北の旅人

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アメリカ大陸横断「青春日記」-1972・35日間・5000km⑲

2008-02-28 08:19:23 | Weblog

1972・9・4(月) 晴れ アーバナ
(イリノイ州)
 

午前8:00起床。今日は、いわゆるピクニックだ。昨夜、どこか行きたいところはないかというので、リンカーンが住んでいたという「スプリングフィールド」へ連れて行ってもらった。ファーマーシティという街を通り、約1時間半(100㎞)で到着。ここには、イリノイ州の首都がある。

まず、リンカーンパークへ。ここには、16代大統領エイブラハム・リンカーンが眠っている。施設内には、リンカーンの生活を偲ばせる衣服、手紙、新聞、写真などが収められている。公園そのものも大変立派なもの。この旅行で、初代大統領(ジョージ・ワシントン)、16代大統領(エイブラハム・リンカーン)、35代大統領(ジョン・F・ケネディ)という3人の大統領のお墓参りをすることができ、大変ラッキーであった。

このあと、ワシントンパークを通り、リンカーンの家を見学。主に衣・住について知ることができる。2階建ての家で結構広い。続いて、「オールド・ステイト・ビルディング」という博物館へ。リンカーンの時代に使われていた議場などを見学。リンカーンの葬儀の模様を伝える写真もあった。

リンカーン・ニューセイラム村へ。リンカーンは、ここで6年間過ごした。1834年にニューセイラム村からイリノイ州の議会議員に当選。1837年に住まいを移し、ここで法律事務所を開く。若い時、店の書記、郵便局長、測量技師などをやったり事業に失敗したりした。ブラックフォーク戦争に名を連ねたりもした。1832には落選の経験もある。リンカーンは、この村の桶屋の、かんな屑を燃やしてつくった明かりで勉強したと言われる。

夜、ホームスティ先でアンケートを書いてもらう。数々の好意にお礼を言う。アーバナでの3日間も充実していた。この家の農場は450エーカーほどあり、アーリントン墓地の約5倍。1エーカーは約0.4町だから180町。1エーカー当たり30ドルの利潤を上げ、夫婦二人で、年間400万円余りの純益があることになる。日記、荷物の整理などして11:30就寝。     

   ☆          ☆             

    アメリカ第16代大統領 
    エイブラハム・リンカーン

リンカーンといえば、ゲティズバーグでの演説で語ったという、「人民の、人民による、人民のための政治」という言葉が思い浮かぶ。

しかし、中学生のころに習ったのだろうか、この言葉の前後でリンカーンは何を語ったのか、習ったのかもしれないが記憶にはない。たまたま、「リンカーンの三分間―ゲティズバーグ演説の謎」(共同通信社 ゲリー・ウイルズ著 北沢栄訳)という本を読んでいたら、この演説の経緯が書かれていた。

実際に行った演説が、どれだったかという議論はあるということだが、ここでは、「最終テキストーゲティズバーグ戦没者墓地奉献式における演説」を引用する。その言葉は含蓄に富み、144年を経た今でも輝きを放って、われわれの胸に迫ってくる。

87年前、われわれの父祖たちは、
この大陸に新しい国家を打ち立てた。
その国は自由の理念により身ごもり、
すべての人間は平等につくられたという理念に捧げられた。
今、われわれは大いなる内戦のさ中にあり、
この国が、またこのように育まれ、このように捧げられたあらゆる国が、
永くもちこたえられるかどうかの試練にさらされている。

われわれはこの戦争の激戦地に集っている。
われわれはこの戦場の一部を献じるためにやってきた。
この国が存続するようにと、ここで命を捧げた者たちへの
最後の安息の地として、である。
われわれがそうすることは
全く理にかない、正しいことである。
だが、より大きな意味において、われわれはこの地をー
捧げることはできないー神聖化することはできないー
神に捧げることはできない。
ここで戦った勇者たちが、
その生死にかかわらず、われわれの微力がはるかに及ばない次元で、この地を聖なる地としたのだ。

われわれがここで言うことを
世界はほとんど心に留めないだろう。
また、長く覚えてもいないだろう。
だが、彼らがここで成し遂げたことを
世界が決して忘れることはない。
ここで戦った彼らが、
このように気高く推し進めた
未完の事業にここで身を捧げるべきは、
むしろ生きている者たちである。
われわれの前に残されている大いなる事業に身を捧げるべきは、むしろここにいるわれわれである。

栄えある死者たちから
彼らが最後の力をふりしぼって捧げた大義に、
より一層この身を捧げよう。
これら死者たちの死を無駄にしないように、
ここにいるわれわれは決意を高く掲げる。
神のもとで、この国に
自由のあらたな誕生をもたらそうー
そして、人民の、人民による、人民のための政治は、地上から決して滅びない。                        
        
               1863年11月19日
      
エイブラハム・リンカーン

(参考資料は最後に一括して掲載させていただきます)



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