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伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

台風災害への対応で一般質問/12月定例会

2019年12月10日 | 市議会
1 台風第19号及び10月25日豪雨への対応について
(1)台風及び豪雨対応でのワンチームについて




伊 藤
 本日最後の質問者となります、10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。

 11月臨時会の質疑に続き、10月12日の台風19号の大雨、及び10月25日の豪雨による災害対応を取り上げていきたいと思います。あらためて、災害で亡くなられた方のご冥福をお祈りしますと同時に、被害にあわれたみなさんにはお見舞いを申し上げたいと思います。



 さて、今回の災害に、震災時の災害対応がどう生きたのかという観点で、災害対応を見ることも必要があると考えています。

 そこでまず伺いたいのは、市長は、今回の災害対応について、ワンチームで取り組んでいく旨の発言をされておりますが、ワンチームで取り組むとは具体的にどのような取り組みを指すのか、お答えいただきたいと思います。


市 長
 先のラグビーワールドカップ2019日本大会におきましては、日本代表が「ワンチーム」をチームスローガンとして掲げ、複数の国籍の選手が、高い目標に向かって結束し、快進撃を続けたことに私自身も感銘を受けたところであります。

 この度の災害に際しましては、発災直後から、本庁舎3階に設置した防災会議連絡員室に、国、県の行政機関をはじめ、防災関係機関やライフライン事業者が参集し、情報の共有と連絡調整を図るとともに、消防団をはじめ、自衛隊、警察、他自治体の支援もいただきながら、全職員が一丸となって、市内事業者、民間団体、ボランティア等のみな様とともに、全力で災害対応に取り組んでまいりました。

 本市を襲った大規模災害という難局を、このような体制のもと、総力を結集し、一日も早く乗り切らなければならないという思いを、ラグビー日本代表が掲げた「ワンチーム」になぞらえ、表現したものであります。


伊 藤
 今回の災害対応には、様々な団体がワンチームになって対応したということでございますけれども、その前提としてですね、行政がワンチームになってあたるということがなければ、全体のワンチームということは成り立たなくなってくるっていうふうに思うんですが、市長はですね、行政がワンチームになってあたるという考えももって、これまでの災害対応を進めてきたというふうに考えておりますけれども、市長のご所見はいかがでしょうか。


市 長
 そのとおりです。


(2)本市を襲った水害について


伊 藤
 そうだと思いました。そこでワンチームの視点から本市のこの間の災害対応を、概括してみたいと思います。

 まず、今回の水害が占める位置を確認したいんですが、本市が体験してきた大規模水害の被災規模は今回の水害も含めてどのようなものだったのか、伺いたいと思います。


危機管理監
 今回の台風第19号等における被害につきましては、令和元年11月26日現在の災害報告書で申しあげますと、
事故によりお亡くなりになった方1名を含めて死者9名、
負傷者31名、
被害額375億8,183万円、
家屋被害は全壊106棟、
大規模半壊774棟、
半壊2,721棟、
一部損壊778棟、
計4,379棟となっております。

 一方、過去に災害救助法の適用を受けた主な大規模水害における被害で申し上げますと、
昭和61年8月の水害では、
被害額、これは公共施設や崖崩れ等の被害額となっておりますが、46億7,998万円、
全壊1棟、
半壊2棟、
一部損壊4棟、
計7棟、

平成元年8月の水害では、
死者1名、
負傷者2名、
被害額は同様に43億6,640万円、
全壊1棟、
半壊17棟、
一部損壊7棟、
計25棟、

平成5年11月の水害では、
負傷者7名、
被害額は同様に39億6,685万円、
全壊5棟、
半壊7棟、
一部損壊29棟、
計41棟であり、
今回の災害が激甚災害及び大規模災害復興法に基づく非常災害に指定されるなど、本市にとって、これまでに経験のない大きな被害となっております。


伊 藤
 これまでに経験のない、格段に大きい水害が今回いわき市を襲ったということになるわけでございます。

 近年の最大規模の災害となりますと、東日本大震災が筆頭に挙げられます。これには、原発事故による被災という質が違う災害も加わっていましたが、今回はそれに次ぐものと言えると思います。

