先週の土曜日の、上ったばかりの「中秋の名月」です。
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」
こんな歌がぴったりの時期です。
本来なら、もっと前の立秋の頃の歌のようですが。
心なしか柔らかくなった日差し。
朝日は部屋の中まで伸びてきました。
夜はうるさいほどの虫の声。
確実に秋は訪れていると思うと、一抹の寂しさも感じます。
今週のお稽古は逆勝手をしています。
ご挨拶をして、風炉の位置を確かめた皆さんは、
「あら・・逆ですね」と。
濃茶の拝見物をお出しする頃には、すっかり逆モードに慣れて、
薄茶はすいすいとなりますよ。
「暑さボケした頭が、シャキッとしました。」という方も。
秋の声を聴くと、のんびりしていると風炉の季節も終わってしまいます。
季節を追いかけるのが、茶人の性でどうしようもないのですが、
道具を仕舞ったり、出したりしながら、お稽古の皆さんをお待ちしています。
今日は嬉しいことに、肩を手術して回復された方が、
何か月ぶりかにお着物でいらしゃいました。
まだ後ろに手をまわして帯が締められないと、
前結びで、くるっとまわして頑張られたとのこと。
一つのことを乗り越えられたのだなあと、安心しました。
私も乗り越えなくてはならないことがあります。
前向きな姿には、見習わなくてはと思いました。