(4/14読売新聞)
神宮の星・佑ちゃん、素晴らしいデビューおめでとう。77年ぶりの1年生開幕投手という偉業もさることながら、東大戦で6回を投げて1安打8奪三振の初勝利は見事というほかはない。甲子園での駒大苫小牧の田中君との歴史的な熱闘から、わずか8か月。夢の続きを見られることにワクワクする。楽天・田中君もプロで大輪の花を咲かせるべく頑張っているが、それぞれの道での大いなる飛躍を期待したい。
私が神宮球場で初めて東京六大学野球を観たのは、高校2年生の秋。修学旅行で東京を案内してくれた田舎の先輩が、たまたま法政大学に通っており、行きたいところに連れて行ってあげるというのでお願いした。確か、法政対明治の試合だったと記憶している。当時は、六大学野球の人気が高く、長嶋が大活躍してプロ入りした直後だった。
かく言う私は、嬉しいことに佑ちゃんの先輩になることになった。なので、自然と親しみも湧き、応援に一段と力が入ろうというもの。
大学に入学してオリエンテーションの際、最初に見せられた2本の映画のうちの1本が、あの時のヒーロー・安藤元博投手が4連投と大活躍した伝説の「早慶6連戦」だった。(もう1本は尾崎士郎原作の「人生劇場」)
最終の週で早稲田が2-1で勝って並び、決定戦となった。それが1-1の引き分け。再試合が0-0の引き分け、そして再々試合が3-1となり、やっと決着がついたというものだった。映画を観ているだけでも、燃えたものだ。そういうこともあって、在学中は結構、神宮へ行き、例の紙製の角帽をかぶり、「紺碧の空」を歌った。
勝ったときは、新宿に出て飲んだものだ。1年生の時、無精ひげを生やしたまま武蔵野館近くのビヤホールに入り、同席になった早稲田の学生と飲んでいたら、「先輩、ごくろうさま」と言って、ビールをご馳走してくれたことがある。話を聞いていたら、3年生らしかったが、言い出すタイミング失い、結局そのまま奢ってもらってしまったという楽しい思い出がある。
今日の試合では、1年生の原君(桐蔭学園)が見事なホームランを打ったし、投手には、やはり1年生で甲子園優勝投手の福井君(済美高校)もいるので楽しみが広がる。楽天の田中君、早稲田の斉藤君は当然応援したいし、日ハムにも頑張ってもらいたいので、今年は野球で忙しい年になりそうだ。