中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

【対訳】《雲郷話食》を読む: 茶湯

2011年02月06日 | 中国グルメ(美食)


 昔の北京の写真、特に賑やかな縁日の屋台の写真で、大きな龍の注ぎ口のやかんが写っているのを見たことはないでしょうか。あれは“龍壺”と言い、あれで淹れた飲み物を“茶湯”と言います。“茶”が付いていますが、茶葉は入っていません。今週、2月3日は春節でしたが、北京ですと、白雲観や地壇公園の廟会がたいへんな賑わいです。そうした所の屋台では、必ず“龍壺”の姿が見られることと思います。

■ 《水滸伝》中写王婆子売茶,有点茶、和合湯,還有什麼七宝茶、八宝茶諸名色,茶和湯是常常連在一起的。聯想到北京的茶湯、油茶等,感覚這似乎是一脈相承的東西。而陸羽《茶経》所説的“雨前”、“明前”、“一旗一槍”等等,則是另一個流派。明人講茶、講水,等等,如《陶庵梦憶》所記閔老子茶,這又是一脈相承的。明人筆記中記北京諺語有“翰林文章、太医薬方,光禄茶湯、兵部刀槍”,其中“光禄茶湯”是指光禄寺的茶湯。光禄寺不是廟,是政府机関,是管皇家祭祀龍壺、爵及皇帝御厨酒醋等雑物的。這里所説茶湯,就是用大龍壺焼水,来衝茶湯。旧時北京一到冬天,廟会上以及饽饽bo1bo舗門口,就擺上売茶湯的攤子了。

・点茶 dian3cha2 宋時代の茶を点てる方法で、抹茶を点てること。
・一脈相承 yi1mai4xiang1cheng2 [成語]一つの血統や流儀が幾代もの間受け継がれること。(“一脈相伝”chuan2ともいう)
・雨前 yu3qian2 “谷雨”前の意味。“谷雨”とは二十四節気の一つ、穀雨で、4月20日頃である。それ以前の柔らかい新芽を使ったお茶。
・明前 ming2qian2 “明”とは4月5日の清明節。清明節前に取った新茶のこと。
・一旗一槍 yi1qi2yi1qiang1 茶葉で“旗”は葉、“槍”は芽を指し、柔らかい葉と新芽の付いたところだけを使ったお茶。
・翰林 han4lin2 翰林(かんりん)。唐代以降に設けられた皇帝の文学侍従官。明清代は、進士から選抜された。
・太医 tai4yi1 皇帝に仕える医者、待医。
・薬方 yao4fang1 処方、処方箋。
・刀槍 dao1qiang1 刀や武器
・祭祀 ji4si4 祭祀(さいし)。
・爵 jue2 古代の三本脚の酒器
・饽饽 bo1bo 小麦粉を焼いて作った菓子
・攤子 tan1zi 屋台

 《水滸伝》の中で、王ばあさんが茶を売るのに、抹茶を点てたり、湯と合わせたりし、更に七宝茶、八宝茶などの商品があり、茶と湯はいつもいっしょにつなげられてきた。北京の茶湯、油茶などに連想を拡げると、これらは何代にもわたって受け継がれてきたものであるかのように思える。一方、陸羽が《茶経》で言うところの“雨前”、“明前”、“一旗一槍”などというのは、これとは別の流派である。明代の人々は茶や水のことをあれこれ議論してきた。いやちょっと待って、《陶庵梦憶》に書かれた閔老子茶も、何代にもわたって受け継がれたものである。明代の人が書いたものの中に、北京のことわざに「翰林の文章、太医の処方、光禄の茶湯、兵部の刀や武器」(四つのすばらしいものを指す)というのがあり、その中の“光禄茶湯”とは光禄寺の茶湯を指す。光禄寺はお寺ではなく、政府の役所で、皇室の祭祀用の龍壺、爵、及び皇帝の厨房の酒、酢などの細々としたものを管理した。ここで言う茶湯とは、大きな、注ぎ口に龍の形の装飾がされたやかん(“龍壺”)で湯を沸かし、淹れた飲み物である。昔の北京では冬になると、寺の縁日や菓子屋の入口に、茶湯を売る屋台が店を開いた。

■ 茶湯分葷、素両種,素的又叫油炒面,用香油炒面粉,炒熟呈黄色,加熟核桃仁等,吃時先盛両勺干面,放点涼開水,調成漿,然后用滚gun3開水衝成糊状,加紅糖食之,像広東人吃的芝麻糊差不多。這是老北京人喜歓吃的食品,尤其喜歓買来喂小孩。這種食物有脂肪,富栄養,易消化,吃起来方便,給儿童吃最相宜。又因它是素的,廟里的和尚也喜歓食。用来接待香客,也是極為方便的。

