自民党の岸田文雄・前政調会長が
自民党総裁選挙に立候補を表明した。
今、コロナ禍という危機の時代にあって、
政治に対する不満、不信感は募る一方だ。
そんな中で、岸田氏が出馬を表明したことは評価したい。
一国のリーダーとしての菅総理への評価が低いのは、
政策目標が明確でなく、コロナ禍の危機対応も泥縄式で、
国民へのメッセージも良く伝わってこない。
その上、自民党自体が安倍政権時代の「カネ」の問題を、
うやむやにしていること、
二階幹事長が5年にわたって権力を握り、
記者会見などで度々見せる「開き直り」の姿勢が、
国民との溝を深めている。まさに、古い自民党を引きずったままで、
これでは、政治への信頼を失うばかりだ。
各種世論調査を見ても、自民党の支持率は軒並み低くなっている。
岸田氏の出馬表明を見て、
今までよりは確かにイメージチェンジしたように映ったし、
出馬表明の内容も、国民の意識に近いものを感じさせた。
政策に関しては、具体策に欠けるところもあったが、
記者会見が2時間に及び、丁寧に説明するという姿勢は見てとれた。
出馬表明の要点は、
①国の重大な岐路に立って、国民の声を聞き政治生命を懸けて
新しい選択肢を示す
②日本の民主主義を守る
③国民の声が政治に届いていない
④コロナ対策は日本流の人流抑制の方法論を考える
⑤政治とカネの問題は国民に丁寧に説明し、透明性を高める
⑥自民党役員の任期を1期1年で連続3期までとする
⑦比例代表候補に適用される73歳定年制を堅持するーなど。
少なくとも、菅総理との一騎打ちになるのか、
それとも他の候補者が名乗りを挙げるのか。
いずれにしても、活発な論戦を期待したいものだ。
政治に権力闘争はつきものだが、
派閥力学だけで新しいリーダーが選ばれるようなら、
自民党は国民から間違いなく見放されるだろう。