三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

トヨタ株価:時価総額、30兆円!

2007年03月01日 12時20分19秒 | 読書
 トヨタ株価:時価総額、日本企業で初めて30兆円突破
 東証1部上場のトヨタ自動車の株価が27日、前日終値比50円高の8340円で取引を終え、発行済み株式数を掛け合わせた時価総額が約30兆1000億円となった。30兆円の大台を超えたのは日本企業として初めて。2位は三菱UFJフィナンシャル・グループの16兆円台、3位はNTTドコモの10兆円台と、トヨタは企業価値で他の日本の大手企業を大きく引き離している。
 海外市場を中心に販売好調が続くトヨタは、07年にも世界生産・販売台数で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き、世界1位となることがほぼ確実。また円安も追い風に07年3月期連結決算での最終(当期)利益が1兆5500億円と過去最高益を更新する見通しで、好業績を背景に株価の上昇が続いていた。
 トヨタの株価は05年半ばまで4000円前後で推移しており、わずか1年半余りで2倍に上昇した。(『毎日新聞』2月28日付【三島健二】)

 トヨタは製造業で世界一の利益を上げ、自動車の売上台数世界一も目前に迫っている。だが、この世界一の利益、営業利益で二兆円を超え、純利益で一兆五千億円に迫る。
 確かに生産が増え、販売が増えた。トヨタの2000年3月決算時の売上高は12兆9千万円であったのが、2006年度には21兆円になり、6年間で1・63倍になった。生産台数も500万台から771万台、1・54%になった。しかし、この間にトヨタの利益は4100億円から1兆3700億円、実に3・4倍に膨らんだのである。当然、売上利益率は3・15%から6・52%と、2倍に拡大した。

 労働者はどうなんだろう。
 この結果は、トヨタをはじめとする大企業のすさまじいコストダウンによるものであり、それを可能ににしたのは労働市場の規制緩和による。
 労働市場規制緩和の担い手となったのがトヨタ出身経団連会長奥田氏であった。そしてトヨタと日本の大企業のコストダウン要求は単なる非正規労働者の導入によって解決できるレベルではなかった。下請企業はより安い外国人労働者を導入し、さらに次から次へと違法行為を積み重ねた。そのことによって日本の労働市場は不法状態が構造化していった。この規制緩和が偽装請負・違法派遣・偽装出向、残業割増・社会保健・年金未払い、年次有給休暇未支給、労災隠し、賃金未払い、違法解雇等などを生み出した。そればかりではない。このトヨタ下請企業は現代日本型の強制労働にまで手を染めていた。

 世界一の企業トヨタは、労働者に対する処遇も世界一であってもらいたい。
 

ニセ科学

2007年02月14日 09時41分00秒 | 読書

 ニセ科学と大リーガー
『毎日新聞』2月14日 コラム「発信箱」本日は元村有希子氏。
 日本人がニセ科学に踊らされる様子をニューヨーク・タイムズにからかわれるのは、些か片腹痛いという思いがするが、元村有希子氏の指摘は当然であろう。「あるある大辞典」の例もある。
 以下元村氏のコラム。

「O型大リーガー」
 松坂大輔選手がボストン・レッドソックスへの移籍を決めた時、米ニューヨーク・タイムズが「O型の日本人大リーガーと変な科学」という読み物を載せた。
 いわく、日本人で最も多い血液型はA型なのに、松坂選手のほか松井秀喜、松井稼頭央、井口資仁の各選手も0型である。そして「日本では、マクドナルドでテリヤキバーガを頼むのと同じぐらい(これは誤解)血液型で人格を予想することが普通」と続く。ちなみに野茂英雄選手やイチロー選手はB型、新庄剛志選手はA型だ。例外も無視できない。
 もとより、血液型と性格の関係に科学的根拠はない。「O型の選手は大リーガーとして成功する」という説はウソである。
 本紙科学面の連載「理系白書」は、こうした「ニセ科学」を取り上げ、どう付き合えばいいかを考えている。反響の中には「ニセか科学と決めつけるなら、ニセ科学であることを証明すべきだ」という意見も少なくない。
 ほとんどの場合、それは不可能だ。なぜなら、提唱者が実験の手法もデータも公開せず、恣意的に導いた結論を公表することが多いからだ。科学的な実験をしているかも不明だ。
 科学的であるということは「提唱者が実証し、同じ条件なら誰がやっても同じ結果が出る」こと。それができないものは科学と呼ばれない。
 これが[ニセ科学」の分かりやすい見分け方である。 
                             (環境科学部)

 


米、ベトナムを抜く対テロ戦費

2007年02月06日 13時16分30秒 | 読書
アメリカ対テロ戦費96兆円!

