので御任せします。遺品は全部処分して下さい。」と、鍵と費用を吉田に渡して帰った。
整理作業が始まり、ベッド脇の染みに毛布が掛けられたが、臭いは一向に消えない。設置した消臭器が発するオゾンと混じり、甘酸っぱく饐えた臭い。床に正座して個人の貴重品を仕分けし乍ら、吉田が淡々とした口調で言う。「今は冬場やからこの程度やけど、夏場やったら蛆虫は湧くし蝿は集るし、割り箸を鼻に突っ込まれた様な臭いですよ。それに耐えて遺品を片付けて上げるから、遺族に感謝されるんです。」
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冒頭に記された文章。核家族化や少子高齢化が進み、人間関係が希薄になった我が国に在っては、孤独死によるこの様な凄惨な現場はそれ程珍しくない様だ。2002年に設立された同社では、これ迄に7千件を超える遺品整理を行って来たそうで、孤独死や自殺等変死に類するケースは年間200件程の依頼が。貴重品捜しに始まり清掃と原状回復、形見分けの全国配送、愛用品の供養迄、遺品に関するあらゆる要望に応じている。
設立当初は「死をビジネスにしている。」と批判的な声も多かったが、遺族からの感謝の言葉で「遺品整理業は本当に必要な物なのだ。」という確信が持てる様になったという。特に、設立から3年程経った頃、或る老人の遺品整理の現場で小学生の孫息子と交わした会話が、吉田氏の胸に響いたと。
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孫息子: 「おじちゃん達、何してるの?」
吉田氏: 「亡くなった御爺さんの荷物の片付けだよ。」
孫息子: 「じゃ、天国への御引っ越しの御手伝いだね。」
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自らの死後の後始末を同社に生前予約する一人暮らしの人が、最近増えているとか。
「風船に婚約指輪を忍ばせた男性、風で指輪ごと失う」(3月16日、ロイター)
恋人にプロポーズしようとしたロンドン在住の男性(28歳)が、婚約指輪をヘリウムガスの入った風船の中に隠した所、突風で風船が飛ばされ、指輪ごと失ってしまうという出来事が在った。
男性は14日付の地元紙に「空高く上って行くのを唯見ているしかなかった。」とコメント。「大枚を叩いたのに、大間抜けだ。ガールフレンドにこてんぱんに批判される事も判っていた。」と語った。
予定では女性にピンを渡して風船を割って指輪を見付けて貰い、プロポーズの言葉を伝える筈だった。男性は「起こった事を話さざるを得ず、彼女はかんかんで、新しい指輪を買う迄口も利いてくれない。」としている。
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気の毒でも在り、同時に間抜けな話でも在る。このニュースを知ってふっと思い出したのは、或る女性タレントがTV番組で話していた事。「こんな男性は嫌だ。」というテーマだったと思うが、「昔のトレンディー・ドラマに影響された様なプロポーズをする男。」と答えていた。「いきなり自宅の電話が鳴ったので出ると、『僕だけど、一寸外を見て。』って言うから外を見たら、白いスーツで沢山の薔薇を抱えた彼が立ってて、思いっ切り引いてしまった。」と。妙に凝り過ぎた“演出”も良し悪しという事か。
閑話休題。
AERAの連載「現代の肖像」。3月17日号は吉田太一氏を取り上げていた。彼は日本初の遺品整理会社「キーパーズ」の社長だ。詩人の金子光晴氏はその作品の中で「死ぬ本人には『死』は、御破算で在り、側からみれば、清掃なのだ!」と喝破したそうだが、正に「死」と「清掃」をくっ付けて企業化した人物と言えよう。
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ドアを開けた途端、異様な臭気が溢れ出て来た。臭いを掻き分ける様にキーパーズ社長の吉田太一が部屋に入って行き、社員と派遣スタッフ達が続いた。縦長の2DKで奥の部屋にシングルベッド、その傍の絨毯の床に赤黒い大きな“人形(ひとがた)の染み”が在り、臭いは其処から発していた。派遣スタッフの一人が口を押さえ吐き気を堪えるのをじろりと見遣り、吉田が言った。「作業開始や。」
横浜市郊外の古いマンション。部屋の主だった42歳の独身女性は心不全により急死し、死後一ヶ月で発見された。所謂孤独死で在る。東北地方の実家とは長く音信不通、警察からの連絡で駆け付けた弟は、「腐ってしまった」姉の姿に唯呆然。マンションの大家に一日も早い後始末を要求され、途方に暮れ乍らインターネットで検索、遺品整理会社キーパーズを見付けた。弟は「仕事を休めないので御任せします。遺品は全部処分して下さい。」と、鍵と費用を吉田に渡して帰った。
