2年前、「マイクロビーズ」という記事を書いた。直径0.5mm以下のプラスチックを「マイクロビーズ(マイクロプラスチック)」と呼ぶが、「此のマイクロビーズが川や湖沼に流入し、深刻な環境汚染を起こしているとして、アメリカではマイクロビーズ使用を規制する方向に向かっている。」というニュースを取り上げた物。
そして一昨日、マイクロビーズに関する新たなニュースが報じられていた。
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「プラスチック粒子、牡蠣繁殖に悪影響 仏グループ実験」(6月21日付け東京新聞【夕刊】)
「微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)を含む海水中で牡蠣を飼育すると、卵の数や精子の運動能力が低下し、発生する幼生の数も41%少なくなる。」との実験結果を、フランス国立海洋開発研究所等の研究チームが纏めた。
海洋汚染が問題になっているマイクロプラスチックが、海産物に悪影響を及ぼす可能性を示す結果として注目される。チームは「(今回は水槽内での実験だが)牡蠣の繁殖への影響が、実際に起きている事も考えられる。」としている。
チームは、直径2マイクロ・メートル(マイクロは100万分の1)と、6マイクロ・メートルのポリスチレンの粒子を1リットル当たり0.023mg含む海水を入れた水槽で真牡蠣を2ヶ月間飼育し、繁殖等への影響を調べた。此の大きさの粒子が海の中に何れだけ在るか調査したデータは少ないが、実際の環境中でも充分在り得る濃度と言う。
粒子を含む海水で飼育した雌の牡蠣が作る卵の数は、粒子を含まない海水の牡蠣に比べて38%少なく、雄の精子の運動速度も23%遅かった。生まれる牡蠣の幼生の数は41%少なく、生まれた幼生の成長率も低かった。
牡蠣は、餌にするプランクトンのサイズに近い6マイクロ・メートルの粒子を多く体内に取り込んでいた。餌にならない粒子を取り込んだ事で、繁殖に必要なエネルギーが得られなくなった事や、プラスチックに含まれる化学物質が生殖に関連するホルモンの働きを乱した事が原因と考えられる。
大量の水を体内に取り込み、中のプランクトン等を漉し取って食べる他の貝の仲間も、同様の影響を受ける可能性が在ると言う。
マイクロプラスチック問題に詳しい高田秀重・東京農工大教授の話:海水を取り込んでプランクトン等を漉し取って食べる牡蠣の様な生物は、水に含まれる物を区別せずに体内に取り込むので、マイクロプラスチックの影響を受け易いと考えられる。内分泌攪乱化学物質との関連も含め、今後、更に詳しい研究が必要になる。今回の実験で使われた数マイクロ・メートルのプラスチック粒子だけを海の中で回収するのは不可能なので、生態系への影響を小さくする為には、発生源での対策が重要になる。
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想像していた以上に、マイクロビーズが環境汚染に影響を及ぼしている事が判った。手遅れにならない内に、我が国でもマイクロビーズの使用を厳しく規制する必要が在りそうだ。