 質問を準備するにあたって、震災対応を記録したいわき市・東日本大震災の証言と記録に目を通してみました。
 すると、その記述に、本市は、大きな台風等の災害は気象情報等で、ある程度予測ができることから、既存の体制を強化しながら「水防」の体制で対応し乗り切ってきたものの、震災は被害の規模が甚大で、初動対応期は、ほぼ平常時の対応を中断して、災害対応に振り向けたという記載がありました。

 この視点から見れば、今回の格段に大きい水害の規模を考えると、迅速に対応を図るために震災のような取り組みが求められたのではないか、そのように感じております。


(3)台風第19号等の初動の対応等について


伊 藤
 そこで、実際の対応について次に伺ってまいりますが、台風19号による災害発生後、被災状況の確認を始めとした初動の対応はどのようになされたのでしょうか。


危機管理監
 今回の台風第19号による災害発生後における初動の対応といたしましては、まず、消防へ寄せられた多くの救助要請に基づき、自衛隊等の協力のもと、被災地区における被災者の救助・捜索活動を実施するとともに、市民のみな様の日々の暮らしに多大な影響をもたらした水道の断水からの復旧に向け、最優先で取り組んだところであります。

 また、被災地区における被災者健康調査等のほか、
災害対策地区本部からの災害報告に加え、
地区本部会議における災害状況や、ニーズ調査結果等の報告等により、被災された方々の状況を把握・共有するとともに、
避難所の運営や物資の確保、
コールセンターや被災者相談総合窓口の設置、
市ホームページへの特設ページの開設、
災害ボランティアセンターの設置などにより、
被災されたみな様からの様々な相談や要望を把握し、総合的に対応するとともに、
生活再建等に関する支援事業等に係る情報提供などに努めてきたところであります。

 さらには、特に甚大な被害を受けた平地区におきましては、現地対策事務所を設置し、地域状況の把握や各種情報の提供のほか、被災されたみな様のニーズに応じた支援物資等の配布に取り組んできたところであります。



伊 藤
 私は中山間地に住んでおりますので、被害もあった遠野町でございますが、最前線の支所等の様子を見ておりました。災害規模が大きすぎて、被災状況の調査等の対応に手が回り切れないという実態が、当初においてはあったのではないだろうか。そんなふうに見ておりました。

 10月17日に開かれた各派代表者会議で、平窪地区等と断水についての被害と対応について報告がありましたが、同じく浸水被害がおきていた遠野や田人、三和など他の被災状況については全く報告がございませんでした。遠野では新しい林道が滑り落ちて、家屋の倒壊も発生している状況でありました。

 それは、大規模な災害に目を奪われて、その他の災害があまり視野に入っていなかったのではないか、災害対策本部においてですが、そんな風にも見えました。そこでこの会議では、他自治体への支援要請や民間事業者の力も借りながら体制もとって、全体の被災調査を迅速に進めるよう求めた経過がございました。

 そう求めたことにはもう一つの理由があります。
13日の朝に遠野地区の被災地域を回り、被災されたみなさんの思いを聞いたことであります。

 被災されたみなさんは、台風が過ぎ去った13日の早朝には、後片付けを始めており、片付けながら、住宅の修理をはじめ生活の再建をどうしよう、支援はどんなものを受けられるのだろう、そんな胸の内を語ってくださいました。多くの被災されたみなさんが、同じ思いを持っていたものと思います。

 この時、すでに災害救助法が適用されていましたが、他の支援策、例えば被災者生活支援法の適用は人が住む住宅の被害戸数が適用の前提になりますし、激甚災害も公共施設等の復旧に要する算定額が基準になるので、被災状況の把握が進まなければ、その先の支援が見えてこない、こういう状況があったのでございます。

 ですから、初動においては、災害の把握の部分に一定力を集中して実態を掌握し、支援策を少しでも早く示すことができる状況を作って、被災者に、たとえそれが小さなものであっても希望の火を灯す、こういう観点からの取り組みが必要だったのではないかと思っていたのです。
ここが十分だったのでしょうか。