整理作業が始まり、ベッド脇の染みに毛布が掛けられたが、臭いは一向に消えない。設置した消臭器が発するオゾンと混じり、甘酸っぱく饐えた臭い。床に正座して個人の貴重品を仕分けし乍ら、吉田が淡々とした口調で言う。「今は冬場やからこの程度やけど、夏場やったら蛆虫は湧くし蝿は集るし、割り箸を鼻に突っ込まれた様な臭いですよ。それに耐えて遺品を片付けて上げるから、遺族に感謝されるんです。」
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冒頭に記された文章。核家族化や少子高齢化が進み、人間関係が希薄になった我が国に在っては、孤独死によるこの様な凄惨な現場はそれ程珍しくない様だ。2002年に設立された同社では、これ迄に7千件を超える遺品整理を行って来たそうで、孤独死や自殺等変死に類するケースは年間200件程の依頼が。貴重品捜しに始まり清掃と原状回復、形見分けの全国配送、愛用品の供養迄、遺品に関するあらゆる要望に応じている。
設立当初は「死をビジネスにしている。」と批判的な声も多かったが、遺族からの感謝の言葉で「遺品整理業は本当に必要な物なのだ。」という確信が持てる様になったという。特に、設立から3年程経った頃、或る老人の遺品整理の現場で小学生の孫息子と交わした会話が、吉田氏の胸に響いたと。
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孫息子: 「おじちゃん達、何してるの?」
吉田氏: 「亡くなった御爺さんの荷物の片付けだよ。」
孫息子: 「じゃ、天国への御引っ越しの御手伝いだね。」
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自らの死後の後始末を同社に生前予約する一人暮らしの人が、最近増えているとか。
今回知った遺品整理会社というのも、殆ど一般には知られていない利用されることの少ないケースだが事情により必ず必要とされる処に目を付けられたのでしょう。究極の便利屋さんかも知れません。今までにやりたい、やれると考えた人はなかったのでしょう。なるほどと感心しました。
ブログにもニュース、趣味、日記さまざまな生活環境にいる方が書かれています。読むほうにとっては面白かったり、ためになったり、代弁してくれる文に共感している事が多いのかとも自分自身は思っています。もっと違う見方、活用もあるのかも知れません。
死人に向きあい旅立ちの身づくろいのお手伝いをする湯灌師の方の珍しいブログに出会いました。職業とはいえ非常に温かく真摯に取り組まれている心が伝わってきます。
悩んでいる人や自殺願望の若者などがこのサイトを読むと死ぬことなど考えなくなるかなと言う気もします。
内容が内容ですので楽しい話題ではありませんが ちょっと覗いてみて下さい。
【癒しのエピソード】
http://blog.livedoor.jp/angel0425/
ただ皆が皆友人とコミュニティを作っていけるわけではない。正直70、80になると身寄りがあっても、人との接触にほとほと疲れた、家族ともあまり話したくない、本当に疲れてしまうという人は多くなります。とくに男性。。。老人ホームやデイケアでは子ども扱いされるし。あれは見ているこっちも苦痛です。
こういったおじいちゃんを励ますのもあまりうまい話じゃない、依怙地と見ずに尊重したいけど、現場で働いてる人や、親族にとってはちょっと扱いづらかったりもするのだろうなと、どっちの気持ちもよくわかったりして(特に後者)複雑だったりします。若い方であれば「ほっときゃいいじゃん」とか「自己責任」なんて言葉が吐けるのでしょうが。60にもなると「自分も行く道」という意識も出てきて。。。
私はそうですね、どんどん身辺整理して、病院で死ぬ場合は遺体を献体しようと思ってます。まあ長く闘病した身内を持つ人は担当した医師に複雑な気持ちを持つ人が多いし恨みさえ抱く場合もあるでしょうけど。。。
葬儀って本当に辛いですから。葬儀屋なんてハイエナに見えてきますし(苦笑)。わけのわからない親類がやってきて突然葬儀をかき回すなんてトラブルもありますしね。
孤独死、寂しい現実ですね。 いつ死ぬかわかりませんが、死神が現れて、寿命を全うするのか数日後に不慮の事故か何かで死ぬのか、可・不可の判定を下しに来ても取り乱したりしないかもしれません。 子供たちがあともう少し大きくなれば、自分自身はだいたいやりたいこともやったし、別にいいかなとか思ってしまいます。 死んでからもう一度やり直せるなら、やり直したいです。 こんな不器用な生き方しかできなかった自分ではなく、もっとうまく人生をやり直したいです。 孤独死とは関係ないコメントになってしまいました。
