連日の酷暑ですが、我が山里の朝晩はグッと涼しい風が吹くようになりました。
今朝は家の中で26℃。外に出ると寒いくらいの心地よさです。
いつもこの時季、朝晩の涼しい風に当たると甦る感覚があります。
10才の頃の夏休みでした。
祖母の昔からの知り合いという田舎のオバサンちに一人で泊りに行ったことがあります。
それが何処だったのか、今となっては全く分からないのですが、
乗り合いバスを降りてからオバサンに連れられて細い山道を登って行くと、
途中の田んぼや畑から声が掛かります。
「どこン子かい?」
「ん?町ン子!」
オバサンはそう答えてズンズン登って行きます。
“町ン子”と紹介されて、私はちょっとお嬢さま気分になりました。(笑)
山の中の家には私と同年のトモエちゃんという女の子がいました。
トモエちゃんに付いて行くと、川で何人もの子供たちがキャッキャッ泳いでいます。
殆どの子が素っ裸だったので“町ン子”は度肝を抜かれました。
トモエちゃんはクルリと潜ってみせます。
すると桃のようなお尻が川面に一瞬プリンと現れるのです!
水着でなければ泳げないと思ってた“町ン子”にはカルチャーショックでした。
翌朝目を覚ますと、寒いくらいの涼しい風が吹いています。
山の朝は夏でもこんなに気持ちいいんだ、とビックリしたものです。
オバサンはもういませんでした。
しばらくしたらビッショリ濡れて帰ってきました。
ショウケにはタニシがいっぱい!
その日はタニシの炊いたんがおやつでした。
トモエちゃんは勉強は嫌いだけど、農繁期には近所の赤ん坊の子守りをしてお駄賃を稼いでいる、という話。
ひ弱な“町ン子”は、只々“山ン子”の逞しさに圧倒されまくったのでした。
あれから60年も経ちました。
トモエちゃんは今もどこかで逞しく暮らしているのかな?