 もう一つ、いわき市・東日本大震災の証言と記録から引きますと、平地区本部が本庁の一部部署の一部職員で構成され、地域を概括的に所掌出来ていないこと、また、平時における平地区の業務が、各部各課に分散していても機能していたことが、急を要する災害時にはマイナスに働いた、とする記載があります。

 今回の大規模な水害にあたって、ここで指摘されていた反省点は活かされたのか、お伺いします。


危機管理監
 台風第19号の接近に伴い、災害対策本部の設置とあわせ、平地区本部を設置したところでありますが、同地区本部におきましては、発災直後から、毎日、避難所班や経済土木班などの各班長を招集し、定期的な打ち合わせを行うことで、本部からの情報伝達のほか、各班の活動状況や課題等について、情報の共有を図りながら、避難所の運営や各種支援業務に取り組んできたところであります。

 また、特に甚大な被害を受けた平窪及び赤井地区の被災者支援を目的として、それぞれ現地対策事務所を設置し、各種情報の提供のほか、被災されたみな様のニーズに応じた支援物資等の配布に加え、り災証明書等の受付や高圧洗浄機の貸し出しなどに取り組むほか、被災地区の区長のみな様方と随時に連絡を取り合うことで、地区の要望等を的確に把握しながら、被災者の生活再建に向けた支援に結び付けるなど、平地区本部の充実を図りながら、被災地域の状況把握を通した支援の実施に向け、取り組んでいるところであります。


伊 藤
 先程(の質問で)も平支所の話がございましたけれども、結局、本庁の災害対策本部の各機能が分散して、大規模な水害と断水という二重の被害に見舞われた平地区、好間、小川、内郷中心の災害対応に追われて、結果として市全体を統括する災害対策本部の機能を弱めることになっていたのではないか、こういう危惧があるのでございます。

 災害対策本部がワンチームの中核となりますので、この点が気にかかるとこでございます。


(4)り災証明書発行の体制について


伊 藤
 そこで確認しておきたいと思いますが、り災調査及びり災証明書の発行はどのような体制で行われていたのか、お伺いします。


財政部長
 本市のり災調査及びり災証明書発行体制につきましては、平地区においては「災対財政部」が、各地区においては、各地区の「災対地区本部」が行うこととなっておりますが、台風第19号等で大きな被害を受けた好間地区、小川地区、内郷地区の調査・発行業務や、建築士等の確保が必要となる2次調査については、「災対財政部」と行っております。

 一方、証明書の発行体制の強化が必要な時には、各地区の「災対地区本部」の職員が「災対財政部」で行っている発行業務を応援するなど、「災対財政部」と「災対地区本部」が状況に応じて協力し合いながら、早期発効に向けた対応をしてまいりました。

 このように、本市としましては、状況に応じた役割分担を行いながら、1日も早く被災者のみな様にり災証明書をお届けできるよう、一丸となって取り組んできたところでございます。


伊 藤
 結局ですね、それぞれの若干の支援体制をとりながら、臨機応変に取り組んだ部分もあるんですけれども、通常の業務の体制、これをとりながら、それぞれの部署に責任を持たせて調査、発行するとい、そういうことがされていたわけでございます。


(5)住家床下の消毒実施の取り組みについて


伊 藤
 それでは、台風19号に伴い浸水被害を受けた住家の床下の消毒については、公表された文書を見ますと、平、内郷、好間、小川地区は巡回開始予定日を示し、その他の地区は「あらかじめ通知した上で同様の方法により実施します」としたうえで、事業の委託先を一般社団法人福島県ぺストコントロール協会としていますが、具体的にどのような取り組みがされているのか、お伺いします。


保健福祉部長
 住家床下の消毒につきましては、大規模な浸水被害のありました、平、内郷、小川及び好間の4地区におきましては、一般社団法人福島県ぺストコントロール協会に業務を委託し、その他の地区及び内郷地区の一部におきましては、各災害対策地区本部の衛生班の職員自らが、研修を受けた上で委託業者同様の機材等を用いて、消毒を実施しているところであります。

 実施方法としましては、業者委託の地区におきましては、事前にチラシを配布して作業の内容をお知らせし、さらに、巡回時に不在であった住家には不在表を投函し、消毒実施の希望を伺っておりますが、市職員が消毒を実施する地区におきましては、事前に連絡するなど、地域の実情に応じた方法で実施しているところであります。


