いわき市議会2月定例会の閉会を知らせる3月29日付の「日本共産党・議員だより」の記事を書きました。
6議案に反対した討論の趣旨、市議会があらたに設置する特別委員会の紹介、そして意見書に対する各会派の対応の内容です。
以下、その記事を紹介します。
2月定例会閉会/市民の負担は限界・介護保険料値上げなどに反対し討論
いわき市議会2月定例会は19日、市長提案の議案102件すべてを可決、国が打ち出した地方創生に関する計画の策定がすすむことに対応し市議会に「特別委員会」を設置する議案など議会案2件、意見書・決議など6件を可決し閉会しました。日本共産党は市長提案の議案6件に反対し、人事案では退席して採決に加わりませんでした。討論には伊藤浩之議員が立ちました。
>■反対した6議案
日本共産党が反対した議案は、新しい教育委員会制度に関連して教育委員長廃止にともなう条例改正案2件、2015年度の一般会計予算、同じく国民健康保険事業特別会計予算、そして介護保険料の値上げにかかわる条例改正案と予算案です。また新しい教育委員会制度に関する人事案では採決に加わりませんでした。
■行政の教育介入の懸念
新しい教育委員会制度は、教育委員長を廃止して市長が任命する教育長を責任者とする内容です。
現在の教育委員会制度は、国家が統制した教育で、国民を戦争に動員していった反省の上に、行政から独立した機関として作られました。
今回の新しい教育委員会制度は、市長が主催する総合教育会議の設置や市長への教育大綱策定の義務付けといっしょに、人事面で教育に行政や国が関与する仕組みが事実上整えられたものと考えられます。
教育委員会の独立性を脅かす問題があり、反対しました。
■情報の漏えいの懸念・マイナンバー
一般会計予算には、国が策定した「社会保障・税番号制度」、いわゆるマイナンバーを利用するためのシステムに、本市を接続する関連予算などがふくまれました。
マイナンバー制度は、当面、住民票の交付を全国どこでも利用できるようにするなどのために活用されますが、将来的にはその利用拡大が言われています。
個人の消費動向も含めて、ネットワーク上で処理されることが当たり前になっている現代においては、利用拡大が個人を丸ごと監視することにつながらないかが懸念されますが、当面の利用は限定的です。
それであっても、同様の国民番号制をとっている韓国やアメリカで、ナンバーを含む個人情報の流出やナンバーの不正利用がお子あっており、個人情報を守るためには、接続しないという判断が求められます。
「市が接続を選択した」という趣旨で委員会審議では答弁されており、接続しない判断が必要との趣旨から反対しました。
■いのちと健康にかかわる・国保の資格証
国民健康保険特別会計予算は、被保険者資格証明書の発行を前提としていることから反対しました。
資格証は、滞納が一定期間にわたる場合に、納税相談の機会を増やすなどの目的で発行されているもの。加入者であることの証明をするだけで、医療保険章ではないため、病院窓口では全額自己負担をすることになります。
全国的は資格証保持者が、入院時に手遅れになっていたなどの事例が確認されており、いのちと健康を守る上で問題があります。
また、資格証が発行されているにもかかわらず、発行された資格証の数に変化はほとんどありません。その目的である納税を促す効果は、発揮されているとは言えない状況なのです。
滞納の原因である、高すぎる国保税の解消をはかることを求めて反対しました。
■負担は限界・介護保険料値上げ
介護保険関連の議案は、保険料の値上げがされていることに問題があります。
介護保険料は3年に1度見直されます。まず3年間の介護サービスの総量と総額を算定し、これをまかなうために必要な金額の50%を保険料でまかないます。
今回市が決めたのは、1号被保険者と呼ばれる65歳以上の加入者の保険料です。保険料でまかなう50%の29%分をまかなうことになっています。
介護保険料は導入当時の2・3倍にもなることになり、加入者の負担は限界に達していると考えられます。
市は、1号被保険者の保険料が激増しているため全国市長会などを通じて国の負担を増やすことを求めています。市民が負担の厳戒にあることを認識しているわけです。
しかしそれでも、一般財源の繰り入れでの保険料引き下げには否定的です。
その理由は、「公費5割、保険料5割」負担という制度の原則が崩れるため、繰り入れを否定する国の強い指導があるためです。
こうしたことから、市が繰り入れをしやすい環境を作るのが市議会の役割です。
市議会が関連議案を否決することになれば、市議会の議決を根拠として市は行動しなければならなくなります。
国の強い指導で実施できない一般財源の繰り入れを、市議会の議決を根拠に実施する理由を得ることができるようになるわけです。
