購読している新聞の日曜版に、何とも素敵な写真が載っていました。 「重荷をおろす海辺の棚」と題する、愛知県の佐久島に置かれた約20点のアート作品の一つでした。
「見ているだけじゃ、ただの箱。 入って見ないと分からない」・・・と言われて記者が棚に入って、目を閉じてみると・・・波の音、風の音、鳥の声・・・今まで聞こえなかった音が聞こえてくる・・・ そして、浮かんできたのが「世の中の重荷降ろして昼寝かな」の正岡子規の歌だったそうです・・・
いいなぁ・・・広い空と海と風と戯れながら、いつしか身も心も軽やかになれる・・・ でも・・・この四角い黒い棚に入るのはどうも気が進まない・・・ 四角ではなく丸がいいなぁ・・・ な~んて思いながら記事の写真を眺めているうちに・・・浮かんできたのが、葛飾北斎の「富嶽36景」の中の「尾州不二見原」のあの巨大な桶!
以前「富嶽36景」の展覧会に行った時、それぞれの作品の大胆な構図に心底驚き、浮世絵が19世紀後半のヨーロッパ美術界に一大センセーションを起こした事が素直に頷ける気がしました。 中でもこの大きな桶の図にすっかり魅せられてしまったのです。
ということで、四角い棚をあのまあるい棚にして描いたら面白いかもしれない・・・と、何だかすっかり楽しくなって、私の「おひるねハウス」が描き上がりました~~ お陰さまで、コロナ鬱もすっかり飛んで行ってしまい、まさに「世の中の重荷おろして風の中」の気分になりました。
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過疎の島、佐久島でアートによる「島づくり」が始まったのは1996年で、過疎化の振興策として国から示されたのが「アート」だったそうです。 最初は奇抜なパフォーマンスで芸術性を打ち出したものの、島に馴染まず、「自然や伝統との融合」を目指し、遊んで楽しめるもの、木陰の涼しさや波の音とか、自然を感じられるアート作品を依頼して、島全体に配置したそうです。 すると、若者がインスタ用の写真を撮りに来て、04年度には年間36,000人ほどだった観光客が、15年以降10万人を超えるようになったそうです。
「海辺の棚」の作者は建築家の南川祐輝さんです。 アニメ映画「名探偵コナン天空の難破船」に登場して有名になったそうですが、残念ながら私は見ていません そして、勝手に四角を丸桶にしてしまい失礼いたしました。🙇 でも、素敵な作品から沢山の楽しいアイデアが湧いてきました。 有難うございました~~
(前回のムサビ時代の課題作品を見直したことも、いい刺激になったのかもしれません・・・)