A氏との山菜採りから3日空けて、今度はM氏とS川下流部に入る。山菜も最盛期に入るだろうから、大量の収穫が見込まれる。
正直なところ、このペースだと、我が家の需給バランスは完全に崩壊。収穫に対する消費が、全く追いつかないのだ。それでも山菜を採ってしまう『欲タガリ』の記録を残しておくことにする。
今回の山業については、1週間ぶりに山に入るM氏がウズウズしているのが分かる。途中に雨の日もあったし、高温の日もあったから、山菜は、間違いなく成長している。それを期待しているのだ。マタギは、4日前に上流部に入っているから、これまた大漁を確信している。
その時同行したA氏は、
「今回は、K川の様子を見に行きたいから、そっちは任せる。」
とのこと。
本音でもあろうけど、(採り分が減るから)あえて3人で同じ場所に入ることは控えておきたいという配慮も感じられる。ありがとうね。
さて、集合時刻の午前3時半だ。玄関を出ると、
月夜です
そのまま向かいの家の前に車を出して、待ちかまえていたM氏の荷物をトランクルームに載せる。
「いやあ、いい天気だズねえ。」
「予報通り暑くなるかな。」
「うん。暑くなる前に帰ってくっべ。暑くなっと動物たちも動き出すから。」
「OK!パパッと朝仕事か。」
とか何とか言いながら、思惑通りになんて滅多にいかないんですよね。
渓底に降りると、
山菜の最盛期を示す天然のフジ棚
もう一つの指標であるホオノキ。多分明日には咲くでしょう
だったら、出てるよね。
やっぱりね
雪渓の上の崖を登ってみます
この辺で雪が途切れると(この高度感分かる?)
崩れた土砂の中から「おはよう!」
そんでですね、この周辺の土砂を掘っていくと、深くて真っ白な茎が出てきたり(白根ウド)、それっきりで根元に辿り着いてしまったり(ケツかけウド)するんですよ。
それが、クジ引きみたいな感じに当たったり外れたりするんでめちゃくちゃ面白い!
更に『ウド依存』が進行すると、ウドの芽が見えなくても地中のウドを感知して掘り出せるようになってくるんです。これは、以前にも紹介しているんだけど、ウドガラ+地勢による判断方法です。
今回の斜面は、この『ウド依存』を確かめるのに持って来いの状況だったんです。おかげさまで、
良いウドが一杯!
このところ、『50年に1度』とか『百年に1度』みたいな自然災害が続いています。
当地にも、豪雨、豪雪の被害が次々に押し寄せてきています。そして、問題なのは山の中なんです。人が住まないところでの土砂崩れや森林の消滅については、誰も振り向いてくれないし、勿論、復旧のためのお金も出してくれません。そのため、地盤が強固とは言えない当地では、このところ、毎年地形が変わっていくようになってしまったんです。
これを凶とみるか吉とみるかは、我々次第。我々の仲間は、どちらかと言ったら『吉』と見ていますね。
だって、街中だったら大災害と言ってもよい、この地形変動に対して、全くめげることなく、山菜たちは、新しい居場所を見つけ出して、生息圏を広げようとしているんだもの。
マタギ達は、その新しい芽吹きの場所を発見し、そのおこぼれを少しずつ戴きながら楽しませていただいている感じです。
今回は、新しい斜面に夢中になりすぎて、目的地まで辿り着けずに帰ることになってしまいました。
『採りすぎでしょ』ムラサキヤシオに笑われながら帰る
ネマガリタケも、それなりに採ったんだけど、今回は、ウドの魔力に、そして重さに負けたという感じです。
「もう、ウドは、いいはあ。」
「採りすぎたもんな。」
「来週こそは、ウド、採らないで上流まで行くぞ!」
「行けるといいなあ。」
・・・果たして、我々は、このウドの魔力に勝つことが出来るのだろうか。