弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

定数に3人 足りないような 判決「第三小法廷」

2025年01月28日 22時27分20秒 | 「喝!」判決
今日の最高裁第三小法廷判決から。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93735

千葉県議会議員選挙の定数配分において、人口比例定数より3人も少なくされている船橋市選挙区の有権者が提起していた選挙無効訴訟。
確かに3人も少ないまま約半世紀も定数増がされずに放置されてきたのは極めて「異例」であり、これを違憲・違法とする宇賀裁判官の反対意見や懸念を示す渡辺裁判官の補足意見の内容はもっともだ。
しかし、これをも有効とする3人の多数意見はいかがなものだろうか。識見はもとより、存在感すらも全く感じられないのは残念だ。
私も弁護士時代に一票の格差が5倍を超えていた愛知県議会議員選挙の定数訴訟を提起したことがあるが、名古屋高裁では違法・事情判決を勝ち取ったものの、最高裁では逆転敗訴した。
せっかく公職選挙法に人口比例原則の明文規定がある地方議会について、定数不均衡に甘すぎる最高裁判例は早急に見直されるべきだろう。

あらゆる形態 愛みとめたい 小さな大国 タイランド

2025年01月24日 08時44分16秒 | 夫婦
タイ、同性婚の登録開始
東南アジア初施行、各地で受理
(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/1015664

「まつもtoなかい」が→「だれかtoなかい」→「そして誰も いなくなった」

2025年01月20日 08時39分32秒 | テレビ
もはや「フジテレビ解体」の道は避けられない…
元テレビ局員が考える「スポンサー離れ」が進んだ先に起こること
「世間をナメている」といわれても仕方ない
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/90593?page=1

番組が「唐突に終了することで臆測が生じることを懸念して慎重にタイミングをはかっておりました」という社長の弁明の通りならば、松本問題のためと見せかけて、中居問題に触れずに番組を終了する機会はいくらでもあったはずだが。

除斥期間で 門前払い 韓国人合祀 違憲訴訟

2025年01月17日 21時02分12秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁第二小法廷判決から。

https://www.sankei.com/article/20250117-6VVAV7VVQVMZBLSUIBNB6QBGBU/

山口県護国神社の自衛官合祀違憲訴訟の最高裁判決という先例はあるが、原告遺族はクリスチャンの妻(日本人)であった。
日韓併合により日本人扱いされたまま戦死して無断で靖国神社に合祀された韓国人の遺族とは事案が全く異なるともいえる。

(写真)三浦守裁判官の反対意見(抜粋)
立派な意見だ。福島原発国賠訴訟の反対意見、 沖縄防衛局長SACO見舞金訴訟の反対意見に続き、検察官出身最高裁判事として高い見識を示した。
最高裁判事の中では、第三小法廷の宇賀克也裁判官に次ぐリベラル派と認めてもよいだろう。
できれば、準リベラル派の尾島明裁判官にも補足意見ではなく反対意見に回ってほしいところだった。
あとは、私の愛知県立時習館高校・東大法学部の先輩でもある第一小法廷の宮川美津子裁判官の覚醒に期待をしているのだが。

あの日わたしは 大阪にいて 出廷したのに 誰も来ず

2025年01月16日 08時06分54秒 | 裁判
忘れられないあの日から今日で30年。
私は、翌朝一番の大阪地裁での口頭弁論に備えて、大阪駅前の丸ビルのホテルの上層階に前泊していた。
それが裏目に出て、深夜に大地震に遭遇することになり、テーブル上のテレビ等が落ち、慌てて螺旋階段を走り降りて外に避難した。
朝になって、割れた窓ガラスが散乱する道路を歩いて大阪地裁の法廷に一番乗りしたが、裁判官も他の弁護士も出廷できず、連絡も付かないとのことで、期日変更も正式にされないままに事実上の延期となった。
せっかくなので、たまたま私選弁護を担当していた被告人との接見に、大阪拘置所に向かった。事態の深刻さを知ったのは、待合室のテレビでニュースを見た時だった。
帰りは新幹線が全面不通となっていたが、何とか運転再開した近鉄特急で名古屋まで帰ることができた。

弾劾裁判「無記名投票」評決しても 適法か?