 ブッシュ米大統領は5日、08会計年度(07年10月~08年9月)の当初予算にあたる予算教書を議会に提出する。
 イラクでの米軍経費が大半を占めるテロ戦費約1450億㌦を計上。07年度の補正予算でも、テロ戦費1000億㌦の追加支出を議会に求める。
 同時多発テロが起きた01年以降、テロ戦費はすでに5000億ドルに達して
おり、約500億㌦と予想される09年度も含め、9年間で総額8000億㌦(約96兆円)に膨らむ。 
 今の貨幣価値で6000億㌦程度とされるベトナム戦争の戦費を大きく上回る。(『毎日新聞』2月6日付)

のだそうである。
  
 そら恐ろしくなる。アメリカが何をやろうと知ったことかではあるが、日本も無関係ではあり得ない。
 知らんぷりをするか。
 日本国憲法を守り抜くか。
 われわれとしてはいずれかの選択しかない。



納豆騒動のからくり

2007年01月24日 10時41分31秒 | 読書


 「納豆騒動のからくり」というタイトルで、今日の『毎日新聞』コラム「発信箱」は、環境科学部元村有希子記者が書いている。一読されてはどうか。
 
 【 「納豆騒動のからくり」 元村有希子
 騙されるなという方が無理だろう。納豆騒動、ふたを開ければ巧妙なおぜん立てのドラマだった。
 まず役者がそろっている。主役は納豆という健康食品の優等生。一般人男女が食べて見せ、採血の結果は「中性脂肪が減った」。米国人の学者が「ダイエットにいい」と太鼓判を押した。
 舞台も申し分ない。優良企業がスポンサーを務める人気番組である。納豆を買いに走った視聴者は、いわば集団催眠にかかったようなものだ。
 内容に客観性と説得力を持たせたいとき、科学的手法はかっこうの演出になる。同じ条件なら、誰がやっても同じ結果が出るのが科学の前提だ。だから信用される。今回は実験そのものがねつ造だったわけで、科学への信頼が悪用された。
 製作会社は2年前にも、他局の番組で花粉症に関するデータをねつ造していた。番組打ち切りまで経験しながら、科学的な手法を使えば信頼度が増すことを知っていて繰り返した。二度あることは三度あるという。社内調査では、過去もちゃんと調べてほしい。
 科学者ももっと怒っていい。番組には計3人の研究者が出演し、結果的にねつ造の片棒を担いだ。取材を受けた日本人研究者は「全体の構成までは知らされていなかった」という。科学者の地位も悪用された。
 これでもかと効能をアピールする健康情報番組が国民からまゆつばものと思われているならいいが、商品が店頭から消える事態を見ると心配になる。「科学の演出」が必要なら、一方で「まゆつば」度を星の数で示すぐらいの節度があってもいいと思う。 (環境科学部)】

 冷静に見たいものだ。

 


WEB2.0

2006年09月04日 06時13分27秒 | 読書

 『朝日新聞』金融情報欄 コラム「経済気象台」
 
 梅田望夫氏の「ウエブ進化論」が話題だ。
 書かれていることを十分に理解しているかと問われるとすこぶる心もとないが、もやもやとしつつも何か根本的に違う常識が動きつつあるとの印象が強い。一気に読んだあと、強迫観念にせかされるように、たくさんの人に勧めている。
 その違う常識がWEB2・0という概念で集約されるようだ。これがまた分かりにくいのだが、具体的な事例を見るとうなずけるのものもある。
 たとえば「ウイキペディア」。小生も大変重宝させてもらっているが、なぜこのようなものが作られ得るのか。これまでの常識では説明不能だ。英語版の130万項目を筆頭に、200以上の言語で総項目数480万もの事典ができ上がっているという。執筆者は各分野の権威というわけではない、基本的には無償のボランティアだ。自分の知りたいことや知ってもらいたいことを調べて、その結果を人の役に立たせることが動機という。そうだとすればすごいとではないだろうか。同じようなことはリナックスというOSが作られる過程でも見られた。あのような膨大なプログラムが多くの一般有志によって開発されることは、当時の常識では考えられなかった。それが今や、ネットワーク用のサーバーのOSとして、またPDAや携帯電話などのOSとして多用されるまでになっている。
 時あたかも団塊世代の退職がはじまっている。最近退職した人たちと接すると、時間の過ごし方に悪戦苦闘している人が多いようだ。この人たちが持っている識見をウイキペディアやリナックスのようなモデルで活用できれば、大きな社会資産になるに違いない。
会社という組織形態にかかわらず、個々人の自発的・主体的な言動が総体として社会的な価値を生み出すーー。そんなしくみが動き始めたのかも知れない。(照)

