去年の今頃、リョー坊は自転車にも乗れなかった。正確に言えば、みんなが自転車に乗っていても、自分は走ればいいと思っていて、自転車に乗る必要性をマッタク感じていなかったといことなんだ。だけど、保育園の最後のイベントが自転車ツーリングで、そのイベントまでには乗れるようになっておかなくちゃなんなくて、昨年の今頃、自転車の猛特訓をしたんだった。
特訓を始めて2時間後には乗れるようになったけど、膝、スネ、手の平はズル剥けになった。もちろん泣きながらの特訓だった。大げさかもしんないけど、そのときボクは鬼になった。
「どんなことがあっても今日乗れるようになろう」って、二人で約束してから特訓を始めたんだった。
練習を始めて、すぐに転んでケガをして泣き出した。
だけど、リョー坊は諦めなかった。よく頑張った。
自転車に乗れるようになって、春先は、いろんなところに遊びに行った。だいたいがサワガニ採りや魚釣りだったけど、まさか1年後に、リョー坊と野球の練習をやってるなんてそのときは夢にも思っていなかった。
今日、ゴロ捕りの練習で、リョー坊が泣き出した。
「おとーさん、ムリ~」って。
だんだんゴロのスピードを上げていったんだけど、体にボコボコ当たりだして、それから腰が引けたような状態になったんだ。
「ぬしゃぁ~、しっかりせんやぁ~」。グランドにボクの声が響いた。
ボールが当たったところに手を当てて、そりゃぁもう痛そうで、息もずいぶん上がってたけど、ここが踏ん張りどころかもしれんって思ったのだった。
気合を入れると、リョー坊のプレイが甦ったように良くなった。
まだイケるかもしれんと思ったボクは、
「おっしゃぁ~、もっと強いの行ぐぞ~」
リョー坊は、ソレをひらりとよけると、後ろに転がっていったボールを拾いに行った。
ボールを拾うと練習着の袖で顔を拭い始めた。そして、ボクに向き直ると、「おどーざん、づよいのムリィ~」って、泣き声だった。
あちゃぁ~、泣かしてしまったぁ~。やりすぎたぁ~。
「ちょっと早すぎたねぇ~、ゴメンゴメン、ゴメンヨォ~、リョー坊」
ボクは、頭ナデナデ・ナデ声作戦をするしかなかった。
寝る時間になって、リョー坊が言ってきた。
「おとーさん、マッサージしてぇ~」ネコナデ声だった。
リョー坊は、マッサージされながら眠ってしまった。
特訓を始めて2時間後には乗れるようになったけど、膝、スネ、手の平はズル剥けになった。もちろん泣きながらの特訓だった。大げさかもしんないけど、そのときボクは鬼になった。
「どんなことがあっても今日乗れるようになろう」って、二人で約束してから特訓を始めたんだった。
練習を始めて、すぐに転んでケガをして泣き出した。
だけど、リョー坊は諦めなかった。よく頑張った。
自転車に乗れるようになって、春先は、いろんなところに遊びに行った。だいたいがサワガニ採りや魚釣りだったけど、まさか1年後に、リョー坊と野球の練習をやってるなんてそのときは夢にも思っていなかった。
今日、ゴロ捕りの練習で、リョー坊が泣き出した。
「おとーさん、ムリ~」って。
だんだんゴロのスピードを上げていったんだけど、体にボコボコ当たりだして、それから腰が引けたような状態になったんだ。
「ぬしゃぁ~、しっかりせんやぁ~」。グランドにボクの声が響いた。
ボールが当たったところに手を当てて、そりゃぁもう痛そうで、息もずいぶん上がってたけど、ここが踏ん張りどころかもしれんって思ったのだった。
気合を入れると、リョー坊のプレイが甦ったように良くなった。
まだイケるかもしれんと思ったボクは、
「おっしゃぁ~、もっと強いの行ぐぞ~」
リョー坊は、ソレをひらりとよけると、後ろに転がっていったボールを拾いに行った。
ボールを拾うと練習着の袖で顔を拭い始めた。そして、ボクに向き直ると、「おどーざん、づよいのムリィ~」って、泣き声だった。
あちゃぁ~、泣かしてしまったぁ~。やりすぎたぁ~。
「ちょっと早すぎたねぇ~、ゴメンゴメン、ゴメンヨォ~、リョー坊」
ボクは、頭ナデナデ・ナデ声作戦をするしかなかった。
寝る時間になって、リョー坊が言ってきた。
「おとーさん、マッサージしてぇ~」ネコナデ声だった。
リョー坊は、マッサージされながら眠ってしまった。