Sydney Yajima


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日本製品

2009-02-18 03:41:50 | 世界情勢
日本製品

日本の製品が世界を席巻して久しい。それは家電製品であったり、あるいは自動車であったり、ハイテク機器であったり、あるいは医療機器であったりと、さまざまだ。
それは1970年代の万国博覧会から以降、20世紀の最後に、燦然と輝いていた。

ところが・・・である。
中国製品が次々と進出を果たしてきた。21世紀に入ってから、その規模とペースは速まり、GDPは1999年から比べて、あっというまに、4倍近くまで膨れ上がっている。(参照

今では 中国の製品が世界の、さまざなところへいきわたっている・・・ だが、評判は必ずしも芳しくない。(参照)それは、すでに定評となっており、価格が安いという意外には、デザイン性、機能性、強度、安全性、それに、保障やその実効性において、ゴミだという人も居れば、それはゴミに対して失礼だとまで 言う人も居る。
参照)多少、偏りすぎる意見もあるけれど、製品にとって、それはどの国であれ、人種であれ、宗教にかかわらず、信用は、もっとも大切な見えない価値のあるもので、それは見えないがゆえに、とても重要であるばかりでなく、決してお金では買うことが出来ない貴重なものであると思う。

しかし、その信用というものが、ブランド価値という目に見えないものであるだけに、コピー製品という逆手にとって、商魂たくましく行うのが、また彼らのお家芸でもある。(参照)欧米も、日本も、このコピー商品に対して、さまざまな法的手段を用いて対抗しようとし、あるいは、中国政府に働きかけてもいるが、実際には、効き目は無い お手上げ状態である。(参照)あまりにも、大きな市場のコピー製品にたいして、半ばそれを許容範囲という変なルールを作ろうという動きもある。グッチのハンドバックのコピー製品を、街角の隅で売っても別にかまわないが、薬は困るという、究極の選択である。実際、アフリカにはエイズ患者がたくさんおり、安いエイズ治療薬が手に入るとみんなそれが、信用できるかできないかという検証なしに、買う。(参照

たとえば、ジンバブエは、インフレ率が11、200,000%にものぼる!!!いまや国家破産したといっても過言ではない国であるが、(参照)経済の問題だけではなく、多くのエイズ患者を抱えている。エイズ患者が毎週、3,000人のペースで亡くなっている社会というのは、どんなものだろう?そして、その絶望的に貧乏で苦しんでいる人々に、コピーした薬を売りつける人間は、一体、どんな人たちなんだろう?これは想像を絶する 酷いし、人間として見ても、とても醜い状況だ。
それを、激しく追及するメディアは こぞって中国をこきおろす。これが、今の論調の中心になりつつある話だ。今回、ヒラリークリントンは日本から始まったアジア歴訪を、最後は中国で締めくくるが、中国の人権問題、コピー製品問題、いや、それ以上に、為替の操作疑惑、ダンピング問題など、山積した多くの問題に取り組む姿勢を、アメリカがそれこそ なりふり構わずぶつけていく最初の日になるであろう。(参照)それが、プロテクショニズムの始まりとなる日でも、ある。

これが、日本の将来にとって、どういう影響があるのだろうか?

その前に、まず今の日本の置かれている状況・・・なぜ、円高になっているのかを考える必要があるかもしれない。それは安い金利の日本円を借りて、海外で投資するいわゆる 円キャリートレードが トレンドとして長い間 続けられてきた。そのために、借りた日本円を売り、海外のカレンシーで、株式であったり、あるいは、商品であったり、不動産投資であったりと、様々な方法で日本円が市場をにぎわしてきたのが、2008年9月15日あたりを境に、急激に逆戻りしはじめたのである。(参照)この逆戻りのトレンドは、今後も続くと見られており、それが続く限り、円高はさらに加速すると言われている。これが、まずひとつ。