こうしたことから討論では、「執行部と議会は車の両輪と例えられるが、(議案を否決するという)市議会の判断が市のとるべき選択肢を増やす動機になるという点において、まさに車の両輪の役割を発揮することになると考えております」とのべ、各議員にいっしょに反対の姿勢をとることを求めました。
地方創生に対応し特別委員会設置
国は地方の人口減少の進行などを踏まえ、東京一極集中の是正、地方に若い世代の就労の場を作り出すなどとして「まち・ひと・しごと創生法」を定めました。
地方自治体は「地方版総合戦略」を定めることになり、これにもとづく自治体の取り組みに、国は財政的支援を行うことになります。
いわき市も総合戦略策定をすすめることになりますが、市議会はこれに対応し、市民の声を計画に反映するために「まち・ひと・しごと創生総合戦略策定調査特別委員会」を、新たに設置することになりました。
日本共産党市議団からは、溝口民子議員が委員会入りします。委員会構成は次の通りです。
敬称略
委員長 佐藤和美 志帥会
副委員長 大平洋夫 清政会
山守章二 志帥会
西山和美 志帥会
柴野美佳 公明党
吉田実貴人 清政会
福嶋あずさ 創世会
溝口民子 共産党
上壁 充 創世会
安田成一 つつじの会
意見書5件採択
地方自治法は、第99条で「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と定めています。
この規定にもとづき市議会には、議案提案権を持つ会派(構成員が3人以上)から意見書案が提出されます。
意見書は、議会運営委員会の一部の機能を担うためにいわき市議会独自に設置している意見書案検討会で審査し、全会派で採択に一致した案件が、議会運営委員会の同意を得て本会議に上程され、採択に付されます。
2月定例会に日本共産党は5件の意見書を提出しましたが、このうち「小野町一般廃棄物最終処分場にかかるかさ上げと埋め立て容量の増量計画を断念することを求める意見書」が採択されました。
最終日に採択された意見書は、継続分も含めて5件です。
また議会開会日には、全号でお知らせした「平成27年3月以降の商工業等に係る営業損害の賠償について継続的な支援を求める意見書」が採択されています。
意見書に対する各会派の賛否は表の通りです。日本共産党は、すべてが市民生活の向上に役立つ内容と考え、すべてに賛成しました。


6議案に反対した討論の趣旨、市議会があらたに設置する特別委員会の紹介、そして意見書に対する各会派の対応の内容です。
以下、その記事を紹介します。
2月定例会閉会/市民の負担は限界・介護保険料値上げなどに反対し討論
いわき市議会2月定例会は19日、市長提案の議案102件すべてを可決、国が打ち出した地方創生に関する計画の策定がすすむことに対応し市議会に「特別委員会」を設置する議案など議会案2件、意見書・決議など6件を可決し閉会しました。日本共産党は市長提案の議案6件に反対し、人事案では退席して採決に加わりませんでした。討論には伊藤浩之議員が立ちました。
>■反対した6議案
日本共産党が反対した議案は、新しい教育委員会制度に関連して教育委員長廃止にともなう条例改正案2件、2015年度の一般会計予算、同じく国民健康保険事業特別会計予算、そして介護保険料の値上げにかかわる条例改正案と予算案です。また新しい教育委員会制度に関する人事案では採決に加わりませんでした。
■行政の教育介入の懸念
新しい教育委員会制度は、教育委員長を廃止して市長が任命する教育長を責任者とする内容です。
現在の教育委員会制度は、国家が統制した教育で、国民を戦争に動員していった反省の上に、行政から独立した機関として作られました。
今回の新しい教育委員会制度は、市長が主催する総合教育会議の設置や市長への教育大綱策定の義務付けといっしょに、人事面で教育に行政や国が関与する仕組みが事実上整えられたものと考えられます。
教育委員会の独立性を脅かす問題があり、反対しました。
■情報の漏えいの懸念・マイナンバー
一般会計予算には、国が策定した「社会保障・税番号制度」、いわゆるマイナンバーを利用するためのシステムに、本市を接続する関連予算などがふくまれました。
マイナンバー制度は、当面、住民票の交付を全国どこでも利用できるようにするなどのために活用されますが、将来的にはその利用拡大が言われています。
個人の消費動向も含めて、ネットワーク上で処理されることが当たり前になっている現代においては、利用拡大が個人を丸ごと監視することにつながらないかが懸念されますが、当面の利用は限定的です。
それであっても、同様の国民番号制をとっている韓国やアメリカで、ナンバーを含む個人情報の流出やナンバーの不正利用がお子あっており、個人情報を守るためには、接続しないという判断が求められます。