9月1日付の『朝日新聞』です。「もやもやとしつつも何か根本的に違う常識が動きつつあるとの印象が強い」。
ビギナーであるが、そんな気がする。やっとパソコンをまともに使おうという機運が高まったのか、団塊の世代の出番かなと思える。  
 (照)氏は、もっと手練れなんだろうけど。

 


ヘルマンヘッセ『庭仕事の楽しみ』

2006年08月29日 08時08分12秒 | 読書
ヘルマンヘッセという作家がいました。
1946年ノーベル文学賞
1962年没
『車輪の下』『郷愁』ぐらいは読んだと思う。内容はわからない。
晩年は執筆以外の時間は戸外で自分の庭で過ごすことを日課とした。
『庭仕事の楽しみ』(草思社1900円)という作品がある。珠玉のような言葉でつづられた、詩、文、添えられた絵も素晴らしいです。高くないです。
 ちょっとだけ紹介します。

 夏の夜の提灯
暗い涼しい庭に 暖かく
色とりどりの提灯が並んで漂う
葉群の中からやわらかな
謎めいた光を放っている

ひとつはやさしくレモン色に微笑み
赤や白の提灯は哄笑している
青い提灯は 梢にかかっている
月か幽霊のように光っている。

突然ひとつが炎につつまれ
燃え上がって すっと消える……
姉妹たちは 無言で見ぶるいし
微笑みながら死を待つ
青白い月色の ワイン色の ビロード赤の姉妹たち


この絵はこの詩に添えられたヘッセ自身の水彩画。


劣情を煽る

2006年08月23日 06時12分04秒 | 読書
毎日新聞 2006年8月21日「発信箱」

《 「劣情をあおるな」 山田孝男
 フランスは第一次大戦でドイツの侵攻をよく防いだが、多大な犠牲を払ったために戦後は反戦思想が行き渡り、平和と繁栄に浸りきっていた。野望を秘めて軍拡に努めたヒトラーの意図を見抜けず、パリはあっけなくドイツ軍に占領されてしまう。昨年日本語訳の復刻版が出た「フランス敗れたり」(1940年)は、渦中を生きた作家、アンドレ・モーロワの回想記である。
 ひるがえって今日。防衛白書によれば、中国の国防費は18年連続で2ケタの伸び率を示した。米国防総省年次報告によれば、中国の意図は短期的には台湾の独立阻止だが、長期的には東アジアで活動する他国軍にとって確実な脅威となり得る。北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器が日本にとって重大な脅威だ。政府が的確な情報を示して国民を説得する限り、自衛隊が米軍の協力を得てよく対処し得る国防政策を支持したいと思う。
 同時に、中国なり北朝鮮なりの独裁政権の意図や軍事的能力を見極めて対抗することと、中国人、朝鮮人を敵視することは区別しなければならないと思う。「フランス敗れたり」の冒頭でチャーチル(後の英首相)はモーロワに「女の愛だの男の野心だのではなく、ドイツに追い抜かれたフランスの空軍力について書きたまえ」と忠告するが、ドイツ人をののしったりはしない。
 最近は平和ぼけ批判の名の下に、身もふたもない民族的偏見をかき立てる出版物が目に余る。相手国が自国民の劣情をあおる反日宣伝に走ろうとも、日本の市民社会は真の国防と悪乗りを厳しくより分ける成熟を示すべきだろう。(編集局) 》
 

「平和ぼけ批判の名の下に、身もふたもない民族的偏見をかき立てる出版物が目に余る。相手国が自国民の劣情をあおる反日宣伝に走ろうとも、日本の市民社会は真の国防と悪乗りを厳しくより分ける成熟を示すべきだろう。」
 全く同感である。
 しかし、『毎日新聞』記者氏なかなか書きますね。頑張って下さい。
 7月30日付のこのブログも似た内容です。ひまのある方はご一読下さい。