・滚開 gun3kai1 ぐらぐら煮えたぎる
・衝 chong1 湯を注ぐ
・喂 wei4 (口まで持っていって)食べさせる
・相宜 xiang1yi2 適当である。適合している

 茶湯は生臭、精進の二種類に分かれ、精進のものはまた“油炒面”と呼ばれ、ごま油で炒めた小麦粉が、十分に炒められて黄色に色づいたら、よく熟した胡桃の実などを加え、食べる時は、先ず匙に二杯の小麦粉を入れ、湯ざましの水を加え、かき混ぜてとろみをつけ、その後、沸騰したお湯を注ぎ込んで糊状にし、黒砂糖を加えてこれを食べれば、広東人が食べる“芝麻糊”(ゴマのお汁粉)とよく似ている。これは昔から北京の人々の好きな食べ物で、特に買って子供に食べさせたがる。こうした食品は脂肪を含み、栄養が豊富で、消化しやすく、食べるのも便利で、子供に食べさせるのに最も適している。また精進ものであるので、お寺の坊さんも喜んで食べる。これでお参りに来た信者を接待するのにも、極めて便利である。

■ 葷的則名為油茶,最好的是牛骨髓油茶,把牛骨中的油取出来,就是一般説的牛骨髓油了。用這種油炒面粉成浅黄色,再加核桃肉、青絲、紅絲、白糖混合起来,吃時也像調茶湯或調藕粉一様,調起来熱乎乎一碗,這就是牛骨髓油茶了。這比茶湯好吃得多,栄養価値極高,北京天気冷,吃這種高熱量的食物,具有明顕的抗寒作用,也是十分耐飢的食品。老北京常常整斤地買回去,天天早上衝了当早点吃。也有買了牛骨髓油自己炒的。炒這個并不難,把面粉倒在炒菜鍋里,一辺炒拌,一辺加油,把面炒成略帯黄色,把油加到撲鼻噴香就可以了。

・撲鼻 pu1bi2 においが鼻をつく
・噴香 pen4xiang1 よい匂いがぷんぷんと鼻をつく
・藕粉 ou3fen3 片栗粉。正確にはレンコンからとった白色の澱粉のこと。

 生臭のものを“油茶”と言い、最も良いのは牛の骨髄の油茶である。牛の骨の中の油を取り出したものが、一般に言われる牛の骨髄油である。この油を用いて小麦粉を淡い黄色になるまで炒め、更に胡桃の果肉、緑や赤の砂糖漬けの梅の実を糸状に刻んだもの、白砂糖を加えて混ぜ合わせ、食べる時は茶湯や片栗粉で葛湯を作る時と同様で、混ぜ合わせれば熱々の一碗になる。これが牛の骨髄の油茶である。これは茶湯よりずっと美味しく、栄養価も極めて高い。北京は寒いので、このような熱量の高い食品は、明らかに防寒作用があり、また十分腹の足しになる食品である。昔からの北京の住民はよく一斤(500グラム)単位で買ってきて、毎朝お湯で溶いて朝食にする。中には牛の骨髄油を買ってきて自分で炒める人もいる。これを炒めて作るのは別に難しくなく、小麦粉を中華鍋に入れ、かき混ぜながら炒め、油を加えていき、小麦粉がやや黄色くなり、油でよい匂いがぷんぷん鼻をつくようになったら出来上がりである。

■ 在各大廟会売油茶的攤子上,可以看見中間空心処,有一個坐在大炉上的大銅壺,約二尺高,直径最寛処也有二尺。旁辺有很大的壺柄,壺嘴又長又細,一搬壺柄水就可以倒出,正好衝入碗中。這壺又名搬壺,擦得又明又亮,造型精致美観。我見過西安一帯出土的唐代波斯壺,様子極像這種搬壺,我想這種様子的壺,可能是西域伝来的吧。

 各地の大きな寺の縁日で、油茶を売る屋台には、中間に穴が開いているところがあり、ここに大きなコンロに載せた大きな銅製のやかんが置かれる。高さは約二尺(約60センチ)、直径の最も幅の広いところも二尺ある。やかんには大きな取っ手が付いていて、注ぎ口は長くて細く、取っ手を持ち上げると中のお湯が注ぎだされ、ちょうど碗の中に注ぎ入れられる。このやかんは“搬壺”とも呼ばれ、ぴかぴかに磨かれ、その造りも、細かい細工がされていて美しい。私は西安一帯で出土した唐代のペルシャの壺を見たことがあるが、形はこの“搬壺”に極めてよく似ていた。私はこのような形のやかんは、ひょっとすると西域から伝来したものではないかと思う。


【出典】雲郷《雲郷話食》河北教育出版社 2004年11月


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