伊 藤
 この文書を見たときにですね、そもそもあの文書の中身から言うと、中山間地、例えば遠野等他の水害被災地においてもペストコントロール協会がするのかなーとあの文書そのものが読めたってということもあって、実態を聞くとそうではないということが後で分かるんですね。結局、支所等においては、それぞれの支所の職員が行ってやりなさいよと言う中身になっているということが、地域の方のですね、問い合わせがあって、支所に聞いた結果分かってくるわけであります。

 こちらも、答弁されたようなことがありながらも、基本的には従来の業務体制を基本に災害対応を動かしているということになっていたわけでございます。

 震災時の対応についてその様子を聞く機会があったのですが、震災時の災害対策本部では大きな声を張り上げ対立する場面、こういうのもあったそうでございますけれども、部局を横断してその時々に必要な作業に人員を確保しながら事を進めていったという様子を聞きました。

 その根っこに市民生活の復旧のために何かをすべきという職員の使命感と、どんな形にせよ、その使命感を引き出したリーダーたちの役割があったのではないか、そのように思いました。

 この時聞いた、非常事態には、前例、慣例、行政の常識にとらわれた「心の壁」を崩さないと災害対応はできないという言葉、強く印象に残っております。

 あの当時、振り返ってみますと、朝、り災調査に次々に多数の職員が出ていく姿をよく見ましたし、発災直後の被災者に手に軽い熱傷を負いながらおにぎりを握って提供したというお話も聞いたことがあります。また、放射性物質の拡散という状況の下、水道復旧のために屋外作業に従事していた職員たちもおりました。その時の数々の取り組み方が絶対だとは言えないとは思いますが、少なくとも、市民生活の復旧のために文字通りワンチームで取り組んだ市の姿が、そこにはあったように思っております。

 ところが、今回は、水害の規模が過去に比べて格段に大きいにものにもかかわらず、基本は日常の業務執行体制にかぶせる、水防本部から発生した災害対策本部になっているわけですけども、そこで災害対応をすすめてきた。基本的に縦割の取り組みがあったのではないか、そのように思っています。その結果、ワンチームとしての機能を発揮することができなかったのではないかという危惧を持つのであります。

 もちろん、各部署・職員のみなさんが、通常の業務に災害対応の業務を抱えて、加えて議会対応もあるという多忙の中で、休みも十分とらず、長時間働いて必死にがんばっているということは十分承知おります。そのご努力には敬意を表しますが、そういうがんばりがなぜか伝わりにくい状況にあるというのは、非常に残念な思いであります。


(6)被災者に寄り添った支援について


伊 藤
 次に被災者に寄り添った支援について伺います。
11月臨時会では、災害と被災者への対応の基本的な考えを、「市民のみな様の尊い命と貴重な財産を守ることが最も重要」と認識しながら、被災者支援では「被災者に寄り添ったきめ細やかな支援」に努めているとされていました。

 この質疑では「被災者に寄り添ったきめ細やかな支援」の具体的な対応の答弁をいただいていますが、この基本的な考え方として、被災者の心情をくみとって対応すると同時に、生活再建までの道のりを支えるという観点が必要と考えます。
執行部の見解はいかがでしょうか。


危機管理監
 今回の台風第19号等による災害により被災された市民のみな様は、現在の生活に大変な不便をきたすとともに、心と身体、さらには、今後の生活の見通し等を含め、様々な不安を抱えているものと受け止めております。

 このため、市といたしましては、様々なお問い合わせやご相談等に対応するとともに、生活の支援等に向けた各種情報の提供や支援物質の配布等に取り組むなど、現地対策事務所の設置等とあわせて、被災された方々の置かれている状況やニーズを踏まえた支援に努めているところであります。

 また、市・県営住宅等の一時入居等の暮らしの基盤確保に取り組むとともに、被災者生活再建支援金の支給や、市税、保険料の減免、さらには事業継続奨励金制度を新設するなど、被災されたみな様のこれからの生活再建や生業再建を支える各種の支援策についても、積極的に取り組みを進めているところであり、これらの支援を通して、被災された方々が安心して生活できる環境を早期に取り戻せるよう、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。


