「絣」に「紬」・・カスリハタ
潮岬の磯でメーター級の巨魚が釣れた。見ると沖縄で「カスリ ハタ」と呼ばれる大型のハタ科の魚です。地球温暖化、なせる業なのでしょうか。
沖縄方面からはるばる黒潮に乗って南紀にやってきたとしたら、壮大なロマンです。ところで、この魚を沖縄の人がカスリハタと名付けたのはなぜでしょ う。
織物の絣(かすり)が古代インドから、タイを経て琉球(沖縄)に もたらされて開花した。つまり、沖縄が日本の「絣」のルーツだとわかれば納得です。魚の模様に「琉球絣(がすり)」の図案を連想、カスリハタと名がついた。
これで思い出したのが和歌山方面で「ツムギ」と呼ばれる魚です。和名はクジメ、この魚の草木染め風の渋い色柄、体側の模様には不規則に 出る糸の節(ネップ)の感じもうかがえ、最高級品、大島紬(奄美大島産)を彷彿とさせるものがあります。
魚の名前に、服飾文化が色濃く投影…日本各地で織物産業が華やかだった証しかも。
(八木禧昌・イラストも)