5月にしては本降りの雨が降った2日後、待ちに待ったS川訪問日です。
約束の午前3時半になる5分前には、同行の二人とも集合完了。気合と期待の大きさが伝わってくる。
何てったって、前回の大収穫後6日目、途中に雨も降ったんだから『雨後のタケノコ』が、我々を手招きして待っていること疑いなしです。
阿吽の呼吸で荷物の移動を済ませ、出発。
昨日は曇天だったが、本日は星空。既に北東の空が白み始めている。
「やっぱり、春はあけぼのだずねえ。」
M氏が感慨深げに語る。
これから山菜採りの地に向かう戦士には似つかわしくないような発言だが、同感。『山ぎはすこしあかりて』の景色が美しい。そして、先日の黄砂もすっかり落ち着いたようだ。空気が澄み切っている。本当に夜明けが早くなってきたと実感できた。
途中の林道は、一昨日の雨のせいか、かなりぬかるんでいる。愛車のプリウスには大変申し訳ないのだが、最徐行で悪場を乗り切りながら前進。この地域は、土壌が脆いため、大雨の度に土砂崩れや落石が発生するので、細心の注意が必要になる。なんとか到着。
そして、目的地に着いたら、またまた阿吽の呼吸で準備開始。
「ワラビ、伸びてるよ。」
「あらら、開いったなあ。」
「コシアブラも、ただの木になってる。」
「タケノコも伸びったな。」
そんな会話を交わしながら身支度。この一帯は、山菜天国なので、車止めの周りにも色々な山菜が出ている。
本日の気温は3℃。山の朝は、また早春に逆戻りしたみたいだ。
「霜は降りていねえみたいだな。」
それだけでひと安心だ。芽吹き始めた山菜には、霜が大敵だから。
谷底のフジの花は満開
散り始めた花びらが河岸を彩る
谷底のタケノコ林を当たってみると、6日前は出始めだったのに、既に伸び加減。驚くほど季節の進みが早いことが分かった。
途中のタケノコ林も似たようなものかもしれない。あまりもたもたしないで、最奥の林をめざそう。
と、思ったんだけど。
いいウドです
この時期になると、高品質なウドが顔を出してくるんです。
雪渓が小さくなってくるのと並行して
いいウドが出始めるんだよねえ
前回、不発に終わったワラビの丘も採り頃
スピードは上がらず、リュックが重たくなっていくばかり。そして、
途中のタケノコ林も
伸び加減だけど美味しそう
本命の林に着く前に、多分3kgくらいは採れましたね。更に、
目的の林は
パラダイスでした。
途中でハケゴが満杯になり、陣地に荷物を降ろしながら採り続けます
ただ、
ここには、人以外のライバルもいますね
この食べ方は、多分、熊です。
3人とも鈴を鳴らしながら行動しているから、ここには、もういないはずです。怖いのは、出会い頭。熊さんを驚かせてパニックに陥れないようにすることが、何より大切です。したがって、遠くにいる時から鈴の音を響かせていることで、熊さんにも心の準備ができるようです。おかげさまで、本日もトラブルなく楽しむことが出来ました。
「いやあ、ズッシリ重たくなったね。」
「もうこれ以上(採り続けること)は、危ない。」
「ああ、帰りの登り考えたらダメ。」
お互い、くたびれてるのも分かるが、表情の明るさから満足感が伝わってくる。
「まだ7時か。」
「ここから引き返すと、丁度通勤ラッシュ終わってる頃だ。」
先に進もうと言い出す者はいない。朝の陽ざしが降り始めた渓を、のんびりと帰路に就く。
谷底のタニウツギも花を咲かせ始めていました
山の神様、本日もありがとうございました。
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