故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

五感で語る

2022-07-12 03:09:32 | よもやま話

私の描かしてに応えてくれた「やっちまったぜ」(絵のタイトル)です。


苦塩に 母の手くぐり 燻し飯

雨の勢いが強まった。
窓を閉めた。
部屋に熱気がこもる。
また、窓を開けた。
遠くに船のエンジン音がする。

ぬるめの煮だしウーロン茶を飲む。
あの人の似顔絵を描かずにいる。
描いた似顔絵に言葉を添えた。
桜時分のまだ肌寒さと共に覚えている。
池のほとりの桜を観に来た90歳過ぎのおばあさんと娘。
おばあさんの似顔絵に、「どちらも咲いた」と添え書きをした。
娘さんが、まだかと似顔絵を取りに来た。
私にしては、早めに仕上げていた。

今日のタイトルは、「五感で語る」です。
情景描写だけで、今の自分の心境を語りたい。
開けた窓から雨に濡れた空気が漂い侵入してきた。
湿った匂いがない。
闇は、無音。

蒸気機関車を壊した夢を見た。
これまで付き合った人たちが、部屋で麻雀をしていた。
機関車を起動するリモコンのスイッチを入れたまま寝てしまった。
蒸気機関車は、真っ赤な火の塊となってフェンスを突き破り止まった。
明日、先生に壊したと謝まることにした。
妻が夕餉の支度をする気配がした。
布団の上から動けなかった。

昼頃、突き上げる草をかき分けながら草刈をした。
斜面を昇ることはなかった。
流れる汗が、出て来た太陽にさらに焼かれた。
妻が運んだ冷たいお茶を飲んだ。
草刈り機を抱えて山を下った。
庭の草を刈った。
そして、家に入った。

優れた作詞家は、情景描写だけで情緒を醸し出す。
優れた小説家は、妄想だけで恐怖を植え付ける。
聞き手と読み手が勝手に考える。
だけど伝わる。
書き手の周到で綿密な作戦が隠されている。

2022年7月12日
コメント
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