BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

花になって 第1話

2024年10月30日 | 火宵の月 夢小説「花になって」

素材表紙は湯弐さん (ID:3989101)からお借りしました。

「火宵の月」夢小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作・夢小説が嫌いな方はご注意ください。

その日、石倉澪は、いつになくはしゃいでいた。
というのも、彼女は高校生の頃から好きだった少女漫画の聖地・鎌倉の鶴岡八幡宮で筝曲部の奉納演奏に参加する事になったのだった。
澪は奉納演奏前日に憧れの地である鶴岡八幡宮を堪能した後、ホテルへと戻ろうとした時、横断歩道でアクセルとブレーキを踏み間違えた車にはねられた。
虚空を舞った彼女は、全身を襲う激痛で目を覚ました。
「おい、目を覚ましたぞ!」
「今のうちに捕まえろ!」
彼女は辺りを見回すと、そこには時代劇、一昨年の大河に出て来た男達のような服を着ている者達に囲まれている事に気づいた。
「おい、お前・・」
「イヤッハァ~!」
澪は彼らに捕まりたくないがために、急に奇声を上げて走り始めた。
これを火事場の馬鹿力というのだろうか、澪は目を爛々と輝かせながら、鶴岡八幡宮の境内を走り回った。
「ひぃぃ~!」
「妖だ!」
「魔物だ~!」
突然現れた、奇声を上げながら走り回る謎の娘の姿に、周囲は騒然となった。
折しもその日は退魔祈禱が鶴岡八幡宮で行われており、そこには陰陽師・土御門有匡が居た。
「有匡、早くあれを何とかせいっ!」
「はぁ・・」
アドレナリンが過剰分泌され、気分が最高潮に達した澪は、祭壇の前に置かれている和琴の前に座り、こう叫んだ。
「俺の演奏を聴け~!」
彼女はドン引きしている聴衆を前に、好きなアニメソング七曲を和琴で弾いた。
突然の闖入者の出現に、鎌倉にウジャウジャいた魔物もドン引きしていた。
(何あれ?)
(ヤバすぎん?)
(無理だわ~)
魔物達は一晩で居なくなった。
そして我に返った澪を襲ったのは、全身の激痛と強い羞恥心だった。
「うぉぁぁ~、俺を、殺ぜぇ~!」
全て濁点がついた言葉を喚きながら、澪はキラキラ加工されたゲロをその場に吐き散らした。
「おい、落ち着け!」
「推しキャラ、フォ~!」
澪は、自分の初恋を奪った有匡に見つめられ、発狂して気絶した。
「先生、今日も遅いな~」
同じ頃、土御門邸では有匡の妻・火月が二人の子供達、雛と仁、そして有匡の式神達と共に夫の帰りを待っていた。
「まぁ仕方無いわよ~、まぁた色々と退魔祈禱だの何だのと忙しいからねぇ、殿。」
「仕事中毒中には、何言っても無駄よぉ~。」
有匡達の式神こと、式神シスターズの種香と小里はそう言いながら双子を寝かしつけていた。
「ねぇ、火月ちゃん、“あれ”、どうなってんの?」
「え?」
「ほら~、“一年に一人ずつ計画”よぉ~」
「ちょ、お姉さんっ!」
「騒がしいぞ、お前達。」
「あら殿、お帰りなさいませ!あら、その子は?」
「知らん。執権に世話を押し付けられた。」
「ヤァァ~!」
有匡が式神シスターズに鶴岡八幡宮で起きた事を話そうとした時、彼が背負っていいた澪が意識を取り戻して暴れた。
「落ち着け!」
「うぁ、すいません・・」
有匡に鳩尾を殴られ、澪は正気に戻った。
「あの、わたしこれからどうすれば・・」
「暫くここに居ろ。お前のような素性が知れん小娘を野放しにしたら碌な事がないからな。」
「あ、ありがとうございます・・」
こうして、澪は土御門家に居候する事になった。
だが、ひとつ彼女には問題があった。
それは、彼女は歴女でヲタクであったが、幕末と平安時代以外はノーマークであったという事だった。
(今の執権って、誰?)
「あの、ひとつお聞きしたい事が・・」
「何だ?」
「今の執権って・・北条泰時ですか?」
「ハァッ!?」

(俺、死んぢまうストーリー・・)

コメント    この記事についてブログを書く
« 踊る大捜査線 | トップ | その愛は、緋く 《壱》 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。