中華人民共和国第十一届全国人民代表大会第四次会議
国務院総理温家宝 政府工作報告
2011年3月5日
2011年の活動について
(四) 加快推進経済結構戦略性調整
経済構造の戦略的な調整の推進を加速する
[※前回の続き]
■ 堅持把実施西部大開発戦略放在区域発展総体戦略的優先位置,認真落実西部大開発新十年的政策措施和促進西藏、新疆等地区跨越式発展的各項挙措。
・西部大開発新十年的政策: 西部大開発、つまり中国内陸部の開発事業は、第10次、第11次の五カ年計画で2001~2010年の10年間にわたって進められてきた。それを基礎に、新たな10カ年計画が検討されている。これは、過去10年に発展した陝西省、四川省などから更に西側に開発を進め、特に石油資源をからめ、“呼包銀重点経済区”、つまり内蒙古・呼和浩特、包頭、寧夏・銀川のエネルギー開発のゴールデン・トライアングルに新たな経済開発区を建設しようというものなど、様々な開発プロジェクトが計画されている。
□ 西部大開発戦略の実施を地域発展の全体戦略の優先的ポジションに置くことを堅持し、西部大開発の新たな十年の政策・措置を真剣に実行し、チベット、新疆等の地区の地域を超えた開発の各プロジェクトを促進する。
■ 大力促進中部地区崛起,進一歩発揮承東啓西的区位優勢。
・中部地区崛起: “中部地区”とは、山西、安徽、江西、河南、湖北、湖南の6省を言い、人口は3.61億、全国の28%を占め、うち農村人口が1/3を占める。これまで東部沿海地区の発展と、中央政府が号令した西部大開発の間に挟まれ、開発が遅れていたが、2009年、国務院から《促進中部地区崛起規劃》が出されてから、ようやく開発プロジェクトが俎上に上がるようになった。“崛起”jue2qi3とは、山の峰がそびえ立つこと、人々が決起する、奮い立つこと。[例]陳勝呉広起義~于大澤郷(陳勝・呉広の蜂起は大澤郷で始まった)
・承東啓西 cheng2dong1qi3xi1 東部の発展を受けて、その西側も発展を始めること。
□ 中部地区の発展の促進に力を入れ、東部の発展を受けてその西側も発展するという地域的な優位性をより一層発揮させる。
■ 加大力度支持革命老区、民族地区、辺疆地区発展,頒布実施2011-2020年中国農村扶貧開発綱要,啓動集中連片特殊困難地区扶貧開発攻堅工程,加快貧困地区脱貧致富歩伐。
・革命老区: 中国革命の根拠地。特に長征の経路やその終着点の陝西省延安など、奥地の交通の便が悪く、経済発展から取り残された地域が多い。
・民族地区: 少数民族の自治区(新疆、西蔵、広西)や自治県など。
・辺疆地区: 辺境地区。国境にある東北三省、内蒙古、甘粛、新疆、西蔵、広西、雲南の中でも、山脈等で遮られ、交通や歴史的発展から、発展から取り残されている地域をこう呼ぶ。
・2011-2020年中国農村扶貧開発綱要:2011-2020年中国農村貧困支援開発綱要。国連の「ミレニアム発展目標」での貧困人口半減の指標の率先実現を目指し、《中国農村扶貧開発綱要(2001—2010年)》が実施され、農民の所得増加、インフラ改善、環境悪化の防止、新型農村合作医療制度、新型農村養老保険の試験実施など、一定の成果を上げたが、今後10年、更なる生活改善、収入増を目指し、現在新たな綱要が制定に向け討議が進められている。
・集中連片 ji2zhong1 lian2pian4 集中させて一つにまとめる。“連片”は“連成一片”のことで、一つにまとめること。
・攻堅 gong1jian1 軍事用語で、堅固な防御施設を攻略すること。“攻堅戦”で陣地攻撃戦、堅塁攻略戦、の意味。ここでは、比喩的に使っている。
□ 革命根拠地、民族地区、辺境地域の発展の支援により一層力を入れ、2011-2020年中国農村貧困支援開発綱要を頒布、実施し、特に困難な地域の貧困支援開発攻略プロジェクトをまとめて始動させ、貧困地区の貧困を脱する歩みを加速させる。