伊 藤
 具体的な取り組みを通じながらですね、生活再建までの道のりを支えると、そういう観点で取り組んでいるということで理解をいたします。
そういう取り組みの中でですね。例えばこれまで飲用に使用していた井戸水の検査の無料化など、被災者の声を聞いて実施していただいた取り組みがございました。この点については感謝をしております。しかしこの井戸水の検査が1度だけの無料ということになっておりました。

 生活用水の確保ができてはじめて生活再建となるという関係から見れば、異常があってこのままでは使えないことを確認し無料検査が終わってしまったのでは、生活再建まで寄り添うという姿勢からは少し離れてしまうことになってしまいます。

 井戸水の利用を希望する方には、例えば再度清掃作業をした後の水の検査までは無料にするなどの措置をとることが必要だったと思います。その他の取り組みでも、そういう事例があればですね、そういうこともしっかり点検した上で今後に活かしていただきたいと思います。

 また、窓口の設置についてですが、11月臨時会の質疑で、住宅応急修理制度の申請窓口が支所に置かれなかったことについて、この対応が「被災者に寄り添ったきめ細やかな支援」だったかについて質しました。

 これについては相当の被害規模になった地区に配置し集中的に対応することや、地区災害対策本部でも制度の周知が図られている等の理由が答弁されておりましたが、被災者が全市に渡っている現実を踏まえた時に、「相当の被害規模」になった地区で集中的に対応したことは、妥当な措置だったと考えているのか、お伺いします。


都市建設部長
 住宅の応急修理制度の窓口に付つきましては、被災者の方々の生活再建を進めるため、災害発生後、できる限り早期に設置することとしたところあり、その窓口におきましては、単なる制度の説明にとどまらず、具体的な修理方法や施工業者の選定のほか、修理範囲に関する相談など、建築の専門的な問い合わせが想定されることや、「市・県営住宅等の一時提供住宅」、「民間賃貸住宅借上げ制度」といった住まいに関する支援制度の説明も含め、一元的な対応に配慮する必要があります。

 そのため、これらの相談等に対応できるよう、各窓口に建築職の職員を最低1名以上は配置し、かつ、最大限、窓口を設置する事として、今回設置いたしましたように、相当の被害規模となった平地区、好間地区、小川地区内の計5箇所に設置したものであります。

 なお、窓口を設置していない地区につきましては、各災害対策地区本部において、制度の周知等の対応を行ってきたところであり、引き続き、各地区本部において、相談等に応じるとともに、郵送での申し込みも可能とするなどの措置も講じているところでありますが、今後の災害に対応した窓口設置のありかにつきましては、検討課題としてまいりたいと考えております。


伊 藤
 専門家で具体的に相談にのるためにそういう体制を取ったと言うことで、今後検討されるというお話でありましたけれども、やはり、平から離れた所に住んでいる中山間地の人間から見ると、平に出かけると言うことは、被災者が片付けをしながらということで大変な事態なんですね。

 この窓口設置が広報されたのが10月24日で、その前日23日には市長が遠野や田人の被災地を視察し状況の説明も受けています。被災者がそこにいるという事を知りながら、どうして窓口を開かないのという思いで、この時の通知は見ておりました。

 支所等に問い合わせがあれば窓口を案内したり、場合によっては書類を預かるというケースもあったようですから、設置をしようと思えば、先程は郵送による受付もやったということでありましたので、やろうと思えば支所でも何らかの対応はできたものと思います。

 平窪や赤井の現地対策本部は、先程の質問者への答弁でも被災者に寄り添う、そういう立場からの措置だったと受け止めています。これと同じ視点を持って他の被災地区にも対応してほしかった。そんな思いであります。


(7)情報発信について


伊 藤
 次に情報発信について伺います。
 まず、台風第19号襲来以降にとられた情報発信はどのような手法で実施されたのか、おうかがいします。


危機管理監
 市におきましては、東日本大震災の教訓から、防災情報等を迅速かつ的確に市民のみな様に周知するため、
緊急速報メール、いわゆるエリアメールをはじめ、
市防災メール、
フェイスブックやツイッター等のSNSを活用した防災情報の配信、
さらにはテレビやFMいわき等の放送による情報の発信など、
多種多様な手段を活用した情報伝達の多重化を図ったところであります。

