三流読書人

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ドングリ小屋住人 

悼む 岩城宏之

2006年06月14日 20時44分13秒 | 教育 
岩城宏之氏が亡くなった。
彼の音楽をどうこう言えるような人間では私はない。
しかし、彼の著書『オーケストラの職人たち』(文春文庫)を紹介したい。彼の感性の一端を感じてもらえればと思う。
以下その中からの引用
《 音楽会という仕事にたずさわる人間を二つに分ければ、表方と裏方である。指揮者やピアノ、バイオリン等の独奏者は、表方の典型なのだと長年思ってきた。…
聴衆は、膨大な数の裏方の仕事のおかげで、演奏会を楽しむことができる。ごく少数の「表方」われわれは、裏方の働きによって、はじめて存在することができるのである。
裏方の仕事には拍手は届かない。彼らの仕事は、100%完璧にいって当たり前なのであって、それを褒められることはないのだ。そして裏方のほとんどの人は、スポットライトがあてられることを嫌う。
自己顕示専門の仕事を志した人間として、人に知られずにコツコツ仕事をする裏方になる気持ちは、僕にはない。
どうも人間には、裏人間と、表人間という二つの人種が、はっきりとあるようだ。
だが、裏方にはなれない性格のくせにぼくは長年、裏方の仕事に、すごく興味をもってきた。感謝の気持ち持ち続けてきたなどと書くと、キザっぽいのでそういう表現はしないが、でもとにかく、裏方さんあってのわれわれなのである。
日常オーケストラを指揮しているぼくのような人間でも、周りで働いてくれている裏方さんたちの仕事について、知らないことがたくさんあることに気がづく。
音楽が好きで、音楽会へ時々足を運ぶような読者の方々に、彼らの縁の下のすばらしい働きぶりの一部分でも紹介できればと思い、この本を書き上げた。 》

そして、楽器の運搬をする人、写譜をする人、チラシを配る人、調律をする人などについてその働きぶりを述べている。音楽家を支える、音楽を支える人々がいる。
どうかご一読を。

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