円高になると、日本製品は相対に高くなり、海外での販売競争に、勝つことが厳しくなる。たとえば、100円で1ドルだったのが、50円で1ドル買える時代になると、輸出した自動車はちょうど、倍の価格になってしまうわけで、少々コスト削減に成功したところで、追いつくことはできないのだ。したがって、一番いい方法は、海外で生産拠点を作り、そこで、為替の変動に左右されること無く製造から販売まで行うことが 望ましいと多くのメーカーは考えたのかもしれないが、それが、逆に工場の設備投資などの、費用がかさみ、さらにはカルチャーや言語などの障壁と、それに対応できる人材不足に悩まされているのが、現実である。
大きく整理すると問題はおよそ三つ。
1 人材
2 法律
3 セキュリティー
そしてこのどれもに、とてつもなく費用がかかる。さらに長期的には、日本の空洞化という問題もあり、それによる社員のモチベーションの低下というマネージメントにとって頭の痛い問題が山積しているのである。それでも、多くの企業が、今海外に進出しはじめているか、あるいは進出のための準備を始めている。これは、すでに官民一体となった 来るべき超円高に対する防御策・・・もしくは生き残り策としての、海外進出であり、決して積極的な戦略としての進出ではない。だが体力の無い企業は、その手も打つことが出来ず、吸収される方向でしか、活路を見出せなくなっている。

同時に、日本に帰ってきた円は一体どこに使われるのか?という素朴な問題が浮かんでくる。おそらく、日本円が強くなると同時に、多くの日本企業・・・とりわけ金融機関の時価総額がドルベースで上昇し、それが、不況の理由と同時に 信用の理由にもなるという不思議な現象が 起こるのではないだろうか?このことに関しては、まだあまり議論されていないが、日本が1980年代後半に、バブル景気で浮かれていたのは、円高の進行で、「意外と大丈夫かも・・・」と思ったときに、妙な自信ができたからかもしれない。だが、今回の円高では、おそらく、そういう流れになることは、ないように思える。なぜなら、当時の状況では、それでも日本の製品はまだまだ世界が買い続けていたし、それに中国などの新興国が、なかったから、いわば、独断場でビジネスができた、よき時代だったからだ。

ただそれでも国際的な信用は、高まる可能性があるので、あるいは高山病のように、高いところに祭り上げられて酸素と水の供給が経たれるような現象になるのかも、しれない。

今、日本企業はこぞって リストラを始めている。リストラの対象になるのは、まずは切りやすい派遣社員から、次には のほほんとやってきた正社員へと、続く。このままでは日本的経営は破綻すると、警笛を鳴らす人も多い。だが、企業には、すでに超円高というシナリオが 生々しい情報とともに、見えてきた今の時点で、いかに早く対応するかが、生死の境目だという危機感を持っている。(参照)中川大臣の酩酊が あろうとなかろうと、日本の企業には巨大な暗雲が立ち込めており、さらには、自由落下ともいえるスピードで、輸出は谷底に吸い込まれるような悲惨な状況に 追い込まれているのである。

では、日本はもう、これで立ち上がれなくなるのだろうか?
このままだと、中国とアメリカという巨大な超大国のハザマに 少子老人国としてひっそりと過ごしていくしか、生き残るだけの国になってしまうのだろうか?

私は そうはならないと思う。
冒頭にも書いたが、日本製品には絶大な信用と、そして需要が今でもある。それは、価格がいくらでもかまわない。いい物を買いたいという人が無くならない限り・・・(それは決してなくなることは無い!!!)たとえ、円高で高くなったとしても、売れ続けるだろうし、また、縮小した日本企業は再生の道を、辿ることもできるはずだ。
リストラされた社員が、そのまま、駄目になってしまうのか、あるいは、生き残りをかけて、もう一度勉強しなおして、奮い立つのか・・・にしても、本人の意思と努力しだいだという一歩大人の、突き放した世の中に入ってきたのかもしれない。

ただ、どんな道を歩むにしても、悠長に構えている時間はないということだけは、確かに言えるかもしれない。