 今回の台風第19号の際には、これらの手段等を活用する他、消防団等の広報車両を活用しながら、防災気象情報等に応じて避難情報を発信したところであります。


伊 藤
 様々な手法がとられということですが、次に災害進行時の情報発信にあたっては、被災者に分かりやすく具体的な情報を、コンパクトに出すということが求められていると思いますが、情報発信においてどのようなことに留意したのか、おうかがいします。


危機管理監
 市といたしましては、避難情報の発信につきましては、「気象状況が悪化する前の早めの避難をよびかけること」、また、「確実に情報を伝達するため、複数の手法を活用すること」等に留意しながら取り組んできたところであります。

 その具体例といたしましては、台風大第19号の際には、本市に接近する前日の10月11日夕方に市防災メールや市ホームページ等により注意喚起を促す防災情報や避難所の開設に関する情報を発信するなど、早めの避難を呼びかけたところであり、また、緊急速報メール、いわゆるエリアメールをはじめ、市防災メール、フェイスブックやツイッター等のSNSを活用した防災情報の配信、さらいにはテレビやFMいわき等の放送による情報の発信など、複数の手段を活用した周知に努めたところであります。

 など、避難勧告等の発令にあたりましては、崖や急傾斜地の近くにお住いの方は、速やかに避難所などの安全な場所へ避難すること、また、野外が危険なために避難が難しい場合は、崖からできるだけ遠い2階以上の場所へ移動することなどを周知したところであります。


伊 藤
 それでは、被災された方々は、直後から生活再建に向けて情報を求める状況がありました。先程申したとおりでございます。
 被災した喪失感の軽減のためにも、私は少しでも役立つ情報を少しでも早く知らせたい。こういう思いから、災害の直後から指定されていた災害救助法による支援策などを被災者に伝えることを始めました。

 市としては被災者に必要な情報を正しく、また必要な人に伝えるためにはどのような取り組みをすすめてきたのか、おうかがいします。


総合政策部長
 台風第19号及び10月25日の大雨に関する情報につきましては、発災からの時間の経過とともに変化する、被災された方の情報ニーズを捉え、市公式ホームページをはじめ、ラジオやテレビ、SNSなどの様々な広報媒体を活用した自主広報と記者会見や資料提供による報道機関を通じたパブリシティを活用し、避難場所やライフラインの復旧見通し、生活再建に関する支援策の情報等を提供してきたところであります。

 また、避難されている方々に対しましては、各避難所において、被災された方向けの情報を掲示するなどしながら、情報提供を行っているところであります。

 さらに、被災地域におきましては、被災された行政嘱託員もいらっしゃる中で、地域の方々と一体となって広報紙や被災者の生活再建に関する情報などの提供に懸命に対応していただいているところあります。

 そのような中、今回の災害で甚大な被害を受け、自治会等の回覧ルートを活用した提供が困難となった地区につきましては、特に、情報通信機器を持たない、または、十分活用できない高齢者等の方々が情報を得にくい状況となった事から、公共施設や地区内の集会所、スーパーなど、より身近で多くの方が立ち寄る場所に、広報紙及び広報物を配置したところであります。

 あわせて、広報車を巡回させ、入浴支援や災害廃棄物に関する情報、生活再建に必要な情報等を周知しているほか、いまだ回覧機能が回復しない平下平窪地区などにおきましては、12月から配達地域指定郵便を活用した戸別配送を実施するなど、きめ細やかな情報提供に努めているところであります。

 今後におきましても、各地区の状況を踏まえ、様々な広報媒体を最大限に活用し、適時適切な情報提供に努めていくとともに、紙媒体による情報提供のあり方も含め、より効果的な手法について調査・研究してまいりたいと考えております。


