テレビで紹介されていた土光敏夫さん。
彼は「めざしの土光さん」と呼ばれていた。偉くなった後も、めざしを食べて質素な生活を送っていたからだ。本を読んでいて、なるほどと思うことがたくさんあった。
例をあげると
幹部はときどき現場を歩け。歩くことによって物がはっきり見えてくる。
現場には『銀座通り』もあれば『裏通り』もある。幹部は裏通りを歩くべきだ。成績のわるい職場、問題をかかえている職場、陽の当らない職場をこそ見るべきだ。そして、現場の人たちに声をかけ問答をかわせ。起工式や竣工式の現場にだけ姿を現わす幹部は、よそものの神官と同類だといわねばなるまい。
社会人としての経験が長くなってくると、色々な面に気付くことがある。幹部が現場を全然見に来なかったり、来たとしても現場の人間と言葉を交わしていなかったりする。これだと現場が何に対して不満を抱いているのかわからないだろう。そして幹部が通る『銀座通り』は予定に組み込まれているので、前もって不備がないように綺麗に舗装がされて、ゴミが落ちていないようにしているのだ。幹部の人間のどの位が、舗装がされていない暗くて汚い『裏通り』の存在に気付いているのだろうか。
これは日本の社会構造にもいえることだけれど、日本の『裏通り』の存在に気付いて本気で光を当てることが出来るのは誰だろうか?