N沢でのタケノコ採りから帰った翌朝は、普通に勤務だった。車の運転ぐらいは出来るし、頭の回転も普通だから、仕事をこなす分には支障が無い。しかし、身体が悲鳴を上げているのが分かる。
ドアを開けようとする腕が痛い。階段を上ろうとする足が重い。ついでに首から腰にかけての筋肉が「疲れた!」と言っているのが分かる。
しかし、ここで甘やかしてはいけないぞ、自分の身体。昼の休憩時間には、いつものように近くの小山を登って季節の進み具合を観察する。
もう、初夏だねえ
草いきれのする空気を吸い込んでリフレッシュ。重かった身体が、少し軽くなった気がする。
仕事を終えて帰宅前、主治医の検診。定期健康診断の結果を見せると、
「まあ、いつも通りかな。念のため、来月、うちの方でも血液検査やっておこう。」
とのこと。はい、よろしくお願いしますね。
とりあえず、しばらくは安泰かな。ホッとして帰宅。夕食後、疲れた身体を休めるために少し早めに眠りに就いた。しかし、暫くすると、
「マタギさん。」
んん?誰だ?
「マタギさん、明日は夜勤なんでしょ。だったら、朝、山菜採りに行きなさいよ。」
見れば、背中に羽が生えている。
「神様ですか!?どうしてまた。」
「タケノコがいっぱいあるんでしょ。だったら、ここに葉物の天ぷらなんかがつけば、最高のランチが出来ると思わない?」
「確かに!ということは、・・・ミズですね!」
「さすが、分かってるわね。明日は雨の予報だけど、大雨にはならないから、心配せずに行ってらっしゃい。場所は分かってるわよね。」
「はい、ありがとうございます。」
「どういたしまして。きっと、家族も喜ぶわよ。そして、何よりも貴方が元気になるはず。」
こうして、本日もちょっと山菜採りに出掛けることになった。多分、家族の誰も気付かないうちに出発して、誰も気付かないうちに帰ってこれるだろう。何てったって、一番近場のS川が採り場だ。
夜明け前、梅雨時らしい小ぬか雨が降る中、出発。着いた頃には夜が明けた。
大雪渓も、2週間の間に随分小さくなっていた。
渓底に降りずに、枝沢を探索する。
すっかり新緑の世界
ミズが生えてます(ここでは、まだ気付かなかった)
こっちにも生えてます(上の画像といろいろ違うのですよ)
何も考えずに、数日間食べる分をいただいて車に戻ります。他にも色々生えている。
ジュナ(ヤマブキショウマ)と
お馴染みのウド
でも、雨降りでもあるから、今日は採らずに帰ります。
ラジオ体操が終わる頃に帰宅。
「どこに行ってたの?今日は夜勤なのに、朝早くから。あれ、何これ??」
出迎えた妻が驚いている。そして、
「ミズね♡」
もう、よだれが出るのを我慢しているのが分かってしまう。
「へっへっへ、お昼に食べない?」
即座に合意。下ごしらえに取りかかりましょう。
そうして、
ようくみると、あれ?2種類混じってる
ここで、初めて気付きました。もうちょっと分かりやすく、
左がアカミズで、右がアオミズです
葉っぱのギザギザと葉脈が違います(左が細かくて、右が大ざっぱネ)。
混生地帯だったのか。気付かずにいました。
まあ、どっちもミズで、どっちも美味しいからいいんじゃないかい。
どっちにしても、これで、美味しいランチが出来るぜ。
あのお方は、山の神様なのかなあ。天使様なのかなあ。なんだかよく分からないけれど、ありがとうございました。
これは、実話です。
そして、ランチへ。
To be continued!
神様か天使みたいな人が現れたってすごいですね。
6月の山の緑は、つやつやと綺麗だなぁと思いました。
色がすごく鮮やかですね。
朝早くに採ってきたミズは、きっとおいしいお料理になるのでしょうね。
コメントありがとうございます。
マタギの枕元には、時々天使とか神様とか悪魔とかが現れます(越後屋とかも)。
そして、いろんなことを囁いていくんです。
この囁きに、結構、大きな意味があったりするんですね。
だから、ただの『夢』と思わずに聴き取らせてもらうんですよ。
そうすると、『Dream』が『Real』に変わることがあるんです。それが今回の出来事。
信じるかどうかは、あなた次第ですけど。 ははは。
料理については、また明日、よろしくお願いいたします。