1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

講演その6(モザイク2)

2011-08-17 16:56:33 | 雑談の記録


この図は、海溝で起こっている様子を断面で示したものです。この下の赤紫部分がプレートの一番上の方で、この左端っこの緑部分が大陸プレートというふうに思って下さい。
そうすると、このカラフルに色分けされたものはナンダということになるのですが、これは海溝の窪みに溜まったものということになります。
海のプレートの上には玄武岩やら砂・泥が固まった砂岩や泥岩が運ばれてきます。また、当然陸側からだって、河川によって運搬された泥や砂が海溝に溜まります。それらが、海溝ではゴチャマゼになってなって大陸側に貼り付けられるのですが、これが、結果として「モザイク」模様を作っていくのです。




このようにして、海溝、つまり窪地に溜まって大陸に貼り付けられたものを「付加体(フカタイ)」と呼ぶのですが、これが日本の土台となっているのです。もっと簡単に言うと、ベルトコンベアに乗った土砂がベルトの端っこの方で、何かに遮れて、糞詰まりになって溜まったような状態です。もし、土砂が色分けされていたらグチャグチャのモザイク模様になることが想像できますね。
しかし、モザイク模様になることは悪いことなのでしょうか。



この図は、先ほど言いました付加体についての学術的なモデルですが、つまり、「モザイク」になるということは、強く変形したり、褶曲したり、断層によって分断されたりしていることを意味します。分断されたり、強い変形を受けたりした岩石は、それだけ劣化を受けたことになります。緩んだり、亀裂が多くなったり、破砕されたりといった具合です。
そして、それらが、地表に向かって押し上げられると、地表に達したものは強く風化して、さらに劣化が進むという具合です。
結果として、日本列島は、欧米などの古い時代にすでに安定化した大陸部のものと比べて、はるかに特異で著しい劣化過程を経ていると言えます。
ご理解頂けたでしょうか。
では次に「モザイク」の実例を示したいと思います。




これは、芦北地域のある採石鉱山の切羽写真です。ご覧のとおりモザイクになっていることがわかると思います。全体的に黒色で泥岩が多いのですが、白っぽい部分が砂岩やチャートです。そして、断層によって地層が分断されているのがわかると思います。さらに、ここの断層沿いは、弱部になっている為に、ここで溝状に崩壊しているのがわかります。
これは、切羽スケールでの「モザイク」な話しですが、調査ボーリングのスケールではどうなっているでしょうか。




このボーリングコアは、先ほどの採石鉱山のすぐ近くで採取されたものです。全体に弱い風化を被っていて砂岩を主体としていますが、砂岩の中には取り込まれた泥岩やチャートの岩片が見られます。
この黒っぽいところが泥岩で、この白っぽいところがチャートですね。また、泥岩はひどく変形、破砕されているのがわかります。
このようにですね、全体を見てもモザイクになっているところは、細かくみてもやはりモザイクになっているのです。
そして、このように「モザイク」になっていることこそが、土砂災害などのリスクや、あるいは岩石の硬軟の違いが原因で工事現場でのリスクを高めているということになるのです。
ご理解頂けたでしょうか。
では、次のキーワード「キズだらけ」にいこうかと思います。




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