はっきり言って、最近、東野圭吾にはまっている。これで連続3作目(文春文庫 660円、394ページ)だ。しかも、今回は往復の電車の中だけで5日間で読んでしまった。
この作品は東野圭吾の直木賞受賞作と書いてあったので、どうしても読んでみたくて買ったのだが、ストーリー展開とあっと思わせる最後の結末に感動した。しかも、登場人物が全てうまく書けていて、無駄がない。石神の靖子に対するとんでもない恋心が痛くて胸にしみこんでくる。
殺人が最初にあって、どのようにしてつかまるのかと読んでいって、自首してしまうので、ナーンだと思った次の瞬間に、種明かしが用意されている。 種を明かされるとそういうことだったのかと思うのだが、なかなかこの種が途中でわかった人は少ないのではないか。(当然、私にはわからなかった。)
「難しくはありません。ただ、思い込みによる盲点をついただけです。」(P272石神の言葉)推理小説の醍醐味を味わえた貴重な一冊だった。
また、ガリレオこと湯川の言葉もいいね。「考察というのは、考えて察した内容のことだ。実験して予想通りの結果が得られたのでよかったというんじゃ、単なる感想なんだ。そもそも、何もかもが予想通りというわけじゃないだろ。実験の中から、自分なりに何かを発見してほしいんだ。」(P280)
推理とは、思い込みからの脱却。ふつうに考えるとこうだという考えの型にはまって、簡単に答えを出そうとするともう、抜け出せない。別の、方法でやったんじゃないかと、いろいろ可能性を追求してみる。時間と場所と人間の動きをその人物の好き嫌いや行動パターンを考えながら追求してみる。それが、推理なんだ。(ブログ作者)