銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

小歌(こうた)と大歌(おおうた)…(現場の造語です)

2014-07-24 16:40:33 | つれづれ

'How Long Has This Been Going On'

(女)

バザーのお手伝いで 男の人たちと握手会なんかして
5ドルか10ドルずつ集めたりしたけど
そんなのチャリティーのボランティアですもん 
誰にも本気じゃないし、意味なんかないわ
本当に夢心地にさせてくれる人はね・・・・

(男)

こんな涙を流すことができるなんて・・・
永い永い年月 どこでどうして生きていたんだろう?
背筋がゾクゾクするような こんな気分になるなんて
ほんとうに 今が初めての経験だよ

一度は追放された天国に入り込んで 
溶けてしまいそうな気がする
コロンブスが新大陸を発見した時  
どんな気持ちがしたか、わかるような気がするよ

キスしておくれ もう一度
今までなんて間抜けだったんだろう
スゴイや なんてステキなんだ!
知らないうちにこんな気分になっているなんて!

(女)

あなたの腕の中で 運命を感じているの
夢なら覚めないで 本当だと信じていさせて

キスして もう一度 二度でも
三度でも四度でも!
本当になんてこと!
いつの間にかこんな気分になるなんて、ね?


 今まで歌っていなかったけれど、そしてつかみどころがないんだけれど
なんとなく気になる、どうも忘れかねている、そういう曲でした。
調べてみると1927年にガーシュウィン兄弟が舞台のために作ったときには
不評で外されたそうです。
 1957年にその舞台の焼き直し(ストーリーは別物)的に、「Funny Face」の
映画で使われていて、オードリー・ヘプバーンの劇中歌をYouTubeで聴きました。
これまたプレミア試写会ではカットされていたそうで。

 でもねえ、私の感覚では、「小歌」としてはとてもいい感じなのです。どんな立派な歌手が
「大歌」的に歌っても、これ以上の作品になるとは思えない、というか、
そもそもこういう風に歌われるべき歌として作られたんじゃないかという感じがする。
むろん、この歌は小歌的にも大歌的にもできますが。

 もともとの舞台「Funny Face」はそのその30年前にフレッド・アステアと
姉のコンビでそれなりのヒットはしたようなのですが、スクリーン・テストの段になると、

アステアの評価は低くてその時の映画化とはならなかったらしい。
30年たって、ヘプバーン27歳、アステア57歳の時に「パリの恋人」として
大ブレイクしたわけですが、非常な艱難辛苦を経ている作品の中の、非常に渋くて
一般受けはしない、それなのにスタンダードとして演奏家にはかなり愛されている
かなり変わった曲ともいえましょう。


 それからそれへと検索して行ってアステアの歌をいくつも聴くと
「ああ、歌ってこれでいいんだよなあ」としみじみ思うのです。
日本人好み、渋好みと言われるでしょうが、少なくとも小さなスペースで
音響機材をほとんど使わずに聴こえる範囲だけで楽しめる=お座敷芸的なものを
私は好んでいるので、行きつく先、というか行き着きたい先は、やはり原点回帰
みたいな、無駄がなくてそれがシャレている、というものになるようです。

 大きな舞台で大向こうを唸らせるパフォーマンスも、素晴らしいとは思いますが
それはそれ、日々その中にいたい「非日常」の世界というのは、

やるにも聴くにもすご~く体力を必要とするものはご免こうむりたいです

コメント
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