『晴れた日には・・・』

日々の雑感を綴ります。

傷一つ 翳一つなき・・・・・・

2014年01月13日 | 雑感
傷一つ 翳ひとつなき 初御空    高浜虚子

今日はもう、1月も13日、
「初御空」は、元日の空のことだから
ちょっと、時期はずれだけれど、気になった一句

翳ひとつなき・・・は、わかるような気がする、
でも・・・・
「傷一つ」は、わからない・・・・

高浜虚子、84歳、最晩年の句

ネットで検索してみたら、こんなことがわかった。

昭和33年12月21日の作。
虚子84歳で生涯最後の「初御空」。
「傷一つ翳一つなき」と完璧なと言いきった。
なんと、美しい宇宙感であろうか。
天地は、どこまでも傷だらけである。
その傷は、人間の心の痛みである。
それに対して、「傷一つ翳一つなき」と言い切った。
元旦の「御空」に穢れを去った無垢な姿を見た。
すべてのものを、仏にお預けするという大乗仏教の思想に似ている。
長い人生をかけて、
自我の固執を脱ぎ捨てた虚子の姿が見える。

「ただ完璧な初空があるだけである。
その下には虚子はいない。
虚子はもう善悪の彼岸に立っている。」
(稲畑汀子『虚子百句』)。『七百五十句』より。

翌年4月8日死去、2度と「初御空」を見ず。
松山市生まれ。(1874-1959)。


詩を書いたり、歌を詠んだり、発句をする人たちは
生や死や、怒りや悲しみや、欲などの邪念や雑念を
こうして少しずつ、昇華していくのだろうか・・・・・・
コメント (3)
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