「市が接続を選択した」という趣旨で委員会審議では答弁されており、接続しない判断が必要との趣旨から反対しました。
■いのちと健康にかかわる・国保の資格証
国民健康保険特別会計予算は、被保険者資格証明書の発行を前提としていることから反対しました。
資格証は、滞納が一定期間にわたる場合に、納税相談の機会を増やすなどの目的で発行されているもの。加入者であることの証明をするだけで、医療保険章ではないため、病院窓口では全額自己負担をすることになります。
全国的は資格証保持者が、入院時に手遅れになっていたなどの事例が確認されており、いのちと健康を守る上で問題があります。
また、資格証が発行されているにもかかわらず、発行された資格証の数に変化はほとんどありません。その目的である納税を促す効果は、発揮されているとは言えない状況なのです。
滞納の原因である、高すぎる国保税の解消をはかることを求めて反対しました。
■負担は限界・介護保険料値上げ
介護保険関連の議案は、保険料の値上げがされていることに問題があります。
介護保険料は3年に1度見直されます。まず3年間の介護サービスの総量と総額を算定し、これをまかなうために必要な金額の50%を保険料でまかないます。
今回市が決めたのは、1号被保険者と呼ばれる65歳以上の加入者の保険料です。保険料でまかなう50%の29%分をまかなうことになっています。
介護保険料は導入当時の2・3倍にもなることになり、加入者の負担は限界に達していると考えられます。
市は、1号被保険者の保険料が激増しているため全国市長会などを通じて国の負担を増やすことを求めています。市民が負担の厳戒にあることを認識しているわけです。
しかしそれでも、一般財源の繰り入れでの保険料引き下げには否定的です。
その理由は、「公費5割、保険料5割」負担という制度の原則が崩れるため、繰り入れを否定する国の強い指導があるためです。
こうしたことから、市が繰り入れをしやすい環境を作るのが市議会の役割です。
市議会が関連議案を否決することになれば、市議会の議決を根拠として市は行動しなければならなくなります。
国の強い指導で実施できない一般財源の繰り入れを、市議会の議決を根拠に実施する理由を得ることができるようになるわけです。
こうしたことから討論では、「執行部と議会は車の両輪と例えられるが、(議案を否決するという)市議会の判断が市のとるべき選択肢を増やす動機になるという点において、まさに車の両輪の役割を発揮することになると考えております」とのべ、各議員にいっしょに反対の姿勢をとることを求めました。
地方創生に対応し特別委員会設置
国は地方の人口減少の進行などを踏まえ、東京一極集中の是正、地方に若い世代の就労の場を作り出すなどとして「まち・ひと・しごと創生法」を定めました。
地方自治体は「地方版総合戦略」を定めることになり、これにもとづく自治体の取り組みに、国は財政的支援を行うことになります。
いわき市も総合戦略策定をすすめることになりますが、市議会はこれに対応し、市民の声を計画に反映するために「まち・ひと・しごと創生総合戦略策定調査特別委員会」を、新たに設置することになりました。
日本共産党市議団からは、溝口民子議員が委員会入りします。委員会構成は次の通りです。
敬称略
委員長 佐藤和美 志帥会
副委員長 大平洋夫 清政会
山守章二 志帥会
西山和美 志帥会
柴野美佳 公明党
吉田実貴人 清政会
福嶋あずさ 創世会
溝口民子 共産党
上壁 充 創世会
安田成一 つつじの会
意見書5件採択
地方自治法は、第99条で「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と定めています。
この規定にもとづき市議会には、議案提案権を持つ会派(構成員が3人以上)から意見書案が提出されます。
意見書は、議会運営委員会の一部の機能を担うためにいわき市議会独自に設置している意見書案検討会で審査し、全会派で採択に一致した案件が、議会運営委員会の同意を得て本会議に上程され、採択に付されます。
2月定例会に日本共産党は5件の意見書を提出しましたが、このうち「小野町一般廃棄物最終処分場にかかるかさ上げと埋め立て容量の増量計画を断念することを求める意見書」が採択されました。
最終日に採択された意見書は、継続分も含めて5件です。
また議会開会日には、全号でお知らせした「平成27年3月以降の商工業等に係る営業損害の賠償について継続的な支援を求める意見書」が採択されています。
意見書に対する各会派の賛否は表の通りです。日本共産党は、すべてが市民生活の向上に役立つ内容と考え、すべてに賛成しました。


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