2025年01月12日 08時21分02秒 | 裁判
裁判官弾劾、3時間の評議
まとまらぬ中「終わりにする」衆参12議員(朝日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S16123837.html

これは大変な事だ。
そもそも、裁判の「評決」は、無記名投票で決めてはいけないと思う。
通常の裁判所の裁判(裁判員裁判を含む)でも、そんな決め方をした例は聞いた事が無い。
「死刑判決」にも擬せられる「罷免判決」ならば、尚更だ。
裁判員裁判であれば、裁判官3人のうち少なくとも1人の賛成を要する場合があるから、裁判官の票と裁判員の票を区別する必要があるため、そもそも無記名投票という訳にはいかない。
国会の「表決」のやり方を、あたかも当然のように、裁判に持ち込んではいけないと思う。

(参照条文)
衆議院規則
151条
1 議長が表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、起立者の多少を認定して、可否の結果を宣告する。
2 議長が起立者の多少を認定しがたいとき、又は議長の宣告に対し出席議員の五分の一以上から異議を申し立てたときは、議長は、記名投票で表決を採らなければならない。
152条
 議長が必要と認めたとき、又は出席議員の五分の一以上の要求があつたときは、記名投票で表決を採る。
参議院規則
137条
 議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する。
 議長が起立者の多少を認定し難いとき、又は議長の宣告に対し出席議員の五分の一以上から異議を申し立てたときは、議長は、記名投票又は押しボタン式投票により表決を採らなければならない。
138条
 議長は、必要と認めたときは、記名投票によつて、表決を採ることができる。出席議員の五分の一以上の要求があるときは、議長は、記名投票により、表決を採らなければならない。

地域手当は 改悪されて ほとんどの任地は 下がります

2025年01月10日 23時37分11秒 | 地域手当
今春から、人事院勧告により、地域手当が改正される。
最高裁が周知していないので、代わりに私が分かりやすくまとめた。
異動内示を受けた裁判官は、是非ご確認を。なお、裁判所が存在しない都市は省いている。
特例的に都道府県内で上乗せされている都市には、地家裁支部や簡裁が設置されていない例が多いことが分かる。
そろそろ地家裁支部と簡裁の配置は見直すべきだろう。

(新地域手当一覧)
東京高裁管内
・東京都→23区20%/他16%
・神奈川県→横浜・川崎・藤沢・厚木16%/他12%
・埼玉県→さいたま・川越・和光12%/他8%
・千葉県→千葉12%・佐倉・松戸・市川8%/他4%
・茨城県→水戸・日立・土浦・龍ケ崎8%/他4%
・群馬県→前橋・高崎・太田4%/他0%
・静岡県→静岡8%/他4%
・山梨県→甲府4%/他0%
・長野県→長野・松本4%/他0%
・栃木県・新潟県0%
大阪高裁管内
・大阪府→大阪・吹田16%/他12%
・京都府8%
・兵庫県→西宮12%/神戸・尼崎・伊丹・明石8%/他4%
・奈良県→奈良8%/他4%
・滋賀県→大津8%/他4%
・和歌山県→和歌山・橋本4% /他0%
名古屋高裁管内
・愛知県→名古屋・豊田12%/他8%
・三重県→四日市・鈴鹿8%/他4%
・岐阜県→岐阜4%/他0%
・石川県→金沢4%/他0%
・富山県→富山4%/他0%
・福井県0%
福岡高裁管内
・福岡県→福岡8%/他4%
・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・鹿児島県・宮崎県・沖縄県0%
広島高裁管内
・広島県→広島・可部4%/他0%
・岡山県→岡山・倉敷4%/他0%
・山口県・鳥取県・島根県0%
仙台高裁管内
・宮城→仙台8%/他0%
・福島・山形・岩手・秋田0%
札幌高裁管内
・北海道→札幌4%/他0%
高松高裁管内
・香川県→高松4%/他0%
・徳島県・高知県・愛媛県0%

津への内示で 明示をすべき 15→12で 6→5→4

2025年01月08日 19時40分37秒 | 人事
いよいよ明日以降、来年度の異動内示が始まる。
おそらく私には内示は無いと思われるが、現任地3年目の裁判官にとっては気が気でないことだろう。
今回の内示は、例年以上に大きな問題を孕む。人事院勧告を受けて、地域手当が大幅に変更されるからだ。その周知を怠ったまま、対象裁判官が知らない地への内示を出して同意を取れば、禍根を残すだろう。任期途中の依願退官の原因となることは明らかだ。

(写真)そこで、日本裁判官ネットワークとして、昨年末、最高裁長官宛に内容証明郵便を発して申入れをした。
(毎日新聞)地域手当の内容明示を
裁判官、転勤巡り最高裁長官に異例の申し入れ
https://mainichi.jp/articles/20241227/k00/00m/040/421000c

これには私自身の苦い経験もある。
名古屋高裁の陪席から津地裁部総括への栄転と内示されて、報酬は当然上がると思い込んで同意したのだが、判事俸給の号は上げてもらえなかったばかりか、地域手当の差で1割も減額されてしまった。概算すると、4年間で約400万円の減収となる。
(地域手当支給率の推移)
大阪高裁  16%
名古屋高裁 15%
津地裁1年目15%(異動保障)
   2年目12%(八割保障)
   3年目 6%
   4年目 6%
ちなみに、このまま留任すると、
   5年目 5%(経過措置)
   6年目 4%(新支給率)
と更に下がって定年退官を迎える。
他方で東京都区内の裁判官は、常時20%を支給されている。これでは騙し討ちにあったようなものだ。
皆さんは同じ轍を踏まないように。