■ 要充分尊重農民在進城和留郷問題上的自主選択権,切実保護農民承包地、宅基地等合法権益。
・承包地 cheng2bao1di4 農村で農家が耕作を請け負った土地のこと。
・宅基地 zhai2ji1di4 農村で農家が宅地として占有し、集団所有の土地を使用すること。
□ 農民が都市に移住するか農村に残るかという問題の自主選択権を充分に尊重し、農民の生産請負地、宅地等の合法権益は適確に保護されなければならない。
■ 建立完善温室気体排放和節能減排統計監測制度。加快城鎮汚水管網、垃圾処理設施的規劃和建設,推広汚水処理回用。
・温室気体: 温室効果ガス
・汚水処理回用:通常は“汚水回用”と言う。廃水や汚水を簡易処理して工場での生産用や生活雑用水として再利用することを言う。
□ 温室効果ガスの排出、省エネ排出削減の統計監視制度を設立、完備する。都市の下水道網、ごみ処理施設の計画と建設を加速し、汚水処理と再利用を推進する。
■ 啓動燃煤電廠脱硝工作,深化顆粒物汚染防治。加強海洋汚染治理。加快重点流域水汚染治理、大気汚染治理、重点地区重金属汚染治理和農村環境綜合整治,控制農村面源汚染。
・脱硝 tuo1xiao1 窒素化合物の除去
・顆粒物汚染: 空気中に浮遊する固体や液体の顆粒物により、生物或いは人体に害をもたらすこと。一般に0.1-75μmの粉塵、霧塵、煙、化学薬品の煙、煤煙を指す。
・面源汚染: 広域複合汚染。水質汚濁を引き起こす排出源は、広い面積に亘って分布している。こうした汚染は、発生する現象が環境状態により複雑に変化する。こうした汚染のことを言い、これに対し、排出源や原因が一つに限定されるものを“単源汚染”と言う。
□ 石炭発電所の窒素化合物除去作業を開始し、顆粒物汚染防止を推進する。海洋汚染管理を強化する。重点河川流域の汚染管理、大気汚染管理、重点地域の金属汚染管理、農村環境総合整備を加速し、農村の広域複合汚染を抑制する。
■ 継続実施重大生態修復工程,加強重点生態功能区保護和管理,実施天然林資源保護二期工程,落実草原生態保護補助奨励政策,鞏固退耕還林還草、退牧還草等成果,大力開展植樹造林,加強湿地保護与恢復,推進荒漠化、石漠化綜合治理。完善防災減災応急預案,加快山洪地質災害易発区調査評価、監測預警、防治応急等体制建設。
・生態功能区:自然保護区。生態系保護を目的とする。
・天然林資源保護二期工程: 天然林資源保護二期プロジェクト。2000年より、長江上流、黄河中流、東北、内蒙古の重点地区の国有林で、天然林保護プロジェクトを実施、土砂流出減少に顕著な効果が見られたことから、2010年12月国務院常務会議で二期プロジェクト実施を決定。期間は2011~2020年。引き続き、長江上流、黄河中流での天然林の商業伐採禁止、東北・内蒙古等の重点国有林の木材生産量を減少させる。また、造林で森林資源の育成にも力を入れる他、林業に携わる人々の居住区のインフラの改善をし、生活条件を改善させる、などとしている。また天然林保護区域に、新たに漢江上流の丹江口ダム付近も加えることになった。
・草原生態保護補助奨励政策: 草原生態系保護補助政策。内蒙古、新疆、西蔵、青海、四川、甘粛、寧夏、雲南の草原牧区に於いて、草原での放牧禁止、或いは草の量と家畜数のバランスを取れば、補助金を支出するというもの。補助金は、牧畜の請負者の請負草原面積に合わせて交付。
□ 重大な生態系修復プロジェクトを引き続き実施し、重点自然保護区の保護と管理を強化し、天然林資源保護二期プロジェクトを実施し、草原生態系保護補助政策を実行し、確実に耕地を林や草原に戻し、放牧地を草原に戻し、植樹、造林に力を入れ、湿地の保護と回復に力を入れ、砂漠化総合対策を推進する。防災と災害被害減少の応急対策を実施し、土石流や地質災害の発生しやすい地域の調査、評価、監視、警告、予防、応急対策等の体制作りを加速する。
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