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映画『東京家族』について

映画『東京家族』 (その14)  長江古義人と塙吾良の対話 (まわり道5)

2013年04月18日 | 映画『東京家族』
 “―きみはいま、自分の小説が誰に読まれると思ってるんだろう?新進作家となってからある年齢まで、きわめて大きい読者というのではないが、まあ、純文学としては例外的な部数の作家がきみだった。いまも、こうして生活できるだけの本の売れ行きは維持している。そうきみはいいたいだろう?むしろそれがあるために、きみには、自分がいまどういう読者に読まれているか、先行きはどうか、という配慮と、どのようにして新しい読者を獲得するか、という企業努力が欠落しているよ。
 映画だと、そういう悠長なことは誰もやってはいられないぜ。おれの場合、映画会社に所属しているわけじゃないし_といっても、そういう所も軒並赤字だがな_興行不振が二度続けば、もう次の作品を撮る見込みはない。それを千樫が話すと、いや吾良ならそうじゃないだろう、ときみはいったそうだが、こういう点でもきみの時代認識はズレているんだ。こちらの作るものは「寅さん」じゃないから、観客は変わり続けるしね、いかに新しい観客を開拓するかが、緊急の課題なんだ。だからといって、自分に面白い主題を、自分の作り方で撮る、その大枠を外すわけではないんだぜ……”




                                                             『取り替え子 チェンジリング』 大江健三郎




 「まわり道」も、「寅さん」まで戻ってきた。

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映画『東京家族』 (その13)  IWJ (まわり道4)

2013年04月18日 | 映画『東京家族』
 IWJとは、ジャーナリストの岩上安身氏が責任編集する、Independent Web Journal のことである。このブログの、映画『東京家族』(その1)に引用した、『シナリオ構造論』野田高梧 の言葉でいう、「事実」を追求する、現代考え得る、最上のメディアでもある。
 最近の配信では、「2013/04/12 イラク戦争はまだ終わってない 現地の映像と共にイラクの被害実態を明かす ~ 高遠菜穂子インタビュー」 で、イラク開戦当初から現在まで、現地で活動を続けていられる高遠氏に、3時間を越えるインタビューをした映像がある。これは、この戦いで亡くなられたイラクの方々のご遺体の映像に対する配慮があり、IWJ会員のみへの配信になっているが、この問題で、このインタビューの内容の事実を出発点としない、すべての議論は、空論である。



 もうひとつ言及したいのが、「2013/01/10 さようなら原発記者会見」の事だ。鎌田慧氏、澤地久枝氏、落合恵子氏のお三方と、大江健三郎氏も会見している。その大江氏の発言の最初の方に、私がもし記者だったら質問をするだろう部分がある。
 このように、IWJは、毎日何本もの配信が行われているので、まだ会員になられていない方は、ぜひ会員になって、ご自分に必要な一次情報を取得し、考える出発点としてほしいと、影響力のほとんどない、このブログでお願いする次第である(笑)。





 “Do not go gentle into that good night” DYLAN THOMAS


 

 “私はあなたがそのようにして、吾良のいる向こう側に行く準備をしているのだ、とは思いませんけど……” 『取り替え子 チェンジリング』大江健三郎

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