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映画『東京家族』について

映画 『東京家族』 (その50) 『珈琲時光』(5)

2013年12月06日 | 映画『東京家族』
 
 “――そして、そのもとは長江さんから見せられた本にあるといわれましたよ。年齢的にどういう時だったかはっきりしないそうですが、父親に、センダックの“Outsise Over There”の特別なページを見せられた、それが忘れられなくて、ということなんです。ゴブリンどもがやって来て、生まれて来た赤んぼうを盗みますね。そして自分らの仲間の老人を、替りに置いてゆくんです。そのシーンのことを、あなた自身、御自分の本に「グロテスクな白い赤んぼうが揺り籠に残されている……」と書いていられました。”

                                         『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』 「死んだ者らの影が色濃くなる」 大江健三郎







 “アイダはむずかる赤んぼうをなだめようと、ホルンを吹く。そのうち熱中して、注意深くしていることができなくなったほど。大きい向日葵が咲いている窓に向かってアイダはさかんにホルンを吹き、赤んぼうも聴きほれるかのようだ。その時、正面奥の窓から梯子をかけて登って来た、コートのなかは濃い影だけの者ふたりが現われる。
 ゴブリンどもがやって来たのだ。かれらは赤んぼうを連れ出す。氷で作られた替え玉を後に残して。驚きのあまり、声にならない叫びをあげている赤んぼうが窓から連れ出され、一方、グロテスクな白い赤んぼうが揺り籠に残されている……”                                         

                                            『取り替え子 チェンジリング』 大江健三郎  













 “(日頃よりずっと身ぎれいにしていて見違えたが)、記者会見を主催する作家Kさんで、”


                                           『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』 「死んだ者らの影が色濃くなる」 大江健三郎 
  






                                        

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