さきほど、NHKスペシャルの再放送である、標記番組を見終えたところです。
はっきり言って、感動しました。
ブータンは、インドと中国に接した小さい国で人口は70万人ほどということです。私は以前仕事でブータンの人と接したことがありますが、とても礼儀正しく、仏教を信仰していながら、他国とのことを考え、ゾンカ語という自国の言葉を持ちながら、国語以外は英語で授業をするというとても時代の先を見据えた国です。そのため、英語はとても上手でした。
さきほど国王夫妻が来日されましたが、その際、この番組で5匹捕獲した「ブータンシボリアゲハ」を2匹、「友好のしるし」として持ってきてくれたそうです。
さて、本題ですが、五十嵐さんという蝶の生態を研究している人が、果たせなかった「ブータンシボリアゲハ」という蝶の生態を研究するために、日本の一線で活躍する蝶の研究者6名がブータンの首都ティンプーに入るところから番組が始まります。それから一週間してやっと目的とする蝶が生息する東の端にある渓谷に到着します。一行に与えられた時間はそれから一週間。果たして幻の蝶に出会えるのかと思って見ていると、なんと初日に蝶を発見し捕獲に成功します。
なーんだ、簡単やんけ!?と思って続きを見ていくと、捕獲したのはオスの一匹だけで、生態を知るにはメスの蝶も必要で、それから、どのようにして、今まで生息することが出来たのかを知ることが重要で、そのための緻密な観察が始まります。
ふだん、霧が深くてなかなか晴れない場所で、一行は幻の蝶が交尾している場所を発見し、好んで食べるウマノスズクサというスペード型をした葉っぱを見つけたり、卵を見つけたり、散乱する様子をビデオに納めたり、一週間という限られた時間の中で必要なことは一通り終え、最終日にブータンの森林を守る人たちに、蝶の生態を教え、捕獲した蝶5匹の標本も渡して帰国するというストーリーです。
私が最も感動したのは、単にきれいな蝶(貴婦人と呼ばれている黒くて羽の下のところに赤い紋がある)を捕獲するのを目的としたものでなく、その蝶がどのようにしてここに生息することができているかということの研究に力を入れているということです。
番組で研究者の一人が語っていたのは、この蝶を守ってきたのは、原始林で、南からの温かい空気と北からの冷たい空気が混在する特殊な環境というだけでなく、ここに暮らす8軒の人々が森を大事にして、必要な分だけ木を切り、えさとなる草の生育を助けてきたことが大きな要因だということでした。
ブータンシボリアゲハのオスとメスの交尾の様子、メスがウマノスズクサにたくさんの卵を必死になってたくさん生み付けている様子、それが時を経て小さな幼虫となってその草を食べて大きくなる様子。
ああ、自然の営みっていうのはなんてすばらしいのだろう!!人間が自然を破壊することによってこうした営みが途絶えてしまったことがいかに多かったか!
「自然との共生」が言われて久しいが、ほんとうに実感として、わかってほしいと思います。