昔々・・・山間にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
ある日のことです・・・一人の青年が旅をしていましたが、日が暮れてしまい一夜の宿を求めて来ました。
「トントン・・・トントン」
『あれ、今頃だれですかね~ お爺さん』
『どれどれ見て来よう』
お爺さんは、土間の戸を開けに立ち上がりました。
「こんばんは、日が暮れてしまい道に迷いました。
今夜泊めて頂くわけにはいかないでしょうか。?」
そこには青年が立ちすくんでいました。
『お~お~寒いだろう。 ほらほら入りなさい。』
『遠慮はいらないからゆっくりしていきなさい。』
『婆さん、暖かい味噌汁でも出してやってくれんかい』
『はい、わかりましたよ!』
親切な老夫婦に、青年はホッとした。
そして、風呂をいただき、寝床についたときだった。
居間の方からお爺さんとお婆さんの会話が聞こえてきた。
「爺さんや、明日は、《とって投げ》にでもしようかね~」
『婆さん婆さん、それなら《半殺》しにしたほうがいいだろ』
「爺さん爺さん、それなら《みな殺し》にしてしまいましょう。」
『それはいい、じゃー《みな殺し》にでもしようか。』
それを聞いていたいた青年は、寝るに寝れません。
青年は、一睡もしないで、夜明け前にその家を出て、麓の家に助けを求めました。
青年は老夫婦の話を、麓の家の人に説明したのです。
すると、その家の人は、腹を抱えて笑ったのです。
「ハハハハ・・・それは、あなたをもてなそうと御馳走の話をしていたのですよ。」
とって投げは・・・すいとんのこと・鍋に練った小麦粉をつまんで取って投げいれるからね。
半殺しは・・・・・・ぼた餅(おはぎ)のこと・米を半分潰すからね。
みな殺しは・・・・お餅のことだよ・米をしっかり潰すからね。
「さあさあ、帰ってご馳走になって来なさい。」
青年は、早がってんしたようですね。
土地が違うと呼び方も変りますよね。
実際に東北では、このように呼ぶところがあります。
その時は、怖がらないで、安心して休んで下さいね。
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