自分を含めて多くの人達は、派手で見栄えの良い仕事ばかりに目が行きがちで、“3K”と呼ばれる様な仕事にはなかなか目が向かないもの。否、場合によっては“意識的に”そういった仕事があたかも存在していないかの様に目を逸らしている場合すら在る気がします。そういった人が嫌がる様な仕事に従事してくれる人達が居られるからこそ、我々が今の生活を送っていられるというのに。これは反省しなければならない事だし、そういった仕事に就いておられる方々が見合った対価を得られる様になって欲しいもの。
「老人ホーム等で子供扱いされるのが嫌。」と思っている高齢者は結構居られる様ですね。以前、或る高齢者用施設を取り上げていましたが、其処ではその手の施設で良く見受けられる様な「結んで開いて」の運動等はせず、例えば男性高齢者は月に1度ストリップを見に行ったりと、ステレオタイプ的な高齢者感を排除した所でした。入居している高齢者達(男女共)が、「此処は刺激が在って楽しい。」と口々に話していたのが印象的でしたね。
「葬儀屋=ハイエナ」というのは判りますねえ。勿論遺族の立場に立って親身に接してくれる葬儀屋も居ましょうが、概して儲け至上主義な所が多い気がします。昨年に親族を亡くしたのですが、故人が「兎に角身内だけで、ひっそりと葬儀を行って欲しい。決して豪華にしないで、必要最低限の物にする事。」と生前から言っていましたので、その“遺言”に従って喪主が葬儀屋と打ち合わせしたのですが、「そんな質素な葬儀では、後から身内で問題になる。」、「この地方の風習ではそういった遣り方は普通では無いので、オプションを付けた方が良い。」等と、明らかに儲け至上主義からの余計な御世話のオンパレードで、遺族は皆辟易とさせられたもの。
映画「二十四の瞳」や「喜びも悲しみも幾歳月」等に主演されていた女優の高峰秀子さんは、数年前に最低限必要な物を除き、身の回りの品物を一切合財知人に上げたり処分したりしたそうです。「人生の最終章に入った今、あれこれこの世に残しても仕方ないから。」といった趣旨の理由を話されていましたが、これはこれで立派な一見識だと思いました。
先日、ブルートレイン「銀河」の最後の走りが、ニュースでかなり取り上げられていましたね。“鉄ちゃん”でも何でも無い自分ですが、それでも心にジーンと来る物が在りました。構内に押し寄せた鉄道ファンの姿を見て南こうせつ氏が、「集まっていたのは圧倒的に男性が多かったですね。やっぱり男ってロマンチストが多いのかなあ。」と語っていたのですが、勿論例外は在るものの、概して良くも悪くも「女性は現実的で、男性は夢想的」というのは在りますね。マヌケ様と同じく結婚指輪を紛失してしまった知人が、“思い出の品”を無くしてしまったのが申し訳なくてならず、似た様な指輪を買ってごまかそうとしたそうです。でも結局偽物と奥さんにはバレたそうですが、「別に無くしたら無くしたで、わざわざ購入する必要も無かったのに。わざわざ買わないで、その分を家のローン返済に廻すべき。」と言われ、ガッカリしてしまったと言っておりました。
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「国家繁栄維持法」。この法律は国民に「生命の価値」を再認識させる事で国を豊かにする事を目的とし、その手段として若者達を対象にした或る通知を出している。その通知とは「逝紙(いきがみ)」と呼ばれる死亡予告証で在る。 凡そ1000分の1の確率で選ばれた者は、紙を貰ってから24時間後には死んでしまう。この物語は死の命令を受けた者達の残された運命を描くドラマで在る。
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以前に記事の中でチラッと触れた事が在る、漫画「イキガミ」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%82%AC%E3%83%9F)の概要です。或る日突然、自らの命が残り24時間しかない事を知らされた若者達の姿を描いているのですが、その反応が人それぞれで、又、我が身に置き換えた場合色々考えさせられる作品です。
tak様も御仕事柄、様々な人間ドラマを見て来られた事と思います。生死と密接に関わっている御仕事で在れば一層に、明るい面ばかりでは無く暗い面も否応無しに見せ付けられて来た事でしょうね。
美空ひばりさんの息子で在る加藤和也氏が、インタビューで話していた事が強く印象に残ってます。ひばりさんが亡くなる前迄はチヤホヤしていた人が、彼女の葬式に来た時に「何だこの家は客にまともな物を食べさせないのか。」等と言い放つ等、手の平を返した態度になっていて、人間の嫌な部分をこれでもかという位に葬式の場で見せられたと。確かにそういった事は、少なからず在りそうですよね。
人生の転機に於いて、自分なりの“演出”を施すか?それとも“自然体”で行くのか?人それぞれですよね。唯、自然体というのも意外と人によっては、計算され尽くした演出って場合も在ったりするのかなと思ったりも。