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映画『東京家族』について

映画 『東京家族』 (その49) 『珈琲時光』(4)

2013年12月04日 | 映画『東京家族』


 『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』 大江健三郎  (講談社 2013年10月24日 第一刷発行) 〔outside〕 
                                                   
                              
                                                   









  『同上』 〔inside〕

















  『毛沢東 その詩と人生』 武田泰淳,竹内実 (文藝春秋新社 1965年4月20日 第一刷) 〔outside〕 














  『同上』 〔inside〕







 









    『沁園春《第一首》 長沙 一九二五年』



独立寒秋      独り寒き秋に立てば

湘江北去      湘江 北に去(なが)る    

橘子洲頭     橘子洲(きっししゅう)頭(とう)     

看 万山紅遍   看よ 万山(ばんざん)に 紅(もみじ)あまねく 

層林尽染     層(かさな)れる林 尽(ことごと)く染(そま)りたり

漫江碧透     みはるかす江(かわ) 碧(あお)く透(すきとお)り    

百舸争流     百(おびただ)しき舸(ふね) 流れに争う

鷹撃長空     鷹(たか) 長(はる)けき空を撃ち

魚翔浅底     魚(うお) 浅き底(かわぞこ)を翔ぶ

万類霜天競自由   万類(いきとしいけるもの) 霜(しも)ふりし天に自由を競うかな

悵寥廓        寥廓(りょうかく)たるにむかいて 悵(なげ)き

問 蒼茫大地     問う 蒼茫(そうぼう)たる大地よ

誰主沈浮     誰(たれ)か 沈浮(よのうきしずみ)を主(つかさ)どる


携来百侶曾游   百(おおく)の侶(とも)を携(たずさ)え来(きた)りて 曾(かつ)て游(あそ)びき

憶往昔崢歳月稠  往きし昔を憶(おも)えば 崢(そうこう)たる歳月(としつき)稠(しげくかさな)れり

恰 同学少年    ときもよし 同学の少年

風華正茂     風華(ふうか) 正(いま)を茂(さか)りに

書生意気     書生(まなぶもの)の意気

揮斥方遒     揮斥(ほしいまま)にして方(まさ)に遒(つよ)かりき

指点江山     江山(てんか)を指点(あげつら)い

激揚文字     激(せ)むると揚(ほ)むる文字(もんじ)もて

糞土当年万戸侯   当年(とき)の万戸(ばんこ)の侯(こう)を  糞土(ふんど)とせり

曾記否       曾て記(おぼ)えてありや 否(いな)や

到 中流撃水     中流(かわなか)に到りて 水を撃ち

浪遏飛舟       浪(なみ) 飛ぶがごとき舟を 遏(とど)めしこと 





















  『取り替え子 チェンジリング』 大江健三郎



「“outside over there” 外側のあの向こうへ、」




「over」  (前置詞) ② …を越えて(外へ〔下へ〕);

              …の向こう側へ〔に〕,

              …を渡って;

              〔figurative 比喩的(に)〕…の段階を越えて(past),

              …を乗り越えて,

              …から回復して.


      (副詞)②a 遠く離れて,あちらに(⇒ over there);



     「over there」 あそこに;

              向こうでは,

              あちらでは;

              (※)ヨーロッパでは;

              《軍事》 戦地では.


                                          『リーダーズ英和辞典 第3版』 
 








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映画 『東京家族』 (その48) 『珈琲時光』(3)

2013年12月04日 | 映画『東京家族』



 『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』 大江健三郎 (講談社)


 「パパがウーウー泣いていました!」
  何行か前にも、長江(ちょうこう)さん自身によるこの表現があって、魯迅の日本語訳で覚えた言い方と註釈してあります。しかし、まずアカリさんの言葉があって、長江さんが真木からそれを聞いて、魯迅のことを思い出した、というのじゃなかったでしょうか?真木は、このウーウーという言葉を確かにアカリさんから聞いているんです。






 『取り替え子 チェンジリング』 大江健三郎 (講談社)



 ――この絵本に書いてあるアイダという少女は、私や、と自分にいった。

 








 『珈琲時光』 侯孝賢監督



 陽子の部屋 (夏、夜、雷雨)


 陽子  携帯電話をかける。

     「もしもし、あたし陽子。あのさぁ、あたし思い出した!
      なんかね、すっごくね、おっきなホールがあって、そこで…、そこで、あたし多分あの本読んだんだ。
      ハジメちゃんがくれた、絵本。(“Outside Over There”。)うん。」





〔関連記事〕  映画 『東京家族』 (その21) 『珈琲時光』(1)


        http://blog.goo.ne.jp/isikawa-yasoitu/e/4ca1b914a42c5ca3070efdac219358ea

      













 『戀戀風塵』 吴念眞、朱天文 〔電影館31〕遠流

   (石川訳)




シーン2


 場所:汽車の中
 
 時:黄昏


 △(午後)六時過ぎの汽車に乗客は少なく、汽車はちょうど瑞芳から侯硐間のトンネルの中を過ぎ、灯りがついていて、並んで座るふたりは本を読んでいる。汽車はトンネルに入っては出て、音は時にくぐもり時に澄んで、阿遠はふと阿雲が気持ちがふさぐように、うつむくのに気付く。



 阿遠:(けっして優しい話しぶりでない、男の子供の直接さで)どうした?

 阿雲:(低く、かすかな声で)今日の数学の試験、全然できなかったの。

 阿遠:(すこし責める心を抱いて)できない、できないなら何でいつも僕に聞かないんだ?

 
 △阿雲は答えず、頭を低くしたままで、手を膝の上の本に置き、動かない。














 「一思案(ひとしあん)」『一青想』 一青窈 (『珈琲時光』主題曲)


 (原詩は繁体字。)(石川 対訳)





 我和你之间 只是蓝々的           わたしとあなたの間は 青いだけ

怎么不想起 是谁摇々的            どうして思い出さないの 誰が揺れていたのか 

为了高兴跟悲哀表里一致的          うれしさと悲しみは表と裏 一緒のことだから

还缺点儿什么 我思量 在归路         まだ欠けてる足りない何か 帰り道に 一思案

      
 

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