谷中の日本画画材店の金O堂からセールのお知らせが届きました。 そのはがきを見ているうちに、いつまでもコロナが・・・暑さが・・・宇宙人が・・・などと言っていないで、とにかく描こう、という気持ちが少しだけ出てきました。
そこで、小品の作品なら・・・と以前に和紙を張っておいたF6のパネルを棚から取り出してみると、一緒に一枚作品が出てきました。 見るとムサビのスクーリングで「鳥獣戯画」の次に模写した「伴野大納言絵詞」の一場面でした。
伴野大納言絵詞も鳥獣戯画の時と同様、好きな場面を選んで模写して良いことになっていました。 私の場合は、好きな場面と言うより、人が選ばなそうで、なるべく簡単そうな場面を・・・と、なんとも横着な選択基準で選んだのがこの地味な場面でした。
1~3巻ある中の3巻の一場面です。 伴大納言の陰謀が発覚して、役人が取り押さえに来ることを、使いの者が大納言の屋敷に知らせに来た場面です。 大納言の屋敷の老家司が悲痛な面持ちで応対していますが、足元は裸足で慌てて出てきたことが分かります・・・
伴大納言の陰謀とは、政敵の左大臣源信を陥れようとして、応天門に放火し、罪を左大臣に負わせようとしたというもの。 子供の喧嘩をきっかけに、真犯人が発覚し、伴大納言が捕えられることになった最後に近い場面です。
この絵巻は、放火の際の炎の描写や平安時代の人物描写が優れていると言われていて、特に子供の喧嘩の場面では「異時同図法」という手法で、一つの場面の中に三つのシーンが描かれていることが特色の一つとされている・・・等ということを予習しておけば、自ずと描く場面が決まってきたのに・・・予習などする余裕がなく、いつもぶっつけ本番の無茶苦茶学生でした~~
彩色では、絵巻物の古びた色を出すように何度も古色を塗り重ねることから始まり、人物だけでなく、巻物の紙自体の細かい皺や折り皺なども忠実に模写する作業は、思ったより神経を使い、しんどい作業でした~~ 今やれ、と言われても、かなり厳しいかもしれません・・・
でも、「なんでもあり」のムサビ精神で、あの頃のガムシャラな自分に背中を押されながら、描きたい絵を描こう・・・と、今(だけ?)チョッと前向きな気分になっています。
おまけ・・・鳥獣戯画の模写作品を自宅の和室の襖絵にした話は以前の記事に・・・ よろしければこちらをどうぞ⇩
https://blog.goo.ne.jp/herbtea18/preview20?eid=a6a8847f4b9ca25b275b03c6a7a6ffa4&t=1594223526003