舞妓さんが挿す簪は、花簪以外にもいくつかあります。
銀のびら簪や玉簪、平打ち、前差しまたはびら留とも呼ばれる簪もあります。
上の画像は前差しというもので、金属製。
前差しはびら簪の上部に挿します。
上の画像の二本の前差しですが、右側は簪屋さんで購入した市販のもので、左側はブローチに簪の台をドッキングさせて髪に挿せるようにしてあります。
舞妓さん自身が購入した気に入ったブローチやお客様からプレゼントされたブローチを簪にしたいな~ということで、簪屋さんから専用のものを買って簪にするわけです。
ブローチのピンの部分を筒状の金具に通してドッキングさせるのですが、そのままだとブローチがプラプラする為にボンドで固定しているとも聞いたことがあります。
上の画像は、小さい花簪を前差しにしている舞妓さん。
この場合、紫陽花の花簪には小さい紫陽花というように、同じ月の物を合わせています。
以前は金属やブローチを簪にしたものや、置屋に伝わる珊瑚や翡翠などの簪を前差しとして挿す舞妓さんが多かったのですが、この10年ほどは特に祇園甲部では小さい花簪を前差しとして挿す舞妓さんがちょこちょこといます。
もう引退されていますが、簪など身につける物にこだわりを持っていたらしいお洒落さんな、とある舞妓さんが前差しを花簪と一緒に季節ごとに替えて挿すようになったから、という話があり、確かにその舞妓さんの姉妹筋や仲良しだった舞妓さんを中心に流行っていたように思います。
花簪や花櫛以外にも、前差しにも舞妓さんのこだわりや趣味がでるというのも面白いです。