山形特産の果物に、庄内柿がある。
夕方犬の散歩の途中、柿の樹をよく見ると、小さな実が結実していた。
寒河江市のある村山地方は、昔から庄内柿の産地だが、やはり一番生産の盛んなところは名前の通り、日本海側に位置する庄内地方だ。
我が家でも5~6年前までは、庄内柿を作って出荷していた。
この庄内柿は平種無しの四角い型をした渋柿で、焼酎かアルコールを使って渋抜きをして食べる。
糖度が高く、みずみずしく、渋柿の大王とも言われ、とても美味な柿だ。
この柿は何故か、干し柿にして食べることはほとんどない。
そしてこの柿のもうひとつの特徴は、以前は生産された柿のほとんどが、北海道に出荷された。
そのため、山形県内でも一般の消費者はほとんど食べれなかった。
近年、北海道にもいろんな果物が出回るようになったせいか、需要が減り、その分山形県内でも普通に食べれるようになってきた。
そして次第に価格が下がって来て、我が家でもとうとう生産を止めた。
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かって、この地方は桃の一大産地でもあった。桃の缶詰工場が次々に建設されたほどだ。
しかし、現在桃の生産は極端に減少した。桃の缶詰工場は肉類の缶詰工場に変って行った。
原因としては、生産に手間がかかること、病害虫に弱いこと、日持ちが悪いこと、消費者の桃離れ、などが考えられるが、何よりも果物の缶詰が敬遠されてきたことだと思う。
やはり果物は季節を先取りして、生のものを食べるのが一番なのだろう。
消費者あっての農業ではあるが、米の販売価格が下がり、米作農業だけでは生きていけなくなってきている東北の農業。今、どこの家庭でも後継者問題が深刻だ。
食糧生産としての農業と、生計を立てるための農業。
米作、そしてそれ以外の作物のいずれにしても、これからの農業はめまぐるしく変化する時代の大きな潮流を見逃すと、生き残ることができないようだ。
10年以上前の話だが、アメリカ産のさくらんぼの輸入自由化で山形県の農業は大きく社会問題化したことがあった。
アメリカ産のさくらんぼの価格に山形さんのさくらんぼの価格は太刀打ちできそうもなかったからだ。
しかしいざ自由化が始まって、食感、糖度、色など価格以外ですべて山形産さくらんぼの品質が上回っていたことがわかった。
輸入さくらんぼの自由化問題はそれ以降何も変わることなく1件落着。
本当は、このチャンスを生かして、本来の農業のあるべき姿をもっともっと真剣に核心に触れるまで考えるべきではなかったかろうと思う。
何事もなく済んでしまうと、全てを忘れてしまうような現在の日和見的な農業では、いつかまた大きな農業問題が襲来するだろうと思う。
話は少し大きくなってしまったが、明日からまたヘルパー再開の電話が来た。
生まれて初めて、2日ばかり農業体験をして、ふと思ったことを記してみた。