昨日の事である。
娘が台所で「今日は午後出かけるからカレー作っとこうかな~?」
と言って何やらコトコトやっていた。
(ほう、お節に飽いたからカレーはいいな!お昼に食べたろ)
私は密かに思った。
米袋の工作に夢中になっていたから、お昼をだいぶ過ぎて台所に行くと、
カレーの鍋が見当たらない。そういえばカレーの匂いもしない。(あれれ?)
見回すと、シンクには『ノラの夕ごはん』と付箋の付いたタッパーがあるだけだ。
仕方がないから冷蔵庫からお節の残りを出して、モゾモゾ食べた。
娘が帰ってきたから聞いた。「カレーどこ?」
「あ、カレーね!、ノラのごはん作ってたら時間が無くなったから作らんかった!」
ノラ猫の方が大事なんかい大笑いだった。
ノラ猫が我が家の物置をねぐらにするようになってひと月余りだが、
エサを置いてやってもまだ近寄ってこない。
娘が言う。
「ノラ猫やし、サバトラ(毛色)だから神経質で警戒心が強いんよ。
でも懐かんでもいいんよ、食べてるとこを遠くから見てるだけで癒されるんだから・・・」
こ、これはもはや、好きな男に身も心も捧げ尽くす女のセリフじゃあござんせんかのう