HINTERLAND
2021年
オーストリア/ルクセンブルク
99分
サスペンス/ミステリー/犯罪
PG12
劇場公開(2023/09/08)
監督:
ステファン・ルツォヴィツキー
脚本:
ステファン・ルツォヴィツキー
出演:
ムラタン・ムスル・・・ペーター・ペルク
リヴ・リサ・フリース・・・テレーザ・ケルナー博士
マックス・フォン・デル・グローベン・・・パウル・セヴェリン
マルク・リンパッハ・・・ヴィクトア・レンナー
<ストーリー>
第1次世界大戦後、元刑事のペーターと戦友たちは故郷へ戻るが、祖国は変わり果てており行き場を失くしてしまう。そんな中、帰還兵を狙った連続殺人が起こり…。
この狂った世界に、
生きる価値はあるか
―感想―
独特な色感を持った作品やなあと思いながら観てたのだが、どうやら全編をブルーバックで撮影したのだとか。
要するに人物と小道具以外はほぼCGて事になるよね。
ちょっと古い作品になるけど似た様なジャンルで初めてフルデジタル撮影を取り入れたピトフ監督の『ヴィドック』を観た時の感覚を思い出した。
若干そのCGとの合成に違和感を覚えるものの、主人公の心情をそのまま映像として現したという意図的な演出を考えれば斬新っちゃあ斬新。
嫌いじゃないし、どちらかと言えば好みだな。
さて、本筋として一番重要となるのが、連続殺人の犯人は誰なのか?主人公の見知った人物なのか?という正体と動機の明確さ。
正直、姿と名前が明かされた際、俺は「え?誰?」と初め脳が追い付かなかったのだが、犯人となる男の弟(警官)が途中から主人公の相棒みたいな形になる所で伏線を張ってたんやね。
多分主人公が襲われて殺されそうになった時に、いち早く犯人が誰かを察知したのだろう。
だから、弟には「兄は戦場で死んだ」と大きな嘘をついた、主人公なりの機転で、弟には兄の存在を忘れさせようとしたのではなかろうか。
犯人と対峙する場面でも、やたらと弟に対して、向こうに行ってろ!と叫ぶのもそういう理由。
今か今かと愛する兄が帰ってくるのを待っていたのに、まさかの連続殺人鬼がその兄だと知ったら、そりゃ弟としては堪ったものじゃないからね。
そういう意味では、主人公なりの優しさを見せている事となるので、後から「あっそういうカラクリがあったのか」と脳が追い付き、ようやく納得出来た顛末ではあったなあ。
憎むべきは戦争そのものか、それとも同胞を売った裏切り者なのか。
結局のところ犯人が選択したのは後者ではあるが、根底にあるのは戦争が生み出した悲劇からの延長。
声を大にして「お前が悪い!」とは言えない辺りに、戦争が如何に無駄なものであるかを痛感させられ、心苦しい余韻が強く残る。
評価:★★★
24/01/19DVD鑑賞(新作)
レンタル開始日: 2023-12-22
メーカー: クロックワークス
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