ゆめ未来     

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「蝶のいた庭」  その愛は満たされたのか

2018年08月06日 | もう一冊読んでみた
蝶のいた庭/ドット・ハチソン  2018.8.6

蝶のいた庭』 を読みました。

読者は取調室の一室で、FBI特別捜査官ヴィクターと一緒に、自称マヤの不思議な話を聞く。
その内容は、個性豊かな >< たちが強制された 『ガーデン』 での奇妙な共同生活について。
ガーデンを取り仕切っていたのは、 <庭師> と呼ばれる恐怖の変態男。

 「名前は?」
 「礼儀がなってないのね」
 「名前を教えてくれませんか?」
 「そのほうがいいわ。でも、答えはノーよ。名前は言いたくありません」
 「女の子たちは君をマヤと呼んでいるね」
 「知っているなら、どうして訊いたの?」
 「きみがだれで、どうしてここに来ることになったのかを知りたいんだ。家に帰る手助けをしたい」
 「家に帰るのにあなたたちの手助けは必要ないと言ったら?」
 「こうなる前にどうして家に帰らなかったのかと訝ることになるだろうね」
 「その答えはおたがいにわかってると思うけど。」


 「わたしの秘密は古い友人なの。いまになって見捨てたりしたら、ひどい友だちの気分になると思う」

ヴィクターと彼のパートナー、エディソンとの会話。

 「結婚しろよ。エディソン。いや、それよりティーンエイジの娘を持つほうがいいな。彼女は大半のティーエイジャーより手強いが、それでもパターンはそこにある。情報を分析して、意味のあるものを見つけ出すんだ。ことばにされていない話に耳を傾けるんだよ」

ぼくには、エディソンが好感が持てるFBI捜査官に映ります。

 「おれは法を守る。完璧じゃないが、それでも法は法で、それがおれたちにもあるものだ。正義がなければ、秩序も希望もない」

庭師>との会話。

 「どうしてわたしたちにタトゥーを入れるの?」
 「庭には蝶が必要だからだよ」
 「それを隠喩のままにしておけないかしら?」
 彼がゆったりした大きな声で笑った。笑いたいのに、笑うような機会があまりなくて、だからそういう機会にめぐり合えたらいつだって喜ぶ人の笑い声。......現状以上に喜びを味わいたがってるのだと。


 <庭師>は、自分の見たいものだけを見るという驚くべき才能を持ってた。

共同生活での会話。

 美は、あまりふんだんにありすぎるとその意味を失う。

 恐怖は、することがなにもないときに忍び寄ってくる。

 「でも、あんまり大きな希望を持たないように」わたしは注意した。「少しならいい。大きすぎる希望を持つと痛い目に遭うからね」


さて、マヤたち >蝶< は、如何にして「ガーデン」から脱出できたのか。

きっかけは、キリーという幼い少女が拉致されてきたことによる........
庭師とその子供、馬鹿なエイヴリーとその弟デズモンドの確執とマヤの策略とは。

 「なにかを必死で信じたがってる人は、たいてい信じるのよ」イナーラがあっさりと言う。

マヤ……取調室にいる女性。<蝶>のひとり。偽名はイナーラ・モリシー

       『 蝶のいた庭/ドット・ハチソン/辻早苗訳/創元推理文庫

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