雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

髪型とひげ

2012年03月13日 | ポエム




ムスカリが咲きました


 髪型とひげ

 若い頃ガールフレンドが髪型を変えたときに、「女の人は、いろんな髪型ができていいね」と言ったら、「あらっ。男の人は髭を伸ばせるじゃない」と言われたことをなぜかずっと覚えている。
 一昨年に亡くなった父は、晩年あご髭を長く伸ばしていた。
 何度目かの入院の際に伸びた無精髭をそのまま伸ばし始めた。それが身近な女性達に評判が良かったせいで、気を良くしたのか、脳梗塞で倒れるまで、白く長いあご髭がトレードマークのようになっていた。確かにそれは似合っていた。
 私は未だかつて髭を伸ばしたことがない。でも根が無精なもので、日曜は出かけない限りひげ剃りをさぼってしまう。5月の連休などは数日髭を剃らないことがある。1日目の夕方には、ちょぼちょぼだが無精髭が目立ち始め、それだけで顔の印象が違う。
 もともと私の髭は濃い方ではない。
 私のまわりにも、朝髭を剃って、午後には黒い髭があきらかに目立ってくるような知人もいる。髭の生え方も形や密度に随分個人差があるようだ。私は、密度が薄く、したがって無精髭が生えてもポツポツとまばらな感じで、いかにも無精しているという風情になってしまう。しかし、自分の顔がワイルドな印象に変わって、それもまた悪い気はしない。
 最近、長男が髭を伸ばし始めた。母親には不評だが、私は「いいんじゃないの」と、思っている。ただし私と同じでかなりまばらだ。
 テレビで見かける若い男性やスポーツ選手、あるいは身の回りでも髭を伸ばしている人を多く見かけるようになった。かつて読売巨人軍の選手の髭が禁止だった頃に較べると、髭も普通に市民権を得てきたようだ。特に若い人は、オシャレな感じまでしてきて「いいんじゃないの」と思う。私も実は髭を伸ばしたいが、格好良く伸びるまでの途中が何とも印象が悪いので、伸ばしかねている。
 女性の髪型は、様々で近年は色まで多用になってきている。日本女性の黒髪は大変美しいと思うし、未だに私なぞは黒髪にあこがれてしまうが、最近は純粋な黒髪の女性が少ない様な気がして残念に思っている。確かに、真っ黒な髪の毛に合う服の色は限られてしまう。原色の赤い服に真っ黒の髪では、コントラストが強くなり、着こなしが難しい。金髪や茶色の髪だと原色の服がよく似合うと思う。金髪とまではいかなくとも、少し色を付け、真っ黒からトーンをやわらげることで確かにオシャレな感じはしてくる。
 髪型の方の好みもいたって古風で、ストレートの長い髪か、ポニーテールに永遠のあこがれを感じてしまう。やれやれ。
 高校の頃、いつ見ても二人一緒にいる微笑ましいカップルの先輩がいた。恋人同士と言うより、すでに長い間一緒に暮らした夫婦のような落ち着いた雰囲気のカップルだった。
 卒業後も、一緒に上京し、同じ進路を進み、高校のときのように、いつも二人一緒に日を送っていたのではないかと思う。
 ところが理由は知らないが、数年後二人は別れてしまった。
 さらに数年が経ち、私も上京していた(実際に住んだのは千葉県の市川市だけど)。そして広い東京で、バッタリとカップルだった女性の方の先輩に出会った。思わず声をかけて、立ち話で一言ふたこと言葉を交わして別れた。高校の頃、短めの髪だった先輩の髪は、肩に届くくらい伸びて、女らしく、ひとことで言えば、きれいになっていた。
 その後で、カップルだった男性の方の先輩に会った時に、女性の先輩に会ったことを告げた。
 と、先輩は「どんな髪型をしていた」と一番に私に質問をしたのだ。
 それだけで私は「ああ今もまだ‥‥」と心の中で思った。
(2012.3.13)

 

コメント
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