「よくもまあ、そんなにたくさんの曲を覚えられますね」と
しばしば言われます。 でも、考えてみれば、一日に歌うのは数曲ですから
いっぺんに何百曲も思い出す必要はないわけです。
ただ、問題は「自分のレパートリー」と言える曲をどのくらい持っているか、
現場のプロの価値はそれに尽きると思うのです。
あれも歌いたい、これも歌いたいと思って、一日に2曲も新曲を試す、
なんてことができた時期もありましたが、それは「瞬間芸」みたいなもので
いつなんどきでも「ちょっと、あれ歌って」という要請に応えられるようになるには
さらに数か月とか数年とか、時々思い出しては歌いこまないと、本当に
自分のものにはなっていないのでした。
そして自分なりのアレンジができあがり(どういうテンポでどういうリズムで、
どういうエンディングでetc....)、歌詞についても、前振りで
「この歌の歌詞はこういう情景を描いています」と説明できるくらいになると、
今度は何年もたってからいきなりやっても、不思議とスラスラと歌詞は出て来る
ものですね~~ アタマの中にその情景が浮かぶと、自然と口ずさみ慣れたフレーズが
出てきて、次のフレーズはきっと韻を踏んでるよな~~なんてイメージしながら
歌い切れてしまうようになります。
ただし、アタマの中に歌詞がテロップのように浮かんでくるタイプのものはダメ
きっと私はその曲に向いていないか、好きになれないのでしょう。
いつまでたっても「レパートリー」にはなりませんね。