 劣情をあおる出版物の一部。2冊「聞けわだつみの声」はさまってますがこれは別。必読です。




危ない本

2006年07月31日 15時30分01秒 | 読書
近頃大規模のチェーン店の書店が増えています。その書店しかないので行きますが、どうも頭が変になってきそうです。
特に、歴史、教育、思想、ノンフィクションといったジャンルの本がおかしい。
かつて、いるにはいたがキワモノ的に見られていた人物の本が平積みされています。
藤岡信勝氏、八木秀次氏、渡部昇一氏、西尾幹二氏,櫻井よしこ氏、上坂冬子氏、曾野綾子氏、小林よしのり氏、新しい顔ぶれもたくさんいますし、稀代の詐欺師山本七平氏はもう死にましたが、いまだに「日本人とユダヤ人」(山本七平氏がイザヤ・ベンダサンという人物を捏造し、それを自分が訳出したというふうにして発表した)というような本がまだあります。
こういう歴史を偽造しようとする人々はもう認知されてしまったのでしょうか。
本屋でタイトルと見出し、目次、パラパラと立ち読みするだけです。読まずに言うなと叱られそうですが、とてもこんなものを買ってまで読む財力と忍耐がないのです。
危ない時代になってきたと思うのです。大量に積まれていますが売れているのでしょうか。
そしてこの「WAY」という本屋には岩波書店の本がないのです。もちろん新日本出版社の本もありません。「お取り寄せ」だそうです。
特定の書き手の書物は置くが、学者として優れた、名の知れた専門家のものでも置かないというようなことは許されるんだろうか。
書店が著者、出版社を選別、差別をして、一方で偽物を大量にばらまく。ここにも日本の民主主義崩壊の兆しがみえます。
早く立て直さないと。



安倍譲二 『男の条件』

2006年07月29日 06時23分27秒 | 読書

 安倍譲二という作家がいます。
 『男の条件』(ゴマ書房)という本の中で、次のようなことを書いています。    
  「昭和のバカな軍人と政治家どもが愚劣極まりない戦争をはじめ、日本を焼け野原にしてしまった。…」 
 今はその日本も今日のような状況に立て直した。と述べ、そのことについて次のように言う。
 「焼け野原をそうしたのは、天皇でもなければ、横綱でも王・長嶋でもない。まして、タレントや芸能人なんかでは断じてない。    
 工員たちをはじめとする勤め人、つまり月給取りがそうした。   
 この焼け野原からの復興は、万里の長城をつくった中国人、ピラミッドをつくったエジプト人以上に、世界史に特筆されるべき奇跡だと私は思う。だから、日本のサラリーマンというのは、じつに世界史的存在ですらあるのだ。 
 彼らは長い間、五百円亭主といわれてきた。垢抜けないダークスーツを着て、一年中満員電車に揺られて家と会社を往復する月給運び人。その彼らの昼食代、タバコ代、床屋代、赤提灯代、全部ひっくるめて一日平均五百円というのが五百円亭主のそもそもの語源だ。
 現在だって、彼らは二千円亭主がやっとではないだろうか。経済大国といわれながら、その主たる支え手たちは信じられないほどの悪条件の中で、今日も黙って働いているのだ。
  誤解されると困るからいっておくが、私はゴロツキのころでも、そうして真面目に働く人たちを軽蔑したことはなかった。口にしないまでも、心の中では尊敬の念で一杯だった。 
 そういう真面目なサラリーマンの方たちをバカにするという、とんでもない風潮がある。いや、真面目そのものがネクラとバカにされるそうだが、とんでもない世の中になったものだ。真面目にやらなきゃ、ヤクザだってモノにならないというのに。(以下略)」   
 
  
安倍さんもご存じなのでしょうが、 そのひたすら真面目に働いてきたサラリーマン、定年を迎えます。リストラで既に辞めさせられた人もいるでしょう。
 その人たちはいま、退職金は削られ、年金は減らされ、医療も介護も改悪され、悲惨な老後が待っています。ゼロ金利のおかげでなけなしの貯金も増えていません。 
 安倍氏の言う世界史的存在を遇するにはあまりにひどい政策ではないですか。
 労働者をバカにする。これが小泉流「改革」「規制緩和」です。
 〇七年問題と言われるように退職者が増えますが、まだまだ体力、気力、知力、衰えていないと思います。腹立つこと、許せぬこと、あいつに言いたいということなど積極的に発言し、関わっていってくれることを期待します。
 踏んだり蹴ったりとかイジメとかにはずいぶん耐えてきたので打たれ強いのです。しぶとく生き抜きましょう。

 


「勝利が舞い込んだ」とはなんたる言いぐさか

2005年03月31日 11時21分33秒 | 読書
 まずは良かったバーレーン戦 
やっぱり私は中田ヒデが鍵を握っていると思う。
彼のあたりの強さ、倒すという気迫を、みんなが持てば大丈夫だと思う。
NHK・BSで見ていたが、NHKのアナウンサー、最後に「我慢に我慢を重ねた結果、勝利が舞い込んだ」と言った。
なにをぬかすか!
たとえ、最後にボールがバーレーンの選手に触れてゴールに入ったとしても、日本の怒濤の攻めが相手のクリアミスを呼び、日本がもぎ取った一点。
選手もサポーターも一丸となって勝ち取ったのだ。
勝利は、舞い込んだり、勝手に降ってきたり、飛び込んできたりするものではない。
気をつけてものを言え!!!