2015年ビジネス賞大賞を受賞した「ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)」(ピーター・ティール著)。
スタートアップを目指す人々を勇気づける本だが、先週、述べたように営業の重要性を第11章「それを作れば、みんなやってくる?」で説いている。
以下は、その件(くだり)です。
「シリコンバレーのおたくたちは、広告やマーケティングやセールスに懐疑的だ。
というのも、それが薄っぺらで不合理に見えるからだ。・・・・・・
エンジニアの領域では、ソリューションは成功するか、失敗するかのどちらかしかない。
仕事の評価も同じように簡単で、見栄えは対して重要じゃない。
セールスはその反対で、本質を変えずに見栄えを変えるための組織的なキャンペーンだ。
(広告については、「すぐにモノを買わせるためにあるわけではなく、後に売り上げに繋がるように巧妙な印象を刷り込むもの」としています)
エンジニアにとってそれはくだらないことだし、基本的に不正直だとさえ思っている。・・・・・
科学やエンジニアリングは見るからに難しそうなので、人はそれを実際以上に過大評価している。
だけど、セールスを簡単に見せるのがどれほど大変かを、おたくたちは理解していない。」
生産財の営業には、技術的な知識やエンジニアとの協業が必須です。もしあなたの会社のエンジニアが上記のような考えだったら、営業活動は旨くいきませんね。
もとIBMのハードディスクの開発エンジニアであった私にはエンジニアの考え方・気持ちは分かります。
しかし、営業もエンジニアの仕事に劣らず創造的な仕事です。
『理詰めの営業』で説いているように、顧客があたかも自分で考えたように、顧客の口から「そのソリューションが必要だ」と語らせるには、創造力と戦術が必要です。
いくら良いと思うものを作っても、顧客が必要と思わない限り売れないのです。
<営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>