夕べはカープ前田智徳選手の引退試合。全盛期もすごかったけど、大ケガを乗り越え、リハビリと自分の体と常に向き合う中で、あれだけの活躍をしたことがほんとにすごいことだと思います。偉大な選手が去り、また期待されながらも十分活躍できず去っていく悲喜こもごものスポーツの秋です。
さて、先日某国営放送のスペシャル番組「東北楽天 被災地に誓った初優勝」を観ました。
球団創立9年目にしての初優勝はすばらしいですね!カープは十何年・・・それは置いといて(笑)
マー君という愛称がもう恐れ多くて言えなくなった感のある神様仏様田中様の開幕23連勝という神がかり的な大活躍もさることながら、私はチームを率いる星野監督の言葉が最も印象に残りました。
チームの勢いに陰りが出て5連敗を喫したあとの選手とコーチのミーティングに普段は参加しない星野監督が現れた。選手たちはどれだけ監督に怒鳴られるか、叱り飛ばされるか・・・とヒヤヒヤしながら言葉を待った。
意外にも星野監督はにこやかに静かに語った。
「今年は優勝することになっているんだから」
なあ、だから、頑張ろうよ、と
お前たち、なにをやってるんだ「今年は優勝できることになっているんだぞ」
私が思うに星野監督は「頑張って優勝を目指そう!」としたのではなく
「優勝」という未来を、「優勝した」という既成事実であり過去形にして過去と未来を張り合わせて「今ここ」という現在に持ってきてしまったんですね。
「すでに、そうである」
「すでに優勝している」
だから、安心してそのプロセスを楽しもうよ、味わおうよ、という未来思考です。
東北大震災という負のエネルギーから反転した東北の復興という正のエネルギーに乗っかり、
「すでに今年は優勝している」とシーズン半ば(あるいは初めから)それを描きチーム全体を未来思考で導いた星野仙一という人は名将といえると思います。