「環境の町」梼原視察が激増
2011年12月17日14時16分
全国の自治体などから〝梼原詣で〟が続いている。東日本大震災による原発事故後、自治体の〝新エネ熱〟が高まる中、風力や太陽光などを生かしたまちづくりを進める高岡郡梼原町への視察が急増し、原発が立地する新潟県刈羽村の村議の姿も。高知の山深い町は今、視察の受け入れ制限をするほどの活況ぶりになっている。
同町が自然エネルギーを積極的に活用し始めたのは、10年以上前のこと。
1998年に町の施設として造った温水プールに地熱エネルギーを導入し、翌年には四国カルストの風を受ける風車2基を建設。2年半前には、梼原川に小水力発電を建設し、昼は学校への送電、夜は街灯に使っている。
風、光、水…。生かせる資源は何でも使おうと臨み、木質ペレットを燃料にした冷暖房機の導入なども促進。風力発電の売電益(年約3500万円)は、太陽光発電の普及や間伐を促進する補助金として活用している。
太陽光の場合、国の補助金(1?4万8千円)に加え、町独自の1?当たり20万円(上限4?)の補助金があり、一般住宅(現在109戸設置)への普及率6・0%は「全国トップ級」。町役場など公共施設には当たり前のように太陽光発電の設備(現在22基)があり、3年前には全国13自治体、中四国唯一の「環境モデル都市」に選ばれた。
町の目標は、〈2050年までに町の事業で発電するエネルギーだけで自給率100%〉にすること。地熱や太陽光、小水力を合わせた現在の「町のエネルギー自給率」は28・5%だという。
千葉大などがまとめた自治体別自給率(10年度)によると、梼原町は既に129・7%。しかし、これは四国電力の水力発電などを含んでおり、電力会社の設備のある自治体ほど数字が高くなる。町はあくまで「町事業での100%」「電気代の要らない町」を目指し、民間資金も活用して風車を40基にする計画だ。
原発の村から
同町への視察はこれまでもあったが、脱原発や自然エネルギーへの関心が高まる中、前町長の中越武義さんの話などが全国メディアで取り上げられたことが大きいという。
東日本震災後の視察は、6月の新潟県議を皮切りに、東京都の町村議会議長会、福島県の南会津町議会など続々。秋以降はさらに増えて、自治体の執行部や議会に限っても北海道から沖縄まで78団体(16日現在)に上る。
視察の感想は「うちでもできそう」「ここは特別なのでは…」とさまざまだが、島根県邑南町の石橋良治町長は「再生エネルギーの重要性を強く感じている。どうすれば地域資源を有効に使えるか知りたい」。東京電力の柏崎原発が立地する刈羽村から議会の委員会視察でやって来た村議は「来年3月で全炉が定期検査に入り、運転を停止する。村の4、5世帯に1世帯は原発関連の仕事に就いているが、村独自のエネルギーへの関心は高まっている」と話す。中国電力の原発計画に反対の声も強い山口県上関町の町議の視察もあった。
火・木曜に限定
相次ぐ視察に「日常業務への支障」を心配した町は、11月から受け入れを火・木曜に限定。一方で視察ラッシュは、「龍馬ブーム」に沸いた昨年以上の経済効果を町にもたらしてもいる。
「雲の上のホテル」の6~11月の宿泊者数は、昨年に比べ1500人以上多い5420人。飲食店を営む男性は「議員バッジを着けた人を町でよく見るようになった」と話し、町商工会の川田俊一郎事務局長は「大手旅行社から視察ツアーの商品化の話も来ている。観光と環境がつながってきた」と喜ぶ。
矢野富夫町長は「決して大きくないが、多くの方策に取り組んでいる点が評価されているのでは。全国に梼原を知ってもらえるだけでも意味がある」。梼原町への移住を希望する声も、これまで以上に聞かれるようになったという。
〝梼原詣で〟。まだまだ続きそうだ。
高知新聞より抜粋
私の実家が、高知にあるから贔屓するわけではないが、この村はすばらしいと思わないか?
高知には、原子力発電所がひとつもない。
田舎に、原発をつくることが、日本の潮流であるにもかかわらず、である。
高知ほど田舎はない。
土佐は鬼国である。
と長い間言われてきた。
峻険な剣山の向こう側、大歩危小歩危を越えてようやく到着する
そんな土佐に、全国から視察が来るような村づくりがされている。
福島は何を間違い そして高知は何をしたのか。
たったひとつの、自分の住む地域への愛情と、その愛情への誠心誠意さえあれば、福島も、そしてほかの地域も、日本全体ももっと違う形になっていた。
そうは、思わないか?