一昨年&昨年と2年連続で沢村栄治賞を受賞する等、投手に関するタイトルを総嘗め状態にしたジャイアンツの菅野智之投手。「今季も素晴らしい成績を残し、過去に金田正一投手しか成し遂げていない『3年連続の沢村栄治賞受賞者』になる。」事を期待していたのだが・・・。
今季の菅野投手、何かおかしい。8試合に登板して失点「30」、防御率「4.36、そして勝敗は「5勝3敗」。プロ入りして以降の過去6年間の防御率の変遷が「3.12→2.33→1.91→2.01→1.59→2.14」(通算では2.17)なのだから、幾ら8試合だけとはいえ、今季の酷さが際立っている。
菅野投手だって人間だ。過去6年間、悪い状態の時も在ったし、滅多打ちされた時も。でも、好不調の波が、こんなに激しかった事は無かったと思う。失点で言えば、「1→2→1→3→7→1→5→10」と推移。一昨日の対タイガース戦で喫した失点「10」は、彼自身が1試合に喫した失点としては、ワースト記録を更新。「打たれ出したら止まらない。」という感じで、一昨日はマウンド上で泣き出しそうな顔をしていた菅野投手の姿が、非常に印象的だった。
こんなにも好不調の波が激しいのは、何が原因なのだろうか?一昨日の試合で顕著だったのは、捕手・小林誠司選手のリードの拙さだ。「簡単にカウントを取りに行き、打たれる。」等、素人目にもどうかと感じさせる、単調なリードだった。
でも、小林選手のリードの拙さだけが、菅野投手の好不調の波の激しさの原因では無いだろう。4月19日の対タイガース戦に菅野投手が登板し、3失点で勝利投手になった際、“エモやん”は彼の投球に不安を抱いていた。
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7回途中迄で、3失点で降板。菅野にとっての3失点は、他の投手で言うと、4~5点に匹敵する。可成りのKOだよ。
昨年から、矢鱈と投げたがるのが、左打者の外角を狙ったスライダー。ボール・ゾーンから曲がり、外角ぎりぎりに入れば、打者は虚を突かれる。確かに、良い決め球にはなる。
が、此の球はコントロールするのが難しい。そして、一度甘く真ん中に寄ると、痛い目に遭う。7回、近本と木浪に打たれたのが、正に此れ。今季此処迄、本塁打されているのは、其の危険と隣り合わせの球なんだ。
此れだけ遣られるパターンが固まって来ているんだから、もう、切り替え時。左打者には、オーソドックスに、シュート系を使った方が良い。
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今月に入ってからだったと思うが、エモやんは菅野投手に付いて「彼はコントロールがずば抜けて良い。だから一流投手になった訳だが、こういう投手はコントロールが良過ぎる為、調子が悪くても大きくコースが外れる事は無い。自分は元々コントロールが悪かったので、調子が悪いととんでもなく外れた。打者は打つのが得意なコース付近に、逆に不得意なポイントが在る。調子が悪くて、狙ったコースから大きく外れる事が無ければ、打ち込まれてしまう。」という趣旨の発言をしていた。
「3年連続の沢村栄治賞受賞。」に黄信号が点いたけれど、赤信号になった訳では無い。菅野投手はクレヴァ―な人物だけに、安定した投球を見せてくれる様になると期待している。