気がつけば、最後に投稿してから5ヶ月が過ぎている。
感想文など。
既に故人となっているが、熊本にこんなスゴイ思想家がいただなんて。熊本の文芸界隈については全くムチムチであった。
ところで本書は、とにかく、良書であった。
江戸末期から明治初期に来日した異邦人が記した膨大な資料を渉猟し、その異邦人の目を通して、当時の人々の生活、習俗、心情を活写しながら、それらが既に失われた一つの「文明」であったこと明示した傑作!
この失われた「文明」は、西欧近代化してしまった現代の我々日本人には全く受け入れられないだろう。しかし、その「文明」に懐かしさを禁じえないのは、その「文明」を育んだ永い歴史の中で私たちに刻印されたDNAのようなナニかがあるからなのかもしれない。
また、その「文明」下に生まれたとして私はこの年齢まで生きることは困難であっただろうと思うのだけれど、そういう思考と、当時の人々が抱いていた底抜けの明るさを有した不思議な諦観とも言うべき想念に否応なく共鳴してしまったのだから仕方がない。
そして、いわゆる現代社会というやっかいな環境から独立した完全な人権を有した一個人という観念を放棄して、むしろ自然の摂理の一部として、この世に溶け込むような生きかたを選択することのほうが、私のような不遜な人間の身の丈にあっているのではないかと思うに至った。
つまり、ごくごく簡単に言ってしまえば、愛犬のサラちゃんと私と命に特別な差は無く、どちらも等しく大事であり愛おしい存在であるということを存分に感じながら日々を過ごすという生き方がラクチンなのである、というこである。
サラちゃん、大好きだよ。
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