ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)の3つ。先日の「2018本格ミステリ・ベスト10」及び「2017週刊文春ミステリーベスト10」に続き、「このミステリーがすごい!2018年版」が発表となった。
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「このミステリーがすごい!2018年版【国内編】」
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「2018本格ミステリ・ベスト10【国内編】」及び「2017週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」で、共に1位を獲得した「屍人荘の殺人」。「近日中に『このミステリーがすごい!2018年版』が発表となるが、こうなると『屍人荘の殺人』が1位に輝き、“三冠”達成という可能性も。そうなると、2005年の「容疑者Xの献身」以来の“三冠王”という事になるが・・・。」と昨日書いたが、実際に現実となった訳だ。
三冠達成という事自体凄いのだが、もっと凄いのは今回の「屍人荘の殺人」が文壇デビュー作という事。ヴェテラン作家で在っても1冠達成すら難しい状況。大衆性の強い作品に票が集まり易い「週刊文春ミステリーベスト10」及び「このミステリーがすごい!」の1位が重なる事は在っても、マニアックな作品に票が集まり勝ちな「本格ミステリ・ベスト10」“でも”1位を取るのは至難の業と言って良い。なのに、全くの新人作家がデビュー作で三冠達成した(恐らく初めての事ではないだろうか。)のだから、末恐ろしい才能だ。
「著者の今村昌弘氏は1985年生まれの32歳で、今年、第27回鮎川哲也賞を『屍人荘の殺人』で受賞。」というのは昨日の記事で書いたが、付け加えると「岡山大学医学部を卒業後、放射線技師として働くも、作家に成りたいという夢が捨てられず、29歳の時に退職。『32歳迄に芽が出なかったら、作家の道を諦める。』と心に決め、各種文学賞に作品を出し続けるも、最終的に受賞には到らず仕舞い。今年、第27回鮎川哲也賞を受賞し、念願の文壇デビューを果たす。」となっている。
詰まり、自身で決めた“最後の年(32歳)”で夢を叶えたのだ。言い換えれば、若し「屍人荘の殺人」が鮎川哲也賞を受賞していなかったならば、末恐ろしい才能は世の中に出なかった事になる。ミステリー・ファンとしては、幸甚と言える結果だ。
非常に高評価な此の作品。本当に凄い内容なのかを、早く読んで、実際に確かめてみたい。