伊 藤
 そういう取り組みをしてきたと言うことですけれども、今回の災害にあたっての情報伝達からどのような教訓を導き出そうと考えているのでしょうか。


危機管理監
 市といたしましては、避難情報等の発令にあたりましては、緊急速報メール、いわゆるエリアメールをはじめ、市防災メール、フェイスブックやツイッター等のSNSを活用した防災情報の発信、さらにはテレビやFMいわき等の放送を通し、気象情報や避難等に関する情報等を迅速かつ的確に市民のみな様に周知するとともに、消防団等の広報車両を活用し、放送及び個別の声掛けによる避難誘導等に取り組んだところであり、このような取り組みを通し、市民のみな様の避難所等への避難につながったものと考えておりますが、一方で多くの尊い命が失われるとともに、伝達の内容が「分かりにくい」「聞こえなかった」との声もお聞きしているところであります。

 このようなことから、今回の台風第19号等による災害において、避難等に関する情報が避難行動に結びついたのかなどについて、調査・確認を行い、今後、設置を予定しております検証委員会での災害対応業務に係る検証等を踏まえ、高齢者等の要配慮者にも効果的な情報伝達のあり方や避難誘導のあり方について検討してまいりたいと考えております。


伊 藤
 今後検証していくということでございました。
今回の災害が迫る中、情報が伝わらずに避難が遅れたケースもあったようです。近年はデジタル情報に頼った情報発信が増えていますが、アナログ的な手法での情報発信も重要だということが示されたと思います。

 SNS等インターネットを活用した情報発信は、これを使いこなせる方は、それなりに情報を持つことを、今回被災者の方とお話をしながらつくづく感じました。しかし、使いこなせない方には情報が届きにくいという現実がありました。デジタルだけではなく、例えば水害危険区域への防災無線の整備を始めとしたアナログ的な手法を効果的に配置するなど、アナログ的手段の効果的な活用も検討して実行に移すという事が今後大切になってくるものと思います。

 これまでの議会でも情報発信に関する様々な質問が繰り広げてまいりましたが、それらの答弁ではホームページの活用をはじめとしたデジタルを活用した情報発信、こういうものが答弁繰り返されてきた経過がございました。私自身、それでやむなしとしてきたところがございましたが、そうした私自身への自戒も込めてですね、多様な情報発信手段を用意するという事を、これからも求めていくということが大切なんだろうな、というふうに思っております。

 また、情報の出し方でも、例えば、全市に避難勧告というものがありましたが、先ほど(の質問にも)ありましたけれども、34万人がどこに避難するんだという市民の反応もありましたし、流域といった場合に広すぎてどこが危険なんだというご意見もございました。後の方に詳しい情報をつけたりもしているんですが、なかなか、そこまでは緊急の中では目が届かないということでございます。

 これらの文言がむしろ市民の危機感を薄くする傾向もあったようなので、もっとリアルに、そして端的に危険性を伝える情報の出し方、発信の仕方の工夫が必要だったと思います。

 同時に、11月臨時会では、被災者対応のスピード感について、私、質疑をいたしました。
各種施策が市民に伝えられた時期を考えると、必ずしも遅すぎると言えない、そういうふうには思っております。ただ、被災直後から生活再建のための情報を求める被災者の思いと、行政が支援策を整備して伝えるまでのタイムラグがどうしても発生してしまいます。結果被災者の方、市民の方からは「遅い」という受け止めになってしまう、こういう状況にあるんだと思います。私はここには埋めがたい溝があるというふうに思っています。

 市長が初当選された際に、震災復興を「スピード感を持って進める」と公約しながら、当選後は復興の取り組みは一歩一歩着実に歩みを進めてきたとして、市民の震災後の閉塞感の原因に「情報の共有化あるいは復興の進捗をつぶさに市民に発信することができなかったことが、1つの要因」だ、このようなことをおっしゃっていました。

 私は、情報発信の難しさが、あらためて示されたように思います。結局、タイムラグを埋めるものは、行政と被災者の信頼関係をどう築くかにあり、その構築に向けて、行政がワンチームになってダイナミックに取り組めるかどうかにあるのではないか、今回、いろいろお話を聞いていますと、取り組みがですねチョコチョコした取り組みになっているんではないか、生の表現を使うとですね、そういう声がありました。

 抽象的な話で申し訳ないんですけれど、そういうワンチームになったダイナミックな取り組みができるように今後考えていくことが必要なんだろう、と思っております。

 ワンチームを作る前提に、リーダーが絶対的な方向性を示す事や、リーダーがチームメンバー全員の参加意識の醸成をすることがあると指摘する論説がありました。その意味ではワンチームにおけるリーダーの役割はとても重要です。

 そのリーダーとは、市長であり、災害対策本部の各責任者ということになってくると思います。

 市長は、市民団体等と行政でワンチームをめざすとし12月の広報いわきで書いておりました。市長は行政のリーダーですから、まずは市の行政としてがっちりとしたワンチームをめざす、そして、それぞれがワンチームとして活躍する市民団体と協働することで、被災者支援の相乗効果を上げる、こういう観点で取り組むことがむしろ大切なんではないか、この文章を読んで思いました。

 市長は、災災害対応等について第三者による検証委員会を12月中にも発足させるという考えを示されております。まだ災害の途上ではありますが、今回の災害対応が、その規模に見合った対応だったのかも含めて、しっかり検証していただきたいと思います。



2 災害を踏まえたまちづくりについて
(1)いわき市立地適正化計画について



伊 藤        
 次に大きな2番目、災害を踏まえたまちづくりについて伺ってまいります。いわき立地適正化計画についてです。

 報道によりますと、今回の台風19号による洪水によって、福島、郡山、須賀川市では立地適正化計画による居住誘導区域に浸水した事例があり、須賀川市などは区域設定の見直しを検討するとしています。

 そこでまず、本市が策定をした立地適正化計画について、これを策定する目的はどのようなものか、お伺いします。


都市建設部長
 当該計画策定の目的につきましては、今後の急速な人口減少や超高齢社会が到来する中においても、居住機能や、医療・福祉・商業等の都市機能を適正に配置することにより、一定の人口密度を維持しながら、コンパクトな都市づくりと公共交通を確保することで、将来にわたり持続可能な都市の実現を図るものであります。



伊 藤
 では、その立地適正化計画の概要はどのようなものでしょうか。


都市建設部長
 当該計画につきましては、計画期間をおおむね20年先である2040年頃までとし、計画対象区域を都市計画区域として、コンパクトな市街地の形成に向け、平や小名浜など市街化区域内の複数の拠点において、医療、福祉、商業等の日常サービスを担う都市機能を誘導する「都市機能誘導区域」と、その周辺において一定の人口密度の維持を図る「まちなか居住区域」を設定し、これらと連携した公共交通ネットワークを確保することとしております。

 また、各地区の都市機能誘導区域内における日常サービス施設の誘導や、低未利用地や公有地等を活用した市街地の再生整備の方針、さらには、まちなか居住区域内における居住の促進を図るための施策などを位置づけているものであります。


伊 藤
 まちなか居住区域と位置付けた区域のうち、今回の水害で被災した区域が重なる地区はあるでしょうか。


都市建設部長
 当該計画において位置付けている「まちなか居住区域」のうち、平、内郷及び好間地区などの一部において、浸水被害があったことを確認しており、現在暫定的に公表している浸水区域図と重ね合わせますと、その区域は、まちなか居住区域全体の1割程度と推計しております。


伊 藤
 水害区域に人口を誘導するという中身になってくるわけなんですけども、今回の災害を受けて、本計画を修正することについて、本市はどのように考えていらっしゃるでしょうか。


都市建設部長
 本市の「まちなか居住区域」の設定につきましては、法令等による土地利用の規制が伴う土砂災害特別警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域などは、区域から除外することとした一方、洪水及び津波を想定した浸水区域につきましては、本市の既成市街地の成り立ちから、除外することは非現実的と考えられるため、河川や下水道等の整備による水害対策やハザードマップの活用など、ハード・ソフトを組み合わせた防災・減災対策を推進することとして、区域に含めたものであります。

 今回の災害を受けての当該計画における区域の見直しにつきましては、国の動向などを注視するとともに、今後設置する予定の有識者や関係団体等で構成する「いわき市立地適正化計画評価等専門委員会」により検証を行ったうえで、市民のみな様の意見も伺いながら、慎重に判断してまいりたいと考えております。


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