新聞に、宇宙エレベーターの構想を説明する記事が載っていたので、その中心に位置する静止衛星について力学的な説明を加えることによって数値の確認をしておくことにした。静止衛星とは、地球の自転にあわせてちょうど1日で周回する衛星であり、地上から見ると、静止しているように見える。
静止衛星から地上に向かって長いケーブルを伸ばし、逆側にも同じ重さになるようケーブルを伸ばすようにして、ケーブルを付加することによって静止衛星の重心が変わらないようにしている。静止衛星は、地上から36,000kmの高さに位置する。宇宙エレベーターは、静止衛星から地表まで伸びるケーブルおよび衛星の上側に伸びるケーブルを軌道として、時速200kmで走行できる。
上側ケーブルの先端は、地上から最大約96,000kmもあり、宇宙船や探査機の発着ゲートとして利用される。ここでは地球の引力が小さくなるため、探査機などは地表よりも小さい脱出速度で発射できる。
衛星は円軌道を周回すると仮定すると、その速度Vは、次の式によって計算できる。
V^2=G(M+m)/a
Mは地球の質量、mは衛星の質量、aは地球の中心から衛星までの距離、すなわち地球の平均半径+衛星の高度である。計算では、mは無視してよい。
地球半径が6371km、衛星の高さ36,000kmとすると、Vは3.07km/秒となる。この数値は、24時間で一周する衛星の速度に一致する。
宇宙エレベーターというと、考えは自由落下する宇宙エレベーターにまで及ぶことになる。このようなエレベーターの内部は、地球による重力が下方向に働くが、これと釣り合うような「見かけの力」が上方向に働くため、無重力状態となるのである。
構想される宇宙エレベーターが下降するときの速度が時速200kmとすると、上方向に働く「見かけの力」によって体が浮くように感じることはあるだろうが、無重力を体験することはないだろう。
パラボリックフライトといって、航空機を放物線状に飛行させると、20秒程度の無重力状態をつくりだすことができる。飛行機の機首を45度方向まで上げて最大出力で加速している状態で、突然エンジンを止めると、飛行機が自由落下を始め、機内にいる人たちは体が宙に浮く。エンジンを切っても飛行機は慣性によって上昇を続け、頂点に達したところで下向きに下降する。この間、飛行機は放物線に沿って上昇から下降への運動を続けているが、機内は自由落下と言ってよい状態に置かれるのである。
参考文献
インターネット記事以外では:
鈴木敬信著「天文学通論」(地人書館)
大栗博司著「重力とは何か」(幻冬舎新書)
静止衛星から地上に向かって長いケーブルを伸ばし、逆側にも同じ重さになるようケーブルを伸ばすようにして、ケーブルを付加することによって静止衛星の重心が変わらないようにしている。静止衛星は、地上から36,000kmの高さに位置する。宇宙エレベーターは、静止衛星から地表まで伸びるケーブルおよび衛星の上側に伸びるケーブルを軌道として、時速200kmで走行できる。
上側ケーブルの先端は、地上から最大約96,000kmもあり、宇宙船や探査機の発着ゲートとして利用される。ここでは地球の引力が小さくなるため、探査機などは地表よりも小さい脱出速度で発射できる。
衛星は円軌道を周回すると仮定すると、その速度Vは、次の式によって計算できる。
V^2=G(M+m)/a
Mは地球の質量、mは衛星の質量、aは地球の中心から衛星までの距離、すなわち地球の平均半径+衛星の高度である。計算では、mは無視してよい。
地球半径が6371km、衛星の高さ36,000kmとすると、Vは3.07km/秒となる。この数値は、24時間で一周する衛星の速度に一致する。
宇宙エレベーターというと、考えは自由落下する宇宙エレベーターにまで及ぶことになる。このようなエレベーターの内部は、地球による重力が下方向に働くが、これと釣り合うような「見かけの力」が上方向に働くため、無重力状態となるのである。
構想される宇宙エレベーターが下降するときの速度が時速200kmとすると、上方向に働く「見かけの力」によって体が浮くように感じることはあるだろうが、無重力を体験することはないだろう。
パラボリックフライトといって、航空機を放物線状に飛行させると、20秒程度の無重力状態をつくりだすことができる。飛行機の機首を45度方向まで上げて最大出力で加速している状態で、突然エンジンを止めると、飛行機が自由落下を始め、機内にいる人たちは体が宙に浮く。エンジンを切っても飛行機は慣性によって上昇を続け、頂点に達したところで下向きに下降する。この間、飛行機は放物線に沿って上昇から下降への運動を続けているが、機内は自由落下と言ってよい状態に置かれるのである。
参考文献
インターネット記事以外では:
鈴木敬信著「天文学通論」(地人書館)
大栗博司著「重力とは何か」(幻冬舎新書)
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