最初に実現する核融合炉では、重水素と三重水素という水素の仲間の原子核が燃料として使われます。記号を使えば重水素はD、三重水素はTで表わされるので、この核融合反応をDT反応と言います。
核融合反応を起こす原子核の組み合わせはこのほかにもたくさんありますが、DT反応が最も起こりやすく、地上で核融合を実現するには、DT反応を使うのが一番やさしいのです。
DT反応が起こると、DとTが合成されて電荷数が2で質量数が5のヘリウムの同位体2He5ができます。この核はヘリウム5と呼ばれますが、不安定な核ですぐに分裂して中性子nと質量数4のヘリウム2He4に分裂します。質量数4のヘリウムは別名アルファ(α)粒子と言います。
アルファ粒子は電荷を持つため、プラズマの加熱で大事な役目を果たします
「トコトンやさしい核融合エネルギーの本 井上 信幸さん:芳野 隆治さん」より
ギネスで認定されている扉
プラズマは磁力線の籠で縛られる
トーラスプラズマを閉じ込めるには、磁気面と称する磁場の容器を準備します。磁気面は無数にあって、閉じ込められたプラズマの内外の空間をくまなく覆い尽くしています。プラズマが閉じ込められるのは、磁気面が閉じた領域の内側です。磁気面には次のような特徴があります。まず、磁気面は等圧面になっていてその上ではプラズマ圧力が同じです。プラズマを閉じ込めた磁気面は、空気でふくらんだ浮き輪のようなものです。次に、磁気面上はいたる所にヘリカル状の磁力線が走っていて、同じ磁気面上ではヘリカル状磁力線のピッチがすべて同じです。
「トコトンやさしい核融合エネルギーの本 井上 信幸さん:芳野 隆治さん」より
プラズマは磁力線に沿って流れて装置の下部のダイバーターと呼ばれる領域へ導かれます。ダイバーターではプラズマを金属や炭素の板にあてて処理しますが、その前にプラズマの熱エネルギーを下げなければ板が溶けてしまいます。それを防ぐために、板に当たる前のプラズマにガスを吹き付けて光らせ、放射冷却により温度を下げてやります。光のエネルギーはダイバーターのまわりの冷却した壁に吸収されます。
「トコトンやさしい核融合エネルギーの本 井上 信幸さん:芳野 隆治さん」より
注記
部分的に
「トコトンやさしい核融合エネルギーの本 井上 信幸さん:芳野 隆治さん」の本の内容を抜粋して書いているけれど、核融合科学研究所の装置がこの本の内容通りかは不明。