魔の山(11)
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Der gleichen erfuhr auch Hans Castorp.
Er hatte nicht beabsichtigt, diese Reise
sonderlich wichtig zu nehmen, sich inner-
lich auf sie einzulassen. Seine Meinung
vielmehr war gewesen, sie rasch abzutun,
weil sie abgetan werden mußte, ganz als
derselbe zurückzukehren, als der er abge-
fahren war, und sein Leben genau dort
wieder aufzunehmen, wo er es für einen
Augenblick hatte liegen lassen müssen.
————————————— (訳)—————————————————
そのようなことをハンス・ガストルプも知って
いた.彼はこの度の旅行をさほど重要なものだと
は考えていなかったし、この旅行にも関わるつも
りはなかった.むしろハンスの意見はこの旅行を、
しなければならないものなら、さっさと片付けて
しまおうというものだった.それで何も変わるこ
となく、出発したときと同じ姿で帰ってきて、さ
しあたり置いたままにしておかねばならなかった
ところから、また同じ日常生活を始める算段であ
った.
————————————〘語句〙————————————————
Dergleichen: (名詞、もと冠詞) [不変化]
ちなみにdergleichen は冠詞(指示冠詞と呼
ばれる). 名詞の意味は「そのようなもの」
「そのようなこと」.冠詞の意味は「そのよ
うな」
Ich habe nie Dergleichen gesehen. /
私はそのようなものを見たことがない.
(不変化なのでDengleichenとはしない)
erfuhr:(過去3単) <erfahren
(2単、3単でウムラウト)
❶(他)(4格を)(聞いたり、読んだりして)
知る
❷(4格を)経験する、[不幸など⁴に] 会う
beabsichtigt: (過去分詞)
<beabsichtigen [ベアップズィヒティゲン]
(他)(4格を) 意図する、もくろむ
weitreichende Veränderungen beabsichtigen /
広範にわたる変更を意図する
Wir beabsichtigen, nächstes Jahr zu heiraten. /
私たちは来年結婚するつもりだ.
sonderlich: [ゾンダーリッヒ] 特別な、格別な
<通例否定語とともに>さしたる~もなく
ohne sonderliche Mühe. /
さしたる苦労もなく
Diese Arbeit machte ihm keine sonderliche
Freude. / この仕事は彼にさほど喜びを与
えなかった.
Er ist niche sonderlich klug. /
彼はあまり利口ではない.
wichtig:(形) 重要な
einzulassen: → ein/lassen (他) […⁴を]
中に入れてやる、通す、注ぎ込む、
はめ込む
sich ein/lassen:(再) […³と]かかわりあう、
つきあう
❷ sich + auf + 4格 [危険なことなど⁴に]
手を出す、首を突っ込む
sich + in + 4格 [危険なことなど⁴に]
手を出す、首を突っ込む
innerlich :(形) 内面の
die Meinung: (enタイプ) 意見、
vielmehr: (副) むしろ、というよりむしろ、
それどころか、いっそ
rasch: (形) (速度が)速い、(決断が) すばやい、
(進歩が) 急速な
abzutun: (zu 不定詞)→ab/tun (他) (…を⁴)
(あっさりと) 退ける、かたづける
❷[口語] (ネクタイ, メガネを⁴) 外す
(衣服を⁴) 脱ぐ
abgetan: (過去分詞) <ab/tun (他) 同上
zurückzukehren: (zu 不定詞)→ zurück/kehren
(自/s)[文語] 帰る、帰って来る、戻る
kehren: (他) [部屋など⁴を] 掃く、ほうきで掃除する
das Zimmer kehren / 部屋を掃く
die Straße kehren /. 道路を掃く
abgefahren: (過去分詞) <ab/fahren (自/s) 出発する
aufzunehmen: (zu 不定詞)→ auf/nehmen (他)
❶(…⁴を)取り上げる、❷(…⁴を)開始する、
❸(…⁴を)受け入れる、❹(…⁴を)収容できる
der Augenblick:(Eタイプ) ❶ 瞬間、一瞬、
❷時点、時期
einen Augenblick lang / ちょっとの間
im nächsten Augenblick / 次の瞬間
alle Augenblick / 絶えず、再三再四
im Augenblick / 目下、たった今
jeden Augenblick / 今にも
für den Augenblick / 今のところ、さしあたり
[4格]+ liegen lassen: …⁴